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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第八章 光と闇のデスティニー
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70 一筋の光

「スフィア、あんたは一人でここから逃げな」

「な、何を言っているのです! 私も、戦いますよ!」

「あたいが時間を稼ぐから、その隙にワープゲートを使うんだよ」


 む、無茶ですよジェミンさん。

 ジェミンさんだって、心の中では無理だって思ってるじゃないですか。


 それなのに、どうして、どうして私なんて守ろうとするんですか!


『ずっと孤独で無口なあたいの心を開いてくれたこと、感謝してるよ。だから、友だちとして、仲間として、せめて、スフィアだけでも生き延びておくれ』

「だ、ダメです! 戻ってきてください! 私も、私も一緒に――」


 ジェミンさんはブラックドラゴンに立ち向かっていった。

 私は、ただただ泣き崩れるばかりで、どうすることもできなかった。


 私はいつだってそうだ。

 泣いてばかりで、何もできない――。


 いつも怯えているだけだった私を、オリバーの皆はいつだって守ってくれた。

 助けてくれた――。


 それなのに、どうして私は何もできないの?

 倒れていく仲間を見ていることしかできないなんて――。


 無力な自分が恨めしい。




 声が、聞こえなくなってしまう。

 いつも、聞きたくなくても聞こえてしまう心の声。


 それが一切聞こえない。


 この広間には、もう生き残ってる人は誰もいないの?

 もう、私に『声』を聞かせてくれる人はいないの?


 あんなに嫌いだった自分の能力。

 心が読める力。


 それなのに、いざなにも聞こえなくなると――。


 怖い。

 恐ろしい。


 私は、この世界で一人になってしまった。


 絶対的な孤独感。

 

 誰か、助けて。



 誰でもいい――。


 私を一人にしないで――ッ!





『――ッ!』


 えっ? 

 何か聞こえた?


『スフィアさん、聞こえますか』


 この声は、シャルノさん!?

 魔王シャルノの心の声が、かすかに聞こえる。

 消え入りそうな、奥の奥の奥。

 その心の声が、私に届いたのだ。


『今、ソニアさんが私の魔法結界を解除してくれました。これがラストチャンスです。私を倒してください。それが、私を救うことにもなるのです』


 うう、そんなこと言われても……。

 私には、戦う力なんて――。




「ナイトさん……?」


 目の前には、ナイトが立っていた。

 心の声は聞こえない。


 意識は戻っていないようだ。

 それでもなお、私をドラゴンから守るために、立ち塞がる。


『あきらめない……、俺はッ、諦めないッ!!!』


 力強い声が響きわたる。

 ナイトの心の声が。


「う、うぅ、ナイトさん……」


 でも、彼にはもう魔力は残されていない。

 立ち上がったところで何も変わらない。


 もう、私たちには、どうすることも…………。




「ナイト! これをっ!!」

「あ、あなたは――?」

「ふふ、ナイトのピンチを救うのは幼馴染である私の役目よね」


 心の声が聞こえなかった……?

 何故?


「そ、それは、黄金プリン? なぜあなたが……」

「詳しい説明は後! これでナイトの魔力は完全に回復したわ!」


 ええっ!?

 幻の黄金プリンにそんな効果があったなんて。


 でも、ナイトの魔力が戻っても、意識は失ったまま。

 これでは、いくら魔力が回復しても――。




 いや、私にもできることがある。

 アイゼン博士、お願い……力を貸して!




---




「う、ううん……」

「さあナイト、早くブラックドラゴンを倒しましょう!」

「き、君は、フライヤ?」


 俺は寝ぼけているのだろうか。

 博士が作ったゲーム世界の妖精フライヤが、俺の目の前にいる。


 すぐ横には、スフィアが傷だらけで倒れていた。


「ナイトのダメージを肩代わりするなんて、彼女も無茶なことしますよね。ほら、彼女の頑張りを無駄にしちゃダメですよ?」


 フライヤが優しく微笑む。

 状況がいまいち掴めない。




 ――けれど、俺がやるべきことは一つ!


「左手からフレイムバースト、右手からサンダーボルト、合体魔法『フレイムボルト』ッ!」

  

 究極の合体魔法をブラックドラゴンに放つ。

 しかし、ブラックドラゴンもそれに応戦し魔法を使ってきた。


「あ、あれは、暗黒魔法『ダークトルネード』ッ!」

「うぐぐ、負けて、たまるかッ!」


 ブラックドラゴンの放った魔法に押される。

 くそう、ここで負けるわけにはいかないのにッ!





「……ッ!」


 俺の合体魔法が闇に飲み込まれたッ!?

 そ、そんな……。 


 闇の竜巻が俺を襲う。

 俺の身体が無残にも切り裂かれていく。


 強い、強すぎる……ッ!




 ――まだだッ!


 まだ終われないッ!!






「ダークトルネードッ!!」


 俺は瞬時に、ブラックドラゴンの放った魔法をコピーして撃ち返す。

 同威力の闇の竜巻によって威力が相殺された。




「今だッ! ライトソードォ!」


 聖なる光がブラックドラゴンの身体を貫いたッ!

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