表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Limit Break Online  作者: 円連
第三章:出撃、サーシャ小隊
66/78

第六十六話 クロスイベント オヅヌ+ケントツカムイVS緑軍グリムドゥーナ騎士団+耳長騎士と笑顔仮面【4】

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

エネミーネーム:ケントツカムイ

機体レベル:44 RANK5


パイロットネーム:主力部隊兵士×8

素体レベル:16

AQA:クリンス RANK2

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑


 この猪武者、機体スキル【洞察】で調べてみるとケントツカムイと呼ぶらしい。センカクゴギュウと似たような獣頭人身の魔機獣だ。

 武骨な鎧姿で剣十文字の槍を携え、イノシシなのに猪突猛進とは懸け離れた体捌きで縦横無尽に戦場を駆け回っていた。


 ……あれ?そういえば俺の勝利条件は精霊結界の解除と魔機獣の封印解除だったよな。

 それなのに、封印されたままであるはずの魔機獣ケントツカムイが主力部隊を全滅させる勢いで暴れまわっている。


 十文字槍は穂先に剣状の枝が付いており、真っ直ぐ突くだけでなく横払いで振り突く事も可能な構造をしている。剣十文字で敵機の足を突き払い脚部装甲を破壊しつつ転倒させ、素体部分に止めの突きを入れる。この槍の石突部は鉤爪になっていて、離れた敵には槍から鎖の付いた鉤爪を飛ばして敵を絡め取り槍の攻撃範囲まで引き寄せる。

 ケントツカムイは強引に引き寄せた敵機の頭部目掛けて槍の直突きを繰り出すが、雑魚AQAは寸でのところで首をひねり槍先を避ける。

 雑魚にしては必至の頑張りが覗え、槍先は回避したが、やはりそこは雑魚、剣十文字の枝刃で斬られ頭部装甲は破壊されてしまう。

 槍を突き出したなら次は引き戻すもの、戻す際に枝刃が敵機AQAの後頭部から素体頭部を切断、一回の挙動で二連撃を繰り出し撃破してしまう。

 見た目はイノシシなのに意外と技巧派だな。


 一機、また一機とケントツカムイが槍を振るう度に緑軍主力AQAは装甲を砕かれ撃破されていく。主力部隊と言っても、その殆どがRANK1のAQAで構成されており、RANK2のAQAは多くない。

 それでも、残る五機のAQAは全機RANK2であり、機体性能の高さが生存率の高さとして現れるのだと如実に物語っている。とは言え、格上のケントツカムイが相手では全滅は必至、あとは時間の問題だろう。

 もし緑軍に赤軍や青軍の隊長機クラスが居たならば、例えRANKが上の相手であろうとも倒せるだろうが、戦場に散乱しているAQAの残骸から部隊長機を示す情報が得られた。既にケントツカムイによって部隊長のAQAは撃破されていたのだ。

 まあ、所詮はパイロットネームすら設定されていない部隊長なんだから、撃破されていようと、されていまいと結果は変わらないだろう。



 一方、主力部隊と合流する為にやって来たアルテア隊なんだが、精霊結界を解いてみたら、そこでは凄惨な戦闘が繰り広げられており、ほぼ壊滅状態の惨状を見せられ暫し茫然としていたが、比較的冷静であったララベルに促され、我に返ったアルテア隊長は味方の窮地を救う為に戦場へと全速力で飛び立って行った。


 飛べるって良いな、俺も早く【飛行】スキルを手に入れてみたいな。

 機体スキル【瞬歩】と段階ジャンプを使えば変則的な空中戦は可能だが、やはりトウマの乗るリヴァイア・サクトゥの様に、空を飛ぶ機体は憧れだ。


 アルテア隊が目的地まであと僅かといった地点まで進むとイベントが発生。

 残り三機となった主力部隊の一機にアルテア機とララベル機の二機が魔機獣封印の強化符を渡すと、受け取ったAQAが巨大な樹木へと向かい札を張り付ける。強化符の力を得た巨木は淡い光を纏い、その樹木から溢れ出る緑光の粒子が今まさに緑軍主力部隊のAQAに止めを刺さんとするケントツカムイの全身を包むと、瞬く間にケントツカムイの機動力を奪ってしまう。

