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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第四章 カラリア王国の陰謀
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27 治癒魔方陣

「……ッ!? お、お前は……」


 俺が兵士に気を取られていると、後ろからライアンに槍で突き刺された。


「ら、ライアン……君が、どうして?」

「ふふ、や、やったぞ! 僕が、この僕が凶悪なモンスターを倒したんだッ! 僕が世界を救ったんだッ!!」


 きょ、凶悪な……モンスター?

 この俺が?

 一体、何を言ってるんだ……。


「よくもナイトを殺してくれたわね、この変態仮面ッ!」

「ふ、やはり勇者もモンスターの仲間だったのか。他のやつらは騙せても、この正義の味方、グレート仮面の目は欺け……ぐはぁ!」


 俺死んでねーし。

 ライアンがポーズを決めようとしたが、クレアに殴られ宙を舞う。


「はっ、しまった! ついイラっとして一般市民を傷つけてしまったわ!」

「おま、いつも俺殴ってるじゃねえか、今更何言っちゃってんの!?」


 とりあえずライアンを捕縛し、城の中を移動する。


「あ、あの、もうしませんから許してください、お願いします」

「信用できません」

「あ、今度、可愛い子紹介しますから、お願いします。縄をほどいてください」

「ほう」

「ちょっと、何を釣られてるのよ! バカなんじゃないの!」


 城の中を歩きながら、そんな話をする。

 しかし、城の中には大量の兵士が倒れているだけだった。


「おい、変態仮面!」

「あの、その呼び方やめてくれない?」

「おい、変態ライアン! この城で何が起こったんだ?」

「変わってねえ! 知らないよ。僕は、シャルノちゃんを追いかけてここまで来ただけなんだ。見失っちゃったけどね」


 魔王を?

 急に姿を消したと思ったら、カラリア王国に戻ってきていたのか。


「あー、もうわけがわかんねえ。一体、誰が敵で誰が味方なんだよ!」

「僕が、唯一の正義の味方さ。そして、他のやつらはみんな敵だ! どいつもこいつも嘘つきだの変態だの言いやがって……ぐすん」

「それは、自業自得だと思うが……ん?」


 城の広間のようなところで、何やら怪しげな光を放つ魔方陣を発見する。


「うーむ、これは、なんだろうか」

「何かしらね。よし、そこの変態! ちょっと中に入ってみなさい!」

「え、ぼ、僕? そ、そんな。何かの罠だったらどうするの?」

「だからあんたが先に入って調べるんじゃないっ! さっさと入りなさいよね!」


 クレアがライアンを蹴飛ばして魔方陣の中へと押しやる。


「うわああああああッ!」

「お、おい、なんかものすごい叫び声をあげてるぞ。早く助けてやれよ」

「イヤよ! きっと、私たちを殺そうとして巧妙に仕掛けられた罠ね! 危ないところだったわ!」

「いや、見るからに怪しかったと思うんだけど……」


 そう言いながら、何事もなかったかのように進み始めるクレア。


「おい、酷いじゃないか。僕を見捨てて先に進むなんて。この悪魔の化身めっ!」

「何? 誰が悪魔の化身ですって? もう一度言ってみなさい!」

「いて、いててて、す、すみませんでした。僕を置いていかないでください、お願いします」


 なんか飼い主とペットみたいな関係だな。

 縄をつけてるから、ちょうどペットを散歩してるようにも見えなくもない。


「ところで、あの魔方陣はなんだったんだよ」

「ああ、あれですか。ただの治癒魔方陣でした」

「治癒? じゃあなんであんな叫んだりしたんだよ!」

「……? 治癒魔法なんだから痛くて叫んでしまうのは当然じゃないですか」


 そういえばそうだった。

 この世界の回復魔法はなぜか痛みを伴うのだ。

 痛み無くして回復なしなのだ。


「きゃあああああっ!」


 突如、クレアの叫び声が城中に響き渡る。


「く、クレア?! って何やってんだお前」

「い、痛いぃいい、痛いけど気持ちいいぃいい!」

「……置いてくぞ」


 俺が驚いて振り返ると、治癒魔方陣の中で悶絶しながら息を荒げているクレア。

 ライアンより、この勇者のほうが変態だったようだ。


「ナイトも槍で刺されてるんだから、中に入ったほうが良いんじゃないの?」

「いや、結構だ。大した怪我じゃないしな」

「ええっ!? 思いっきり貫通してたように見えたわよ?」

「いや、痛みは感じないから大丈夫だ。治療の痛みを耐えるくらいなら、このままのほうがマシ……バカ、何をする、やめ、うぎゃああああああっ!」


 嫌がる俺を無理やり治癒魔方陣の中へと押しやる勇者。

 激痛で意識が飛びそうになる。


「ぜえぜえ、酷い目にあった」

「怪我は治しておかないとダメでしょっ! きっと、この部屋の向こうにボスが待ちかまているはずだから!」

「それは言わないお約束だと思うんだ」


 治癒魔方陣で傷を癒した俺たちは、さらに城の奥へと入っていった。

 

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