第九話 パーティー離脱
― L・B・O リミット ブレ~ィク♪ ―
AQAを大破させたことで整備姉さんに、こっ酷く叱られた後、AQAを修理するか新造するか選ぶように言われた。
「修理か、新造かどちらが良いんだろう?」
俺としてはゴブよりも噛み付きスキルを活用できるコボを新たに造ったほうが良いと思うのだが・・・。
「修理コストと、どんなAQAが作れるのか探ってみてちょうだい。」
サーシャに言われて、修理コストを確認すると、『機械装甲の修理には18ガルマと機械装甲の欠片×6、装甲、電子回路、連結板のパーツが必要です。』と表示された。これはインターミッションで言われた修理コストよりかなり高くなっている。
次に選択可能な新造AQAは、ランク3AQAで10種と、ランク5AQAのリヴァイア・サクトゥ(専用機)1種である。どうやらコボやゴブは作れない様だ。この事を皆に話すと一様にランク5のAQAを勧められる。なるほど、ランクが高いほうが強いって訳か、よし、ランク5にするか。
・・・だが、パーツが足らなかった。他にも鉱石や宝石が必要らしくて、ランク3のAQAすら造れないみたいだ。
「どうやら採取ポイントを見逃してしまったのが禍したわね。次のミッションでは注意して採取ポイントを探りましょう。」
新造は諦めて修理をしようとしたのだが、サーシャに止められた。修理をする前にやる事があると言う。それは・・・。
「トウマにはLBOについてもっと勉強してもらうわ。あまりにゲームを知らなさ過ぎるもの、自室の電子机でLBOのマニュアルを全て覚えるのよ。分からない事はヘルプ機能を使って頂戴。」
俺が勉強している間、皆は再度ミッション1に挑み採取ポイントを探したり、素体レベルを上げるらしい。格納庫に来て分かったことは機体レベルを上げないと上位ランクの機械装甲が装備できないという事。武器もまた同様で、機体レベルを上げなければ武器を複数装備したり、強い武器を装備することは出来ないようだ。
ボス撃破後にサーシャに言われていた俺のAQA素体の姿なんだが、なんと筋骨隆々で逞しい姿になっていた。羽や尻尾はないがグロテスクな黒い悪魔の様で、見た目はちょっと怖い。素体レベルが一気に上がったので徐々に姿が変わっていくのか、一定のレベルを超えると変わるのかは不明だが、正直なところ機械装甲を装備しなくても戦えそうな気がする。
司令室に向かおうと格納庫を出ようとしたら整備姉さんに呼び止められた。
「トウマ、ちょっと待って、レスナー司令官から許可を得て貴方のAQAに新機能を追加しておいたわ。後で確認しておいて頂戴。」
何だろうと気になって早速確認してみると、操縦席中央の第一モニターに地図機能が追加されていた。それだけじゃない、一瞬で機械装甲を外せる機能があるパージボタンというものを見つけた。整備姉さんが言うには戦場で再び機械装甲を装備するには手動で取り付けるしか無いらしい。予め脱着部位を指定しておけば頭装備だけのパージも可能なので、敵を食べる時や、バイトスキルを使用する際に、このパージボタンは役立ちそうだ。
他には、探索範囲は狭いが採取場所を探す機能や、脚の機械装甲装備時は二段ジャンプが可能になったそうだ。整備姉さんがブースターエンジンを追加したことによりどうのこうのと言っていたが詳しい内容は理解できないので、地上からジャンプし、更に空中でもう一度ジャンプが出来る機能なのだと思っておく事にした。
一通り説明を聞き終わると整備姉さんにお礼を言って俺達は格納庫をあとにする。
― リミッブレィクッ! ―
四階司令室に着くと体が勝手に動き、レスナー司令官と対話する事になった。
「トウマ、報告書によると、お前は東方の守護獣、水神龍カークヴェレストの眷属、テンザクチバクリュウを倒したそうだな・・・・」
長時間レスナー司令官に説教された。曰く、テンザクチバクリュウは水神龍カークヴェレストに仕える龍で、水神龍を怒らせる事になるので決して手を出してはいけなかったらしい。罰として風神虎ウェアルティガーの眷属であるハクハナイモウコの白尾を水神竜に捧げるよう命じられた。この事を仲間たちに話すと、ナックは次のミッションのボスは虎になるだろうと予測していた。因みに、説教はイベントなのでレスナー司令官を怒らせた事については気にする必要はないそうだ。
「時間的に見て、次のミッション終了後、休息を取る事にしましょう。明日からは一日三ミッションを目標にします。先のステージへ進むにつれて難易度も上がり、ミッションクリアまでに費やす時間は長くなるでしょう。一日二ミッションになるかも知れませんが、その分、実入りも多くなるはずです。効率よくソウルポイントを得るために頑張っていきましょう。早く攻略法を見つけられる様、皆の協力と活躍に期待しているわ。」
サーシャは【指揮】スキルを持っていてリーダー的な言動や行動をするとスキルレベルが上がるらしい、それで行動方針の決定とか、戦闘指示はサーシャがやっていたのか・・・成程納得だな。
他に選べるミッションはミッション2:【哨戒任務】と、エクストラミッション1:【水神龍への導き】(参加制限有り)があるのだが、機甲材の採取を行うべく、再度ミッション1:【輸送車護衛】に挑む事になった。
「ちょっと待ってくれ、やっぱりミッション1は難易度☆×1やわ。トウマの方はどうや?やっぱり★×5なんか?」
キタの表示画面では難易度表示は★ではなく☆であり、星の数も違っている様だが、俺の方は★×5なんだよな。
「・・・ああ、やはり俺が原因みたいだな、俺の方は難易度が★×5になっている。」
「私の方も☆×1ね。他の皆はどうなっているのかしら?」
「僕の方も☆×1だよ。」
「俺の方も同じく☆×1だな。」
やはり俺以外は☆×1だった。そうだよな、これは俺のマイナス幸運力が原因だよな。
「しかもミッション1は未クリア状態やで、ミッション2は表示されてへんけど、EXミッションが追加されてるわ。参加条件が飛行可能やから、EXミッションは選択でけへんけどな。」
「それなら、【低空飛行】スキルのあるトウマなら参加できるんじゃないか?」
「ああ、俺は大丈夫みたいだな。難易度表示が★×6だから出てくる敵も強いのかな?俺一人では無理かも知れないな。」
色々と試行錯誤して改めて分かった事は以下の通りだ。
・俺がパーティーに入っていると難易度が★×5でミッションが始まる。(決定ボタンを押す前に確認できた。)
・俺がパーティーから外れると難易度が☆×1でミッションが始まる。
・今のところ俺は☆のミッションに参加できそうにない。
・EXミッションの参加資格は【飛行能力】なので、今のところ【低空飛行】のスキルを持つ俺だけがこのミッションに参加できる。
そして協議の結果、俺はパーティーから外れて他の皆が☆×1のミッションをクリアするという事に決まった。
除け者にする様で気が引けるとウェスは言ってくれたが、俺にはしなければならない事がある。それはヘルプ機能を使って、LBOを学ぶ事だ。俺はゲームというものを余りにも知らなさすぎるので、今回パーティーから外れる事は絶好の機会を得たのだと皆に説明して渋々納得してもらった。