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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第四章 カラリア王国の陰謀
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25 幻の大地プリムレア

「ハァハァ、大丈夫か?」

「うん、大丈夫。そんなことより急がないと!」


 俺たちは、幻想の町レジェンダを後にし、そこから北西部にある幻の大地プリムレアを目指していた。

 ユウナの話では、そこに天候を司る魔法使いがいるらしい。


「ねえ、あんなやつの話を信じるっていうの?」

「ああ? ユウナのことか? 一応、幼馴染だしな。ちょっとおかしなところはあるが嘘をつくようなやつじゃないんだよ」


 ユウナが告げた、真実。

 それは、にわかには信じがたいことだった。


 カラリア王国が天候を司る魔法使いを私利私欲のために利用しようとしてるなんて!

 過去数千年に渡り、幾度となく魔法使いたちと交戦を続けたカラリア王国。


 しかし、何度も兵士を派遣したものの、魔法使いが作り出した魔道兵器によってことごとく全滅。

 そして、思いついたのが今回の作戦、というわけだ。

 勇者や魔王を利用し、目的の魔法使いを確保すること。

 それが、カラリア王国の真の目的だったのだ。


 つまり、兵士長であるドバイは最初から勇者に従っていたわけでも、黄金プリンを狙っていたわけでもなかったのだ。

 狙いはただ一つ、天候を司る魔法使いただ一人。


 俺たちはまんまと騙されて利用されていたということになる。

 そして、今。

 クリスタルドラゴンの洞窟崩壊の騒ぎに乗じて、俺たちを出し抜いたカラリア王国の兵士たちは一足先にプリムレアに進撃しているらしい。

 最強の武力集団であるやつらが倒せなかった魔道兵器『クリスタルドラゴン』はもういない。

 だから、彼らにはもう勇者や魔王の力は必要ないというわけだ。


 くそ、兵士長め。

 俺たちを何度も助けてくれたのは何だったんだッ!





「ここに間違いないわッ! 私が以前、飛ばされた場所よ!」


 切り立った崖を登ると、そこには一軒の大きな家。

 兵士たちの姿は見えない。


「おい、魔王はどうした?」

「あれ? さっきまでそこにいたのにっ! もう、こんなときに何やってるのよっ!」

「今は、それどころじゃない。先を急ごう!」


 俺たちは急いで家に向かう。

 頼む、間に合ってくれッ!


「ミルフィッ! どこだっ! いたら返事してくれッ!」


 ガタン、と勢いよく扉を開けて入る。

 しかし、部屋の中は静まり返っていた。


「くそ、間に合わなかったかっ!」

「私のせいだ……私が、兵士たちに頼んだからッ! 私が、魔道兵器を倒しちゃったからッ!」

「おい、泣いてる場合じゃねえッ! 手分けして探すんだ。俺が気を失ってた時間を考慮してもそれほど遠くへ行ったとは思えないッ!」


 くそう、どこだ。

 どこにいる?


 こんな時に、俺に力があれば――ッ!




「ナイト、こっちにきてッ!」

「なんだ、誰かいたのか?」

「ううん、違うの。でも、こっちに何かあるみたい!」

「こ、これは……隠し扉?」


 扉の向こうには地下へと続く階段。

 俺たちは、恐る恐る地下へと降りて行った。


 地下とは思えないほどの広い空間。

 長いこと使われていなかった研究施設のようだ。

 パソコンのような機械がいくつも並んでいる。


「魔道研究所……? ナイト、見て! クリスタルドラゴンの設計図があるわ。やっぱり、あの魔道兵器は、魔法使いが作ったものだったのよ!」

「こりゃすげえや。科学と魔法を組み合わせて……あれ? 科学……?」


 これってもしかして……。


「ちょっと待って。他にも設計図があるわ! ……えっ? こ、これって……!」

「どうしたんだよ、おいっ!」


 ショックのあまり茫然とするクレアから無理やり設計図を奪い取る。

 一体、何が書かれてるっていうんだ。


「ま、魔道兵器『スライム』……? な、なんだこれは!?」


 突如として町を襲う巨大モンスターのスライム。

 そのスライムの正体は、魔法使いが作り出した魔道兵器だったというのか!


 ギィィ。

 扉が急に閉まる。


「えっ!? と、閉じ込められた? 嘘でしょ? 他に誰もいなかったはずなのにッ!」

「ちっ、こんな時に! 仕方ない、一旦移動魔法でここから出よう!」

「無理よ! この家には特殊な結界が張られているの。私の移動魔法は使えないわッ!」


 なんてこったい。

 くそ、一体、誰がこんなことを……。


「残念ニャ……。ナイトっちとはお友達になれると思ってたのにニャア……」

「そ、その声は、れ、レミエル!?」


 研究所の物陰から現れたのは魔王の側近レミエルだった。


「ちょっと、悪ふざけしてないで部屋の扉を開けなさいよ! スライムを操っていたのは、魔法使いビッツェだったのよ! 私は絶対に許さない。この命に代えてもやつを倒すっ!」

「そんなことをしたら、世界中の人々が飢えて死ぬことになるニャ」

「それでも構わないッ! 私は、私はッ!!」


 取り乱すクレアが、レミエルに殴りかかるが素早い身のこなしでなんなくかわすレミエル。


「おいおい、落ち着けよ。レミエル、お前も俺たちの仲間だろ? なんでこんなことを……」

「仲間……、そう言ってくれて嬉しいニャ。うちもナイトっちと一緒に過ごした時間は決して忘れないニャ!」

「それなら、扉を開けてくれ。早くしないと取り返しがつかないことになるッ!」

「無理ニャ。魔王様を守るにはこうするしかないのニャ」


 何をわけのわからないことを言っているんだ。

 魔王が、一体なんだっていうんだよッ!

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