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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第六章 悪の秘密組織オリバー
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47 人体実験

「ククク……時を戻されても面倒だからね、まずは君からだよ、ニース?」

「ぐあああああっ!」

「やめろ、ニースを放せ!」


 アイゼンがニースに手をかざす。

 俺は、アイゼンを止めるために無我夢中で飛び掛かる。

 しかし、あと一歩のところでアイゼンが姿を消した。


「おやおや、随分と血気盛んな青年だねえ」

「くそ、どうして瞬時に移動できるんだ……」


 しかし、ニースを連れたまま移動はできないようだ。

 俺は、倒れるニースを抱きかかえる。


「う、うう……」

「ニース、大丈夫か!?」

「まさか勇者ファルスではなくアイゼン先生が僕らを裏切っていたなんてね……。信じていたのに……、見捨てられた僕たちを拾い育ててくれた……アイゼン先生を……。ただただ、それが悲しいよ……。フフ、悔しいなあ、三年前に時間を戻せれば……良いのに…………げほっ、ごほっ」

「もういい、もうしゃべるなッ!」


 首を掴まれていたせいか、やたら呼吸が苦しそうだ。

 くそ、俺に回復魔法が使えたら――。


「ククク、信じていたか。人間なんて上辺だけ優しくすればすぐに騙されるから扱いやすいよ。君らのように世間から疎まれた存在は、特にね。ククク……」

「き、きさまーッ!」

「ククク、君たちをもっと絶望のどん底に落としてあげようか。なぜ不思議な能力があるだけで、世間に嫌われたか知っているかい? ククク、私さ。私が情報操作したんだよッ!! 君たちの能力を調べる実験をしやすくするためにねッ!!」

「なんですって!? あんた、最低よ! 最低だわッ!」


 アイゼンはクレアのほうを見て笑う。


「ククク、君の兄も同じことを言っていたよ。今すぐに、子どもたちを解放し実験を中止しろ、とね。だから、殺したのさ! 私の邪魔をするものは排除しないといけないからねえ? ククク、やがてこの世界は全て私のものとなる。君たちがいくら抵抗しようともう遅いよ。実験はすでに終了した。私は、誰にも負けない絶大な力を手にしたのだ!」


 アイゼンが指をパチンと鳴らす。


「うぐ、か、身体が……動かない!」

「『身体制御』、ジェミンが得意としていたスキルを元に私が独自に改良したスキルだ。そして……」


 アイゼンが姿を消したかと思えば、背後に現れる。


「『空間制御』、空間を自在に操り距離を縮めることによって瞬時に移動することも可能」


 こ、このスキルは……、れ、レミエルの!?


「『情報制御』、『心理制御』、これらのスキルを駆使して私は人知れず、実験を進めることができた。そして、最後まで手こずっていた『時間制御』も、ナイト君のおかげで習得することができたよ。ククク、君たちは所詮、私の実験動物(モルモット)さ。全て私の思い通りに行動していた、というわけさ!」


 天を仰ぎ、そして高笑いをするアイゼン。

 そのアイゼンに向かって巨大な炎が放たれる。


「おやおや、まだ私と戦う気があったのかい? 無駄だよ、無駄無駄ァ! 時間をも操れる私に、もはや敵など存在しない!」

「な! ちょ、放しなさいよ!」


 アイゼンがクレアの後ろに移動すると、その身体を優しく撫で始める。


「ククク、三年前に比べて随分と成長したじゃないか。心も身体も、ね?」

「いやああああ、放してえええ!」

「やめろ、クレアから離れろッ! この変態ッ!」


「ククク、私がその気になれば、『身体制御』と『心理制御』で自在に操ることができる。これがどういう意味かわかるかい? 憎むべき相手を疑うことなく愛し続けるのさ! どうだい、素晴らしいだろう? これが、私の力だッ! ククク、全て、全て私の思い通りの世界なのだよ! 私は、この世界の神となったのだッ!」

「か、神ですって!? 笑わせないでッ! そんな力で人を支配しても悲しいだけよ!」

「ククク、いつまで強がっていられるかな?」


 アイゼンが嫌がるクレアを抱き寄せる。


「離れろって言ってんだろうがアアアッ!」

「おやおや、まるでイノシシだな。そんな単純に突進してくるだけでは、スキルを使うまでも……なっ!」

「何度も言わせるなよ? クレアからその薄汚い手をどけろっつってんだよ!」

「グハッ! な、なぜだ……、攻撃はしっかりと見えていたはず…………」


 俺がアイゼンを殴り飛ばす。

 吹き飛ばされたアイゼンは、よろよろと立ち上がりブツブツと何かを呟き始めた。


「く、ククク……そうか、そういうことか! まだ私の知らない能力が存在していたとはねッ! クク、ククク、良いだろう! ならば、私の人体実験の被験者となってもらおうかッ!」


 突然、辺りが暗闇に包まれる。

 

「こ、ここは、どこだ!? 一体何をした!?」

「クク、ククク……ここは、私が作り上げた仮想現実さ! ここで、実験の続きをさせてもらうとしよう。さあ、見せてくれたまえ、君の力を!」


 俺は、ゴーグル型ゲーム機で体験したロールプレイングゲームの世界に閉じ込められてしまったようだ。

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