 緑軍の封印はセンカクゴギュウやコクギンゼンコのように異空間や別次元の様な場所に封じるのではなく、その場に縛り付け行動を封じるだけのようだ。その分、封印の威力は絶大らしく、ケントツカムイは動こうとする意志はあるのにピクリとも動けず、怒りに身を震わせる事も出来ていない。

 動けはしないがケントツカムイから発せられる怒気は俺の方にもヒシヒシと伝わってくる。


 なるほど、ケントツカムイの再封印状態を再び解除してやり、主力部隊を撃破するのが俺のミッションって訳だな。

 封印を解くには強化符を剥がすか、巨木を破壊すれば解けるだろうから、道中に封印場所を隠すための精霊結界が多かったのも肯ける。

 そろそろイベントシーンが終わるだろうと予測し、心の準備を整え待っていたのだが……。



― 達成条件を満たしました。ミッションクリアです。 ―



 あら!?なんで!?



 



『アルテア隊、及び、ララベル隊は主力部隊への物資輸送を完了しました。ミッションクリアとなり戦場からの離脱が可能になりました。』

 勝利条件を満たしていないのにクリアしたのかと不思議に思ってたら、クリアしたのはアルテア達の方だった。俺とアルテア隊との通信回線が開きっぱなしだったからか、こちらにも天の声とも言うべきLBOのシステム通信音声が聞こえたのだ。

 なんだ、随分と紛らわしいな。


『緊急ミッション発生、黒軍所属の新型機が襲来。この緊急ミッションは回避が可能です。ミッションクリアを選択する場合は全機『旗艦カーベル』へとお戻りください。』

 続いて緊急ミッションなるものが発生、新型機の襲来ってプレグナル・オウガの事だよな。

 此処までアルテア達と一緒に来たのに襲来はないでしょ。


 まあ、端から戦う覚悟はしてたんだ。ただ、撃墜ペナルティによるソウル減少は痛いだろう、彼女たちが逃げるなら追わず、向かってくるなら実力差を見せつけ、それでも逃げないなら仕方がない、全力で叩くのみだ。

 決意したところでイベントシーンが終了、操縦可能になった俺は左肩の【黒鬼門】から【金棒】閻魔大往生を取り出し、先端をアルテア機に向け戦闘の意思を示す。それを受けアルテア達も戦闘態勢をとる。あちらに情報系のスキル持ちが居ないとは考えられないので、プレグナル・オウガがRANK5である事は知っているはずだ。RANK差を考慮すると戦闘回避を選択する可能性もあると思ったが、どうやらやる気満々のようだ。

 当然だが通信回線は閉じられ相手の会話は聞こえなくなっている。そりゃ通信回線開いたままで戦闘を始めるような失敗はしてくれないよな。プレイヤー同士の戦闘だと会話しながら戦ったりは出来ないのか、漫画やアニメの様にはいかないのは寂しい限りだ。

 


 怖がられないように首に巻きつけている虎柄マフラー、【装具】カナベラルで口元を隠していたが彼女たちが敵となった今、隠す必要はなくなった。カナベラルを展開させ遠慮なく鬼の形相を晒す。

 俺の眼前に立ちはだかるはアルテア機のみ、他のAQAは後方に下がりオーブに精霊力を充填させている。


 ああ、みんな飛べて当たり前のように空中にいる。いいなあ……。

 こちらは地上で、あちらは空中、地の利は敵側にあり、数も一対十…いや、満身創痍の主力部隊も入れると十三機になるな。

 いやいや、機体性能ではこちらが上だし、ASやAWを使えば苦戦はしても勝てるとは思う。

 先ずは様子見で伸縮自在の【戦角伸曲角(バルガルソル)】でアルテア機を攻撃してみた。

 二本の黄金角がAQAクララ・ランスの胸部へと突き刺さる直前に空中側転で避けられた。伸びる角に驚いたのか反応が遅れたように見えたのに華麗に回避されてしまう。緑軍AQAの回避力は思ったより高いな。だが、この角は伸びるだけでなく曲げることも可能なのだ。双角はクララ・ランスを追尾するように曲がり再び襲いかかるが、これも後方宙返りで避けながらレイピアで黄金角を突いてきた。

