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俺の知ってる異世界と違う  作者: オッド
第三章 幻の黄金プリンを目指して
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19 幻の黄金プリン

「よーし、黄金プリンをゲットしに行くわよーッ!」


 クレアが拳を天高く突き上げて叫ぶ。

 昨日は、うーうー唸りながら「ミルフィはどこなの」と連呼していたくせに一体どういう風の吹き回しだ。

 勇者はたまに突拍子もなくおかしなことを言うから困る。


「お? 急にどうしたんだ?」

「ミルフィを助けに行くのよ! 私の推測が正しければ、ミルフィは黄金プリンが手に入る幻のエリア『プリムレア』にいるはずなの」


 お、一応、ミルフィのことを考えての行動らしい。

 しかしなー、黄金プリンって数千人必要な超難易度が高い幻の食材って話だったけど。

 まあ、落ち込んでるよりこっちのほうが勇者らしくて良いけどさ。


「それで、そのプリムレアってどこにあるんだ?」

「知らないわッ!」


 知らないんかいッ!

 てっきり目星がついてるものだと思ってたわけだが。


「おいおい、場所もわからないのにどうやって行くんだよ」

「大丈夫よ! 案内人としてカラリア王国の兵士を数人連れて行くから!」


 どうやら、カラリア王国は古来より幻の黄金プリンを求めて何度か兵士を派遣してるらしい。

 ことごとく全滅してるらしいけどね。


「ふーん、まあ大変そうだけど、頑張れよー。俺はのんびり今日の祭りの準備を進めておくか……ラッ!?」

「あんたも連れて行くに決まってんでしょッ! 私の壁だってことを忘れたわけじゃないでしょうね?」


 ぐ、いてて、いちいち殴らなくても良いのに。

 全く、なんだって俺はこんな暴力勇者をスライムなんかから守っちまったんだろうな。






 そして、数分後、クレアは城の兵士を大量に引きつれて戻ってきた。

 いくら勇者だからって、ホイホイついてくる兵士ってどうなんだよ。


「んふふ、なんだかこういうのってワクワクするわね! 冒険って感じだわ!」

「なんでそんな能天気なんだよ。ここ数年の間、誰も黄金プリンをゲットできた者はいないんだろう?」

「ええ、そうよ! だからこそ、勇者としての腕が鳴るってもんじゃないの!」


 ふむ。

 なんかこの勇者、無理に明るく振る舞ってるような気がする。

 いつも一緒にいたミルフィがいなくて寂しい気持ちを押し隠すかのように。


 とりあえず、祭りの時間なんかもあるのでゆっくりはしていられない。

 兵士たちの後に続いて怪しげな森の中へと入っていく。


「気を付けてね、ここには凶悪なモンスターが潜んでるらしいから」


 ニコニコしながら、勇者がそんなことを言う。

 気を付けたところで、俺みたいな一般人は一瞬でやられてしまう気がする。

 あのスライムの時みたいに……。


 ああ、嫌なことを思い出しちまった。





 道がどんどんと険しくなる。

 草木を掻き分けながら進む。

 時折、モンスターが出てきては兵士やクレアが瞬殺していく。


 クレアはともかく兵士がやけに強い。

 特に、あの兵士長のドバイさんは目にも止まらぬ早業でモンスターを切り伏せてるし。

 あの人なら、スライムさえも一刀両断にしてしまいそうだ。


 しかし、そんな強い兵士たちが全滅するような場所って一体どんなところなんだよ。

 俺一人だけ場違いな気がするんですけど。


「大丈夫よ、ナイトは私が守るからね」

「え? 何言ってんだよ、守るのは俺の役目だろう?」


 ふふっと笑いながらクレアが言う。

 全く、何を考えてるのやら。

 守るっていうなら、俺をこんな危険地帯に連れてこないでほしい。


「……何者かにつけられているな」


 突然、兵士長が渋い声で言った。

 何々? また別のモンスター?


 突然、慌ただしく陣形を組み直す兵士たち。

 辺りは静まり返る。

 森の奇妙な生物の薄気味悪い鳴き声だけが響き渡る。

 森の中だっていうのに、日の光がほとんど入らずに薄暗い。

 辺りを見渡して見るが何かいるようには感じられない。


「何もいないじゃない。気のせいだったんじゃないの?」


 クレアがふっと息を吐きながら言った。

 そのクレアの背後が怪しく光る。


「ギャオオオオオッ!」


 それと同時に、数メートルはあろうかという巨大な豹が現れた。


「クレアッ!」


 俺が叫ぶも、クレアは足がすくんで動けないようだ。

 兵士長がそれに気付き瞬時にクレアのほうへ向かう。

 しかし、モンスターの動きのほうがわずかに速い。


 ――ダメだ、間に合わないッ!




「――ストロベリープレッシャーッ!」


 突然、聞き覚えのある声が森に響き渡った。

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