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第41話 幕間―堕ちる獣―
ようやく、ようやく。
探していたその姿を捉えることが出来た。
気持ちの良い、とても懐かしい気配に惹かれていたのか。
それとも、とても強大で洗練された月のような力に惹かれたのか。
──行かなくては。
月のような力の持ち主は、我々にとって媚薬であり、天敵だ。
──行って取り戻さなければ。
狩られてしまう。
だが、行かなくてはと思うのに、どういうことだろう。
身体がとても重くてかなわない。
何かが雁字搦めにこの身体を絡めとり、地へ、地へと縫い付けようとする。
──何と強い陰の気だろう。
このままでは、たとえ取り戻したとしても、帰ることが出来ない。
天へ昇るための力が。
地へと吸い取られ捕らわれる。
──どうすれば。
四肢を踏ん張り、背にある翼を広げ、飛翔する。
ああ、重い。
何と強い、この。
ああ……そうか。
──原因を絶てばいい。
この重くしがらみに捕らわれた、哀れな陰の気の持ち主ごと絶てば。
この身体は軽くなり、帰れるだろう。
絶てば、いいのだ……。