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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第四章 カラリア王国の陰謀
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28 ミルフィ救出

「ミルフィ! 無事だったのね、良かった!」


 治癒魔方陣のある部屋から奥へ進むと、そこにいたのは縛られた状態のミルフィ。


「クレアちゃんも無事で良かったわ。あ、あら? 後ろにいるのはもしかして……」

「どうも、ミルフィさん。お久しぶりです」

「うおりゃあ、ちょっとこっちこいや、てめえ。今、成仏させてやっからよ! おらおら!」

「あ、違います。幽霊じゃないです。やめて、痛い、痛いですってば!」


 ミルフィに手厚い歓迎を受ける俺。

 どうやら、ミルフィは未だに俺がスライムにやられて死んだと思っていたようだ。

 それにしても、相変わらず魔法を使うときのミルフィさんは鬼の形相である。


「ところで、ミルフィさんはこんなところで何やってるんですか? 緊縛プレイか何か?」

「あらあら、違うわよ~。カラリア王国の兵士長に捕まってしまったんです~」

「兵士長に!? そ、それで兵士長に縛られて何をされたんですか! なんてうらやましい……じゃなくて、許せませんね! 俺が兵士長をぶん殴ってやりますよ!」


 縛られていたミルフィさんを解放していると、後ろの方で何やらライアンが騒いでる。

 ちょっと相手にしないだけで、すぐ構ってもらいたがるんだから面倒な奴だぜ、全く。


「はいはい、どうした変態仮面? 腹が減ったなら、昨日の一晩寝かせたカレーを……」

「す、スライムが! スライムがああああっ!」

「んー? なんだよ、どうしたんだよ。こんな狭い部屋にスライムがいるわけ……って本当にいたあああああっ!」


 俺が振り返ると、そこには巨大なスライム。

 ぎゅうぎゅうに押しつぶされて身動きが取れないのか、ぐにょぐにょと怪しくうごめいている。


「何よこれ。スライムのおしくらまんじゅう大会?」

「んなわけあるか! なんだかよくわからないが、動けない今がチャンスだッ!」


 千載一遇のチャンスとばかりに、スライムに攻撃しようとする俺。

 しかし、ミルフィが両手を開いて制止してきた。


「な、何してるんですかミルフィさん。こんなときにまた誘ってるんですか!」

「違うわよ~。あのスライムは魔王ちゃんなのよ~。だから、倒しちゃダメなの~」

「はぁ!? 何をわけのわからないことを言ってるんですか! 魔王があんな巨大なゼリー状モンスターなわけないじゃないですか!」

「本当なのよ~、助けに来てくれた魔王ちゃんが変身したんです~」


 何を言うかと思えば、あのスライムが魔王シャルノだと言い張るミルフィ。

 変身ヒーローじゃあるまいし、そんな話あるはずが……。


「なるほど。全て謎は解けたわ!」

「って、またすぐ信用してるし! クレア! お前は少し人を疑うということをだな……」

「ふふ、名探偵である私に解けない問題などないのよ!」

「いつから名探偵になったんだよ。お前勇者だろうが!」


 こんな時にやたらとテンションの高いクレアがペラペラと解説し始める。

 スライムは空気を読んでいるのか攻撃してくる様子もない。


「――というわけよ! どうかしら?」

「な、なるほど一理あるかもしれないな」

「でしょでしょ? それならナイトがスライムに変身してたのも頷けるし……あっ!」

「ん? 俺がなんだって?」


 何かをぼそっと言いかけたクレアが途端に話を逸らそうとする。

 話を要約するとこうだ。


 魔道兵器の生みの親は、魔法使いであるビッツェ。

 その魔法使いが『天の恵み』に混ぜて、スライムの素となる物質を人々に食べさせる。

 ある一定以上の魔力を蓄えた人間が、魔道兵器『スライム』となり人々を襲う。

 大食い魔王シャルノが頻繁にスライムに変わるのは、たくさん食べているから。


 うーむ、クレアの推理にしてはなかなか筋が通っているようにも思えるが。


「ただそれだと、魔法使いの目的がわからないな」

「どうしてよ? 自分を襲ってくる人々を懲らしめたかったんでしょ、きっと!」

「いや、懲らしめるなら料理そのものを降らせなければ済む話だろ? わざわざ魔道兵器を作り出したりする必要がないじゃないか」

「確かにそうね……」


 解けたかのように思えた謎は再び振り出しへと戻ってしまう。

 天候を司る魔法使い、一体何が目的なんだ!?


「あの、さっきから魔道兵器がどうとかって一体何の話をしているんですか~?」

「あ、そうだ。ミルフィさん、魔法使いはどこです? 一緒に居たんですよね?」

「ええ、ずっと一緒だったわよ~。昨日の夜なんかもお楽しみだったし、ね?」

「あ、そういう話じゃなくてですね」


 俺たちが命がけでミルフィさんを救出しようとしてたってのに。


「そうそう~、言い忘れてたけど、私、ビッツェさんと結婚することにしたのよ~」

「はいぃいっ!?」


 ミルフィさんは少し照れ笑いを浮かべながら、とんでもないことを言いだした。

 この人は、本当に何を考えているのかよくわからない。

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