遭遇フラグからの...まさかの展開に頭が追いつかない!
視点がコロコロ変わります
「昴...こっ、これは......だな」
竜は訪問者の顔を見た瞬間息を詰まらせ、そしてバツの悪そうな顔をすると、言い訳の言葉を口にした。
「ウッホ」
「あ"?」
だが、当の昴がそんな事を気にするか。答えは否だ。
俺が思い浮かべていたカプとはちょっとばかし違うものの、目の前に腐がある事には変わりない!
俺は最初の「ウッホ」発言を無かったことにし『従兄弟の性事情を見てしまってビックリしているか弱い男の子』の顔を心がけると、小型カメラを鉢植えの済に忍び込ませ職員室からでた。
「おい」
いや、正確には"出て行こうとした”だが。
「なっ、なに?竜にぃ」
『従兄弟の性事情を見てしまってビックリしているか弱い男の子』設定をまだ捨てていない俺は『ふふ腐ふっ、』と思いながら親指を上に立てたい衝動を押さえ、俺を呼び止めた竜にぃを『うわ、こいつアー♂の国の人かよ』とでも言うような目で見た。
そんな俺を見て、竜にぃは悲しげな顔をするでもなく一言放った。
「腐男子おいコラ、待て」
「ふふふふ、腐男子?○松なんのことやら分からないでせう」
「俺の部屋に来たと思ったら、何をするでも無く腐ったドラマCDをイヤホンもしねぇで、大音量で流してる奴が今更こんぐらいで動揺すると思うか?あ"ぁ?」
人形ネタを無視され昴に1256のダメージ!
「はい。一○は人形なので、竜にぃ如きの濡れ場ちょっと手前を見た所で動揺しないのでせう」
あ、でも強いて言うならBL的な物でドキがムネムネしますけどもね
と繋げて言おうと思い、竜にぃの顔を見ると、竜にぃの顔にはそれは立派な青筋がいくつもありましたとさ。めでたくないめでたくない。
「ほ〜?」
「ひっ、ひっふー」
竜にぃに少しでも怖がった事を知られるのが癪なので、俺は「ひっ」の後に「ひっふー」を付けて、さも出産の真似をしているかのようにした。
我ながら、中々の出来栄え!ふっふーん!
「俺如き...ねぇ?」
竜にぃはニヒルな笑みを浮かべると、スーと目を細め、慣れた手つきで俺の腰を抱いた。
「なっ、わ、え?」
え?相手間違えてません?んで、先程のエツィのお相手の教員様は放っておいてよろしいので?
俺はそう思い現実逃避も含め教員の居た所を見た。
するとそこには、竜にぃのポッキーを咥えようとしていた体制のまま無気力な瞳でこちらを見る教員の姿が...
無く、ぐでぇんと椅子に寄り掛かり気絶している教員の姿があった。
俺は未だに俺の腰を抱きながら、ニヒルな笑みを浮かべている竜にぃを見、思う。
抜け目がねぇぇぇぇ!
「担任に向かってその反抗的な目はなんだ......?」
竜にぃはクルクルと指先で弄んでいた俺の髪を軽く引っ張った。
「っ、」
俺は竜にぃのその言葉で、自身が竜にぃに反抗的な顔を向けているという事に初めて気が付いた。
だが、だからと言って素直に謝るつもりは無い。
大体、いきなり怒ったと思ったら腰を抱いてきたりしてセクハラだと思うのだよ!
昴はいつも脳内でBLの気も無いいたいけな男達に妄想と言うなのセクハラを行っている事を棚に上げ、竜にぃに対して怒りを覚えた。
俺は口パクで『変態教師』と作った。
「!」
流石に変態教師は効いたのか、竜にぃは唇を噛むと俯いた。
やーいやーい。変態教師!お前の母ちゃんでーべそ!!
そんな事を思い、自信を持った顔で竜にぃの顔を覗いた俺は予想外の竜にぃの表情に背筋が凍った。
「なっ、」
「変態教師...なぁ?」
「...竜にぃ?」
俺は恐る恐る竜にぃの顔を覗く
「竜にぃじゃねぇ。__竜先生だろ...?」
そう言う竜にぃの顔は此方の反応を楽しんでいるかのようであった。
怒ってる。激おこである。ゲソ食べる......?ヒッ、食べないですよね。すみません。はい。
「竜先生のエクスカリバーをポッキー等と称してしまいすみませんでしたぁぁぁぁ!!」
「っ、」
謝ったのだから、少なくとも怒りは静まってくれるだろう。
浅はかにも俺はそんな事を思っていた。竜にぃの次の発言を聞くまでは......
「俺はそんな事を謝って惜しいわけじゃなかったんだがなぁ?」
「えっ」
「ほぉ、とことん俺に抱き潰されたいようだな。昴」
「ぁ......んっ、」
竜にぃのマジな目を見て『あ、これヤバいやつやん』と思った俺氏は竜にぃの腕の中から抜け出そうと身体をくねらせた。
だが、それがいけなかったのか竜にぃに顎を掴まれると上へ向かされ、次の瞬間には生暖かい感触を唇から感じた。あっ、セカンドキスまで男とか......死の。
「ひぅ...っ、んっ、ぁ」
竜にぃの唇が離れて行く
空気カモン!息続かんて!人間買い被っとんかワレェ!
「チッ、」
え!?何!?舌打ちしたいのこっちなんですけどぅ!
「色気も何もねぇと思ってたが...」
まあまあ、ご自身に色気が無いだなんて卑下しないでくんなまし
「思ってたより......」
竜にぃはそう言うと、自身のネクタイをするりと解き(いつもは外しているらしいが、今日は何故か付けていた)、俺の両手首に巻き付けた。
だが、残念だったな!両手首を縛ってしまえば俺の服を脱がす事も出来まい!
