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まさかの××遭遇フラグ!~親衛隊長の行く末~

タイトルの書き方をいつもと少し変えてみました...(割とどうでもいい情報)

昴が教室に居るのが気まずくて逃げてきた事も忘れ、男子生徒に貰ったメモを頼りに教室に向かっているその時。残された男子生徒は昴が走り去って行った方向を名残惜しそうに見つめていた。


「ごめんなさい。要様......っ、」


そう呟く男子生徒の顔は、最初の小悪魔の様な雰囲気でも、妖艶の様な雰囲気でもなく不安に揺れている年相応の顔であった。


「でも、気付いてしまったんです...」


先程不安に揺れていると表現した男子生徒の顔は、次顔を上げた時にはもう既に最初の食えない様な笑みに戻っていた。だが、その目の中心には一種の達成感のようなものも見える。


「僕が真に求めていたのは...恋焦がれていたのは......っ、」


男子生徒の拳は強く握りしめられ、爪の形がハッキリと目視出来る程までになっていた。その姿からこれから紡ぐ言葉に不安を感じているのは明白なのだが、その顔からは一切の不安や焦りは感じ取れなかった。


「要様......貴方では無かった。」


その瞬間冷えた風が当たりを包み込む。


── ガサッ


だが、木の裏から出て来た人物を視界に収めた瞬間。それは錯覚であった事に気付く。


「残念だよ。藍浦(あいうら)晃蒼(こうあ)親衛隊長。」


「...」


「まさか君が弟の事を好いていただなんて知らなかったよ。」


「弟...ですか。」


「何か、言いたいようだね?」


「いえ、要様が弟さんに向ける感情は些か普通では無いように感じたもので。」


晃蒼のその言葉に、要の眉が一瞬ピクリと反応した。

だが、いつもの笑みに戻るとまるで自然の原理であるかのようにこう言った。


「君の言う普通がどんな物かは一応把握してるつもりだよ。でも、仮にこの感情が普通じゃなかったとしても、きっと俺は昴にこの感情を抱かずにはいられないだろうね。」


「それ程までに、好き......なんですね。」


晃蒼は悲痛そうに笑った。要はそんな晃蒼を流し見る。

自身より背が低い晃蒼の事を、繊細な指を自身の顎に当てながら流し目で見る要の様は、以前の晃蒼であれば気絶ものであっただろう。


「その顔は、もう俺に向けての物じゃなさそうだね。」


「はい。」


「じゃあ、君は俺の親衛隊長を辞めると考えていいのかな?」


「いえ、辞めるつもりはありません。」


想定していた反応と違った事に要は少しの間目を見開いた。

だが、次の瞬間には要は切り替えを済ませ、疑問を晃蒼に投げかけている。


「何でなのか、理由を聞いても?」


「だって...ふふっ、」


要は自身の質問に対しての晃蒼の反応に訝しげな瞳を向けた。


「......」


「あっ、すみません。思い出し笑いです。えっと、親衛隊長を辞めない事の理由......ですよね?」


「ええ」


「チワワ系親衛隊長である為......ですかね?」


「......っ、」


その後に「僕がチワワ系親衛隊長であり続ける限り、昴君は僕から離れられないみたいですしね...」と小声で続けた晃蒼。


要は晃蒼のその返答に奥歯をギリッと噛んだ。弟が男同志の恋愛──所謂BLと呼ばれるものを好む『腐男子』である事に気付いてからは、昴の趣味をなるべく周りにバレないようにしてきたのだ。

それは、"弟が腐男子だったら恥ずかしいから”と言う動機からくる行動ではなく"昴のこの様な一面も知っているのは自身だけでいい”と言う動機から来る紛れもない『独占欲』であった。


それが、今この瞬間壊されたのだ。


「ねぇ......君少し黙ってくれないかな?」


「え...」


「あっ!たいちょー!!こっちには居ませんでしたー!」


要の丁度真後ろから、女の子のような容姿をした髪をツインテールにしている男子生徒が走って来た。


「あっ、恋音(れおん)君...」


「え......っ!?か、要様ぁぁぁぁ!?」


晃蒼の男子生徒を呼ぶ声が耳に入っていないかの様に要の名前を大声で呼ぶ男子生徒──...恋音。

だが、それも当然の反応だろう。ずっと憧れ続けたが近づく事も出来ず、唯一憧れの対象の為に出来る事が制裁だった彼の目の前に、憧れの存在である要本人が居るのだから。


「一つ聞いても良いかな...?」


「ひゃっ、ひゃい!」


「誰が居なかったのか、俺に教えてくれない?」


「そっ、それは...」


恋音が要の親衛隊に入ろうと決意したきっかけである要との初対面以来、なかなか話す機会が無く近付く事もままならなかった恋音にとって、今の会話で要に悪い印象を持たれるのは絶対に回避したい事であった。

だが、今回の『要様の弟制裁計画』は要の親衛隊長である晃蒼が一任している為、ここでの決断も恋音では下せないのだった。


「犬です。」


「犬......?」


「た、たいちょ」


「はい、犬です。この寮はペットは禁止されているので、風紀委員に見つかる前にこちらで飼い主を見つけて注意しておこうと思いまして。出過ぎた真似だとは自覚していますが風紀委員長は犬嫌いと小耳に挟んでいたもので、いても経っても居られず......」


