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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第三章 幻の黄金プリンを目指して
24/73

23 クリスタルドラゴン

「ぐはぁッ!」

「ドバイさん!」


 なんてこった。

 あのドバイさんが、初めて攻撃を受けた。


 相手は、眩い光を放つクリスタルドラゴン。

 どうやらこの洞窟の主らしい。


「ど、ど、どうしよう? ナイトがいけないのよ! あんな宝箱を見つけるから!」

「開けたのはお前だろうが! 見るからに怪しかったのに! 開けるな危険とまで注意書きが書いてあったのに!」

「だ、だ、だって仕方ないじゃないっ! 開けるなって言われたら開けたくなるのが人情ってもんよ!」


 確かに、俺も何が入ってるか気になってたわけだが。

 まさか、中からモンスターが出てくるなんて。


「ケンカしてる場合じゃないですよ」

「わ、分かってるよ。シャルノ、お前はドバイさんの回復と支援を頼む。クレアは、後方から魔法で攻撃だ」

「ふん、言われなくてもそうするわよ!」


 とにかくここは冷静に対処しなければならない。

 今まで、ずっとドバイさん無双状態だったからな。


「他の兵士は、俺が合図をしたら一斉に後ろから攻撃してください」


 あのモンスター、図体はでかいが動きが鈍い。

 取り囲んで一斉攻撃してしまえばなんとかなるかもしれない。


「フレイムバーストッ!」


 クレアがクリスタルドラゴンに炎の魔法を放つ。

 物凄い轟音と共に、一気に土煙が舞う。

 すげえすげえ、以前魔王と戦ってた時よりも威力が上がってる!

 この世界にもレベルという概念があるのだろうか。


「やったか!?」

「……! き、効いてない!? 私の全身全霊の魔法でかすり傷一つ負わないなんて!」


 クリスタルドラゴンが唸り声と共に口からキャノンミサイルを飛ばしてくる。

 どういうことだ、モンスターじゃないのか?


「グレープガードッ!」


 間一髪のところで、シャルノが魔法の盾を張る。

 それと同時に兵士長がクリスタルドラゴンの眉間目掛けて切りかかる。


 パキンと音を立ててドバイ兵士長の剣が折れた。

 な、なんやてえ。あの岩のモンスターさえも一刀両断の武器がっ!


 ――全滅ッ!

 

 全身に悪寒が走る。


「ぐ……、まずいな。ここは私に任せてお前たちは逃げるんだ!」


 折れた剣を手に、叫ぶ兵士長。

 その声で、後ろから攻撃の隙をうかがっていた兵士たちもどよめき始める。

 

 どうする?

 クリスタルドラゴンの注意は兵士長に向いている。

 今なら、勇者と共に逃げ帰ることはできるかもしれない。


 だけど……。


「俺は、逃げないッ! ここで諦めてしまったら、ここまで来た意味がねえッ!」


 何か、何かあるはずだ。

 やつを倒す方法が。


 思い出せ。

 異世界の経験を――。


 呼び覚ませ。

 眠れる力を――。


 奮い立たせろ。

 今こそ戦うときなんだ――。


「うおおおおっ!」


 不思議な感覚だ。

 全身に力が漲ってくる。


 イケル!

 これならやつを倒せるッ!





「待ってください!」

「ちょ、おま、せっかく良いところだったのにっ!」


 俺がノリノリで力をためていたのに、シャルノが水を差してきた。


「その力を使ってはダメです」

「……?」


 何の話だ?


「ここは私にお任せくださいな」


 シャルノが優しい口調でそう言った。

 おいおい、ドバイやクレアですら歯が立たないのに一体何をするつもりだ。

 ずいっと前に出て、クリスタルドラゴンに向かって両手をかざすシャルノ。


「破壊と創造の神の名において、我が魂の呼びかけに応えその力を消滅させん! メロンウェーブ!」


 怪しげな緑色の光に包まれる。

 今までに見たことのない魔法だ。


「ぐおおおおっ!」

「きゃあっ!」


 クリスタルドラゴンが何事もなかったかのように、レーザーキャノンをぶちかましてくる。

 シャルノは吹き飛ばされころころと転がる。


「全然ダメじゃねーか! 何やってんだ!」

「ハァハァ、いえ、これで良いのですよ。やつはモンスターなんかではありませんッ! 魔道兵器です!」

「……ま、魔道兵器!? それが今の魔法と何の関係があるんだよ!」

「魔道兵器には、どんな攻撃も寄せ付けないバリアが張られているのです。今それを剥がしました」


 どうやら、攻撃で傷一つつかなかったのはバリアのせいらしい。


「さあ、勇者さん。次はあなたの出番です。もう一度、魔法を撃ってみてください!」

「わ、分かったわ! フレイムバーストォ!」


 再び物凄い轟音と共にクリスタルドラゴンが粉々に砕け散った。


「やったわ!」


 両手をぎゅっとして大喜びするクレア。

 それと同時に、洞窟が激しく揺れ始める。


「ちょ、やり過ぎだっ! 洞窟が……崩れるッ!」

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