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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第六章 悪の秘密組織オリバー
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48 デスゲーム

「おい、こっから出しやがれ!」

「ククク……、ゲームがクリアできたら出してやろう。ククク、君も知ってのとおり、痛みもリアルに再現されている。つまりゲーム内の死は、現実世界の死を意味している。どうだい、スリリングだろう? ククク、精々頑張ってくれたまえ」


 アイゼンは、そう言って姿を消した。

 くそ、こんなゲームで遊んでる場合じゃないっていうのに……。


「ピギィッ!」

「おっと、危ないっ!」


 背後からモンスターが襲い掛かってくる。

 よし、魔法で迎撃だ。


 ……。


 あ、あれ?

 魔法が打てない。

 

「おかしいな、このゲーム、前にプレイしたときには強力な魔法が打てたはずなのに……」

「それは当然ですよ? あなたのスキルは現実世界と同じものに設定されていますからね」

「だ、誰だお前はっ!」

「このゲームの案内を任されたフライヤです。よろしくお願いしますね」


 小さい妖精が現れ、くるくると俺の周りを飛び回りながら挨拶をしてくる。

 デスゲームの割に随分と親切設計だな。


「現実世界と同じスキル……」

「どうかしましたか?」

「なあ、俺って何のスキルが使えるんだろう?」

「えっ!? 何を言ってるんです? 自分のスキルを把握されていないのですか?」

「え、えっと、うん、まあ、そうだな」


 確か俺は魔力のない普通の人間だったはずだ。

 アイゼンを殴ったときは無我夢中だっただけだし……。


「とにかく、このゲームをクリアしないとここから脱出することは不可能です。早くラスボスのジャイアントパンダを倒してください」

「え、ラスボスってジャイアントパンダなの? あの愛らしい動物を倒すのは気が引けるなあ」


 とはいえ、ここでのんびりと雑談しているわけにはいかないな。


「ぴ、ぴぎぃ……」


 後ろから襲い掛かってきたモンスターが暇そうに待ち構えている。

 あ、そういえばこのゲーム、ターン制だった。


「なるほど、つまり俺が何の行動もしなければやられなくて済むというわけだ」

「せこっ!」


 ふむ。

 このまま何もしないと、ゲームもクリアできないか。


「よーし、右手からフレイムバースト、左手からサンダーボルト、合体魔法フレイムボルトッ!」


 しかし、何も起こらなかった。


「……何をされているんですか?」

「ゲーム世界なら使える気がしたんだ」


 こんなことなら、古の図書館で異世界の魔法のことを調べておけばよかった。

 悪魔のゴンちゃんなんかと戯れていたせいだな、うん。


「ピギィッ!」

「痛えッ! このやろう、俺はまだ何の攻撃もしてないだろうがッ!」

「いや、効果のない魔法を使ったじゃないですか」

「ええええ、あれはギャグだよ、ギャグ。あんなのを攻撃と見なさないでくれよ」


 所詮は、ゲームの世界か。

 俺の渾身のギャグが通用しないなんて。

 かくなるうえは……。


「逃げるッ!」

「ええ!? 逃げちゃうんですか?」


 ふー、なんとか逃げ切れたようだ。


「何やってるんですか。こんなんじゃゲームクリアなんてできませんよ? 経験値も獲得できないじゃないですか」

「ん? 経験値とかあるのか」

「もちろんですよ。スキル以外は以前のゲーム仕様のままですからね!」


 なるほど、つまり……。


「あっ! そこは、博士のデバッグルームじゃないですか! そんなところで何を……」

「何って、ちょっとレベルを調整しようかと」

「そ、そんなずるいです、せこいです! 正々堂々とクリアしてくださいよ!」

「こんなところに勝手に連れてきた博士の作ったゲームなんてまともにやってられるかってんだ」


 ふふ、ゲーマーのナイトさんにゲームで勝負を挑もうなんて百万年早いわ!

 こんな、一朝一夕で作ったようなゲームは俺の手にかかれば……。




 さてと、レベルもカンストしたことだしさっさとラスボスを倒すとするか。

 ラスボスのジャイアントパンダを召喚する。


「ほわー、ほわほわーっ!」

「ちげえ! これパンダじゃねえ! どっからどう見てもニワトリじゃねえか! つーか鳴き声がきめえ!」

「いえ、正真正銘のジャイアントパンダですよ」

「そ、そんなバカなッ!」


 これは、博士のセンスなのだろうか……。


「うりゃっ!」

「ほ、ほわーッ……」


 レベルを調整したとはいえ、通常攻撃を一発当てただけで倒しちまった。


「よっしゃ、ラスボス討伐完了!」

「……ど、どうしよう。博士に怒られちゃうよぅう」

「だいじょーぶ、博士は俺が倒すからッ!」


 フライヤが落胆しているが、適当に励ましておく。

 しばらくすると、辺りが暗くなり歪んでいく。

 どうやら元の世界へと切り替わったようだ。


「ふー、なんとか戻ってこれたぜ」


 アイゼンやクレアの姿が見えない。

 ま、まさか、俺をゲーム世界に閉じ込めてクレアと……ッ!?

 あのクソ野郎ッ!


 どこへ行きやがった!?

 俺の実験とやらを放棄して、クレアとイチャつくなんていい度胸じゃねえか!

 レベルがカンストした俺の力を見せてやるぜ!

 おっと、それはゲーム世界だけの話か。


 と、そこで多くの足音が聞こえてきた。

 どうやらこっちへ向かってきているようだ。


「怪しい人物を発見しましたっ!」

「えっ?」


 突然現れた、大量の兵士に取り囲まれてしまうのだった。

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