第六十一話 エクストラミッション 弱肉強食戦【6】
自機の変わり様に驚きはしたが、驚きを噛みしめる時間を黒雷素体は与えてくれない、右肘を突き立てるように右腕の刃が首を刎ねに襲いくる。