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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第七章 平凡な日常
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57 夢の中へ

「ミルフィを起こすことができないだとぉ、てめえふざけたこと言うんじゃねえ!」


 ビッツェが俺に掴みかかる。


「お、落ち着いてください。まだ他に方法がないと決まったわけじゃないですし……」

「そ、そうよ! ミルフィが眠ったままだなんて、あり得ないわ! 私が絶対に起こしてみせる! まずは、私の特大の雷を……」

「うわー、待て、早まるなっ! 物理的に起こそうとしても無理だからっ! そんなことしたら本当に永遠に眠っちゃうからああああ!」


 眠り続けるミルフィに向かって、攻撃魔法を浴びせようとするクレアを制止する。


「しかし、誰がこんなことを……」

「うーん、永久睡眠といえばミルフィのスキルよね? まさか自分で……!?」

「おいおい、自分で自分を永久に眠らせるバカがどこにいるんだよ」


 しかし、ミルフィさん以外に永久睡眠魔法を使える人はいない。

 だとすると、やはりこれはミルフィさんが自分で……?


 いや、待てよ?

 眠らせるだけなら誰でも可能なはずだ。

 アイゼン博士の魔法道具(マジックアイテム)があれば……。


 まさか、この中に、ミルフィさんを眠らせた犯人がいるとでも言うのか?

 一体誰が、何の目的で……?


 いや、人を疑うのはよそう。

 まずは、ミルフィさんを起こすことが最優先だ。


「誰か、永久睡眠を解除する術を知ってる人はいませんか?」


 俺が周囲に問いかける。

 ざわついていた人たちが一瞬で静まり返った。

 やはり、誰も知らないか。


 諦めかけた瞬間、一人の少女が手を挙げた。


「あの、確実に起こせるというわけではないのですが、一つだけ方法があります」


 魔王シャルノだった。


「本当か!? 教えてくれ!」

「ひ、ひぃ、お、教えますから落ち着いてください」


 ビッツェが今にも泣きそうになりながらシャルノにすがりつく。

 シャルノは困惑しつつも、少し間を置いてゆっくりとしゃべり始めた。


「ミルフィさんの夢の中へと入り、本人に直接訴えかければ起こすことができるかもしれません」


 シャルノの提示した方法は意外と単純なものだった。


「よっしゃあ、じゃあ、早速夢の中とやらに行ってミルフィを起こしに行くぞ!」

「ま、待ってください。夢の中へ入れるのは私を含めて四人までです。それに夢の中は危険なんです! 無事に戻って来れる保証はありません! ビッツェさんが中に入るのは危険すぎます!」

「うるせえ! ミルフィがこのまま眠ったままじゃオレは生きてても意味がねえ! オレが行くって言ったら行くんだよ!」

「私も行くわ! ミルフィは私の親友よ! このまま放っておくことなんてできない! そうでしょ、ナイト?」

「ああ、も、もちろんだよ」


 戻ってこれないかもしれない、と聞いて少し怖気づく俺とは対照的に、ビッツェもクレアも本気の目をしている。


 俺なんかが行っても足手まといになるだろう。

 ここは、最強の武人であるドバイさんのほうが適任だ。

 俺は、そう言おうとドバイさんのほうを見る。 

 しかし、肝心のドバイさんはライアンと共に酔いつぶれていた。

 つ、使えねー。


「ナイト、何してんの! さっさと行くわよ!」

「え、ちょ、マジで、この四人で決定なの? もう少し良く考えたほうが……」

「では、行きますよ、私から離れないでくださいね? ライムドリームッ!」


 シャルノが魔法を唱えると、頭がぼんやりしてきてそのまま意識を失った。





「う、うーん……」

「気が付きましたか?」

「お、おう、シャルノか。あれ、他の二人は?」

「そ、それが、詠唱の途中で手を放したらしく、はぐれてしまったようです」


 な、なんだってえええ。

 いきなり、大ピンチじゃねえか。


「それにしても、ここが夢の世界? なんか、さっき居た場所とあまり変わらないような?」

「そうですね、ミルフィさんが見ている夢なので、割と現実的なのかもしれませんね」


 そんなことを言いながら、てくてくと前に進んでいくシャルノ。


「お、おいおい、クレアたちもいないのに進んじゃっていいのか?」

「ええ、私たちにはあまり時間がありませんので、先を急ぎましょう。大丈夫です、クレアさんもビッツェさんも、そう簡単にやられたりしませんよ」

「時間がない?」

「あ、言い忘れてましたが、夢の中で活動できる時間はおよそ三時間です。それまでにミルフィさんを起こせなかった場合、永久に夢の世界へ閉じ込められるので気を付けてくださいね」


 笑顔で恐ろしいことを言わないでくれええ。


「まずは、ミルフィさんを見つけないといけませんね」

「見つけるって、どうやって?」

「そうですね、とりあえず……、ストロベリープレッシャーッ!」

「うわあああっ」


 シャルノが突然、俺に向かって魔法を唱えてきたのだった。

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