竜にぃは俺がそんな事を思っているとも知らずに、俺のワイシャツの裾をズボンから出すと、悲しき事に腹筋をしても何故か割れず、クビレが出来てしまった俺の腹をするりと撫でた。
「ひゃっ、んぅ」
「敏感だな?」
竜にぃが俺の耳元で、色気を含ませた声で囁いた。
「んっ、」
耳元で囁かれた声に俺の身体はピクッと反応する。
「俺の声で反応したのか......?」
そう言われて素直に頷く訳が無い。俺は首をふるふると降ると、竜にぃの顔をキッと睨んだ。
俺の姿を見た竜にぃは、クツクツと笑うと先程の事で味をしめたのか、俺の耳元に口を近ずけると囁いた。
「......可愛いな」
俺もさっきの事で学習している。竜にぃの声で背筋がゾクッゾクッとしたものの、顔には出さず下唇を噛んで我慢した。
囁きは止まったが、竜にぃの口が俺の耳元から離れて行く気配がしない。
「ひゃっ、あぁ......んっ、やぁ」
そう思い耳元に意識を集中していたのがいけなかったのか、いきなり耳に感じたヌルリとした感覚をダイレクトに感じてしまった。
もう、余計な事を考えられる程の気力は無い。
「嫌だァ?」
竜にぃはそう言うと、ズボンの上からでも分かる程の膨らみをスルリと撫でた。
「ひっ、あぅ......んっ、」
「ここは正直みたいだけどよ?」
そう言うと竜にぃは肝心の中心は触らず、ワイシャツの中に手を入れたかと思うと、胸の突起をピンッと弾いた。
「ひンっ、」
「乳首でも感じるのか......はっ、女みてぇだな」
「あっ、きぃ」
「ん?」
「あにきぃ......」
「...っ、またアイツかよ......っ、」
俺のその言葉を聞いた竜にぃは顔を顰め、なにかを小さな声で言うと、俺に乱暴なキスをして来た。
「はぁ......んっ、んぅぅ!」
何分間そうしていただろう。もしかしたら、10分ぐらい経っていたのかもしれない。
こういう事に慣れていない俺は足腰も立たない状況だ。竜にぃはそんな俺の体を痛いぐらいに抱き竦め言った。
「お前は俺のモンだ。誰にも渡さねぇ」
俺の意識はここで途絶えた。だから、俺が眠った後に竜にぃが言っていた言葉も耳に入らなかった。
❦▪▶♥◀▪❦
昴が眠り、竜の鼓動しか聞こえない空感と成り果てた職員室
先程までは力こそ出ていないようだったが、抵抗の言葉を口にしていた昴が今は竜の腕の中に静かに収まっている。
そんな静かな空間の中、竜は荒々しく自身の頭を搔いた。
「......くそっ、」
少し落ち着いた頭で腕の中に居る昴を考える。
腕の中にはいつも要が張り付いているせいで、ろくに二人になることすらままならなかった昴が、先程の行為のせいかやや紅みがかっている顔で無防備に寝息を立てている。
こんな状況にも関わらず、この状況を幸福と感じている事に竜自身も戸惑った。
「俺はこんなにも独占欲が強い人間だっただろうか?」そんな疑問が常に頭に張り付いて離れない。
昴は俺が要に惚れていると思っている。無理もない。俺自身惚れるならこんな奴だろうと幼少の頃、幼心に思っていた人物こそ要であったのだから。
......それが、どうすればコイツになるんだろうな
竜はそんな事を思いながら、未だに竜の腕の中で眠っている昴の髪を手で梳いた。
「もう、お前はこんな俺をカッコイイとは言ってくれねぇんだろうな......」
そんな悲観的な感情の波に飲まれそうになったその時、腕の中の昴が呻き声を上げ薄らと目を開けた。
「んっ、ぅ」
❦▪▶♥◀▪❦
頭がボーとする。ふわふわと安心する匂いに包まれている為、完全に目を開け目を覚ますのを躊躇った。だから俺はうっすら目を開けた。
あれぇ?......ジーク様だぁ
なんと、目を開けた先には自分がやり込んでいるBLゲームの(自分の中で)メインヒーローという立ち位置に居る金髪碧眼のジーク皇子が居たのだ。
「__ぶ_か?」
ジーク様が何か仰ってらっしゃる......んぅ、眠くて聞き取れない
でも、流石はBLゲームの(自分の中で)メインヒーロー......
「ふへっ、かっこいー」
「......っ、」
俺は言いたい事を言い切った事で、完全に二度寝を決め込んだ。
❦▪▶♥◀▪❦
言いたい事をだけ言い再び眠りに着いた昴を未だに紅いであろう顔で見た。
「くっ、何なんっ、、だよ......」
竜はだらしない顔で寝ている昴を見る。
コイツは自身が何気なく言い放った言葉が、どれほど相手に影響を及ぼすか分かっていない。
コイツは今のこの言葉一つの為になら、何でも差し出せる人間がいるということに気がついていない。
それが異様にムカついて、昴の未だに紅みががっている頬をつねった。
そんな行動の結果は虚しく。寝ている昴が痛みに飛び起きるでも無く、寝ながらも痛みに反応するでも無く、元々紅みがかっていた頬が更に色付いただけだった。
だが、普段俺ばかり振り回している昴に対して、直ぐに消えてしまう事は分かっていても、何か影響らしき物を付けられた事に俺は年甲斐も無く浮かれてしまう。
「もっと、俺の事で振り回されろ...」
そう言うと、俺は昴の額にキスを落とした。
「教員ほっといて大丈夫なの......?」と思った方
私も思いました。