 突かれて衝撃はあったが角にも頭部装甲にもダメージは受けなかった。角は武器扱いなのかもな。

 

 角を縮め戻し、今度は両眼から【翠虎光線(エメラルド・レイ)】を撃つが、これも直撃直前に華麗なステップで避けられる。これはRANK2を甘く見すぎていたな。RANK下でも油断しないと決めていたのに、慢心し続けていたら痛い目に遭うところだった。

 反撃は遠距離から、主力残存部隊を含むアルテア機以外のAQAから精霊魔法の一斉射撃が始まる。

 弾速は遅いが追尾式なのか、回避しても追いかけてくる火炎弾を金棒で打ち返す。続いて三日月状の風の刃が周囲の木々を切り裂きながら飛ばされて来たが【赤十字虎爪刃(レクロスティガーリヤ)】で迎え撃ち、風刃を砕いた赤十字虎爪刃は勢いそのままに主力部隊の残存AQA一機を撃破する。次に地中から飛び出した樹木の根っこが脚部に絡みつき動きを封じようとするが、銀虎爪から【黒鬼極歩爪(シンキアルティオル)】を放つ、黒きエネルギー体である黒鬼極歩爪は、そのエネルギーが尽きるまで樹木を根こそぎ切り裂こうと地中へと潜って行った。その後も水の散弾が飛んで来たり、氷塊が空から落ちてきたりで、多種多彩な精霊魔法に感心しつつ迎撃していく。数多の精霊魔法に紛れて繰り出されるアルテア機の連続突きを【装具】カナベラルで防ぎ、もう一機の隊長機、ララベルのAQAクララ・ランスが離れた場所から勢いを付けてランスチャージ(突進)してくるのを【金棒】閻魔大往生で撃ち弾く。


 凄く良い連携だな、特にアルテアとララベルの動きが秀逸だ。この二機は後方支援機の壁となり視界を防ぎ、精霊魔法の影に潜み死角から襲ってくる。格上の敵との戦いを何度も経験しているのだろうな。ミッション19まで進んでいるだけのことはある。


 次の精霊魔法は左右に土壁が出現、こちらを挟み潰そうと迫って来るものだった。


ズズゥーン


 土壁が合わさり地響きと同時に土煙が立ち上る。

 上手くいったかと確認するため土煙が収まるのを待つアルテア隊、警戒態勢のままだが、その動きは止まっている。


ズガン、ズガン!


 後方支援機の背後から主力残存部隊の二機の翅を壊し落下させる。

 捕えたかもと思ったら自分たちの後ろに居たなんてアルテア隊の面々はそんな馬鹿なと思ってるだろうが、機体スキル【瞬歩】で支援部隊の後方に躍り出たのだ。例え空中に居ようとも瞬歩ならばどこだろうと一瞬で移動できる。

 だけど、二段ジャンプ、三段ジャンプを使えば滞空時間は伸ばせはしても、飛べはしないから最後は落ちていく事になるけどね。

 翅を失い墜ちた機体は墜落の衝撃で大破していた。

 慌てて残骸を拾い食いしたが、能力値が下がると警告されたので栄養にはしなかった。

 やはりザコでは腹の足しにもならないようだ。だが、プレイヤー機ならどうだろう?


 ……いやいや、栄養云々よりもソウルを失わずにクリアできるのだから互いの為にも逃げてくれた方が良い。


「さあ、俺に食われたくなければ逃げればいい、決して追いはしないと約束する。」

 逃げてくれる事を願って通信回線を開き、警告してみたが彼女たちはどうするのだろう……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