恋音は晃蒼の言葉を自分を庇ってくれたと捉えたが、今の晃蒼は昴への制裁など微塵も考えていなかった。故に晃蒼自体もこの計画については無かった事にしたいと考えていたのだ。


「ああ、そういう事だったんだね。」


「は、はい!要様!」


「だけど、二人とも授業にはちゃんと出席しようね?」


「はい、すみませんでした。」


「はい、今から戻ります要様!」


「では、失礼するよ。」


「あっ、はい......」


恋音は折角の要との時間が終わってしまう事に、見るからに落ち込んだ姿を見せる。

対照的に晃蒼は要が去ってくれるのを待っていた。これ以上滞在されていたら、この嘘へのボロが出てしまう可能性があったからだ。


「__今は、そういう事にしておいて上げるよ」


「......っ、!」


「......?」


要は晃蒼の横を通り過ぎて行くその瞬間、冷えた音質で晃蒼にそう囁いた。

恋音の位置からは要の放った言葉は分からなかったらしく、急に息を詰まらせた晃蒼の反応に首を傾げている。音質は冷たいものの、表情は安定の笑顔だったのも要が原因だと恋音が疑わなかった要因なのかもしれない。


「隊長......?」


「え、ああ」


「もう、要様行っちゃいましたよ?」


「うん、そうみたいだね。そろそろ教室に戻ろう恋音君」


「...え?要様の弟を探して制裁をするんじゃ」


恋音は先程晃蒼が言った犬の件は建前で、てっきり『要様の弟制裁計画』は続行するものだと思っていたのだ。その為恋音は、今の晃蒼の発言に拍子抜けをした。


「ああ、その件なんだけど取り止めにしようと思ってるんだよね...」


「え、ええ!?い、一番乗り気だった隊長が!?」


「どの道、今こんな所に転入生の要様の弟がいるわけ無さそうだしね。転入生だから今頃教室で自己紹介でもしてるんじゃない?」


「そ、そんなぁ...僕達の苦労がぁ......」


晃蒼は『要様の弟制裁計画』の取り止めについて、要の親衛隊の皆が全員が納得するような理由を作らなければいけない事に、見た目で感じさせない様にしながらも恋音と同じ様に憂鬱な気持ちでいた。



❦▪▶♥◀▪❦



「桐生先生!職員室で煙草はやめて下さいと何回言わせれば気が済むんですか!」


「ああ"?ちゃんと窓開けてるじゃねぇか」


「風向きを考えて下さいよ!煙がこちらに来るじゃありませんか!」


竜は窓の外にある一人の人影を見つけた。メモを持ちながら一生懸命小走りで移動しているのは竜が想いを寄せている人物──昴であった。

この距離からはメモの内容までは見えないが、歩きながらちょくちょくメモを見ている姿からして地図系のなにかだろう。昔から極度の方向音痴であった昴はどこかに出かける度に迷子になっていた。


「キャンキャンうっせぇーな......くくっ、」


「......っ、んって!?何笑ってるんですか!いい加減怒りますよ!」


「ベットの上のでのお前は、素直で少しは可愛げあるんだがなぁ?って思ってよ」


本当は迷子になっている昴の愛らしい姿を見て笑ったのだが、要が今朝爆弾発言を落とした事もあり、今の学園の奴らの怒りの矛先は昴に向かっている。ここで馬鹿正直に昴の事を話してしまえば、竜の親衛隊や、今までに竜と関係を持った奴らまでにも目の敵にされてしまうだろう。竜の発言はその事を恐れての事だった。


「なっ、何でそんな事ここでっ、!」


「ここには俺らだけしか居ねぇ。二人っきりだぞ?......なあ?」


「なっ、な、なっ!!」


「くくっ、何回俺との夜を経験してもお前の反応は初めての時のままだな......」


「わっ、悪いですか!」


(コイツもきっと今朝昴が俺の事『竜にぃ』呼ばわりした事に不信感を抱いている筈だ。一応手は打っておくか。)とでも思っていそうな顔をしている竜に、恥ずかしさで顔を伏せている教員は気付いていないだろう。


「いつもの...やってくれねぇの?」


そう、相手の反応を楽しむかのように言葉を放つ竜。

その竜の言葉にまんまと顔を真っ赤にし、言い返したら負けだと下唇を噛む教員は、それでもいつもの癖で、自身の顔を竜の太ももに埋める形で竜のスーツのズボンのチャックを自身の口で下げた。


「息が上がってるな......こんな状況でやるのに興奮してるのか?」


「ちっ、が......はぁ、んっ、」


言うだけ言い相手の返事も待たず、教員の耳の裏を慣れた手つきで撫でる竜の口元は、綺麗な弧を描いており、その雄を思わせる表情と相まって魅惑的である。


__ガラッガラッ


「一年Aクラスって何処でしたっけ......えっ、」


「あ"あ?一年のAクラスなんて、すぐそこだろ。」


昴の為とはいえ、一応事をなそうとしている最中の職員室訪問者だったので、竜はいつもより適当に返した。それはこのような事があった時は普通にしている事だったので、今回もそれであっていたと思われた。そう、訪問者の顔を見るまでは。



「竜にぃ......っ、」

この話を書くにあたって見落としているキャラ設定など無いかを確認する為、自身でこの小説を一から読んでみたのですが、なかなかに読みずらい文+『(ニヤ)』や『///』などの表現に目を瞑りたくなりました...お恥ずかしい限りです。

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