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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第六章 悪の秘密組織オリバー
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40 見捨てられた異端者

「わぁ、これ、面白いですね!」

「フッ、そそそんな玩具で喜ぶなんてスフィアもまだまだ子どもだな」

「あ、あのあの、ニースさんもやりたかったんですね。気付かなくて、ごめんなさい。どうぞやってください」

「べべべ別にそいうわけではないんだがな。ま、まあスフィアがどうしてもって言うならやってみるかな」


 俺が持っていたゴーグル型最新ゲーム機に群がるオリバーの幹部たち。

 この光景だけ見ていると、ちっとも悪の秘密組織という感じがしない。

 本当にこいつらがカラリア王国の滅亡を企んでいたのか?


「あ、あのあの、ジェミンさんは悪くないんです! 悪いのは私たちを見捨てたカラリア王国なんです!」


 スフィアがそう答える。

 心を読まれたのか、厄介な能力だな。


「う、うう、厄介な能力でごめんなさい」

「あ、いや、俺のほうこそ不用意に変なことを思ってごめん。それで、見捨てられたってどういうことなの?」


 この四人、変わり者ではあるが悪人には見えない。

 なにか理由があったのだろう。


「あ、あのあの、私たち見ての通り『異端者』なんです」

「異端者?」

「そうです。例えば私は、何もしていなくても相手の心が読めてしまいます。そのせいで、悪魔だと言われ、石を投げられるんです。他の人も同じです。その特殊なスキルゆえに恐れられ、白い目で見られてしまうんです」


 悪魔か。

 確かに悪魔のゴンタは心というか人間の欲を読み取ってたっけな。

 でも、心が読めても口に出さなければそんな風に嫌われることはないような……。


「あ、あのあの、私、思ったことをつい口にしてしまうんです。そうしないと不公平な気がして落ち着かないんです、ごめんなさい」


 心を読めるよりもそっちのほうが厄介だな。

 口は災いの元って言うのに。


「これらのスキルは魔法とは違って、魔法結界が張られてる城だろうとなんだろうと、関係なく使えるんです」

「あー、それでジェミンはいとも簡単に牢屋から脱獄できたのか」


 カラリア王国ももう少し危機管理を持ったほうが良い気がする。

 俺も以前、脱獄してるわけだし。 


「ええ、ナイトさんも城に捕まってたんですか?」

「あ、ああ、ちょっと色々あってな」


 勇者クレアに理不尽な理由で捕まっただけだけど。


「ぐわああああっ!」


 突然、ゲームをプレイしていたニースの叫び声が響き渡る。

 慌てて、駆け寄る俺たち。


「あ、あのあの、どうしました? 大丈夫ですか?」

「うぐぐ、こ、これはゲーム機に見せかけたトラップだったようだ。僕としたことが迂闊だったぜ……ぐふ」


 そう言い残して、その場に倒れるニース。

 そうだった、このゲーム機は痛みまでリアルに再現されているんだった。

 ちゃんと言っておくべきだったか、悪いことしたなー。


「ただいまなのさ! あれ? あたいが出かけてる間に何があったんだい?」


 と、そこにどこかへ出かけていたジェミンが帰ってくる。


「ちょっとちょっと、これナイトの仕業だろう? よくもあたいの仲間を傷つけてくれたね? せっかく仲間にしてやろうと思ってたのにヒドイじゃないのよさ!」

「いや、違うから! うわああああ」


 ひょいひょいとジャグリングに使ってたコップを俺めがけて投げてくる。

 その一つが俺の顔面に直撃したのだった。






「あ、あのあの、大丈夫ですか?」

「う、うーん、なんとか……」

「あはは、悪かったよ。あたいとしたことがとんだ早とちりだったみたいだねえ」

「笑いごとじゃないですよ。言ったでしょ、俺は何のスキルもないただの一般人だって」


 危うく死にかけたじゃねーか。


「でもでも、ジェミンさんの誤解は私が解いておきましたから安心してくださいね」

「お、おう、ありがとうな。ところでジェミンさんはどこへ行ってたんですか?」

「ちょいと、食べ物をゲットしてきたのよさ!」

「食べ物?」


 え、これって……。


「これ、どうやって手に入れたんですか? ま、まさかビッツェを操って?」

「違う違う、祭りの参加者を操り少し分けてもらっただけなのよさ」

「あ、あのあの、ジェミンさんは悪くないので責めないでください。こうでもしないと私たち飢えて死んでしまうんですっ!」

「ちょ、ちょっと待って、そんなことしなくても勇者が全員に食糧を配給してるはずだけど……」


 俺は、勇者を手伝って配給作業もしているが、そんな異端者だなんだで差別した覚えはないぞ。


「私たちは異端者ですから、城に近づくことはできないのです。祭りにも当然、参加できません」


 スフィアが悲しそうに呟くのだった。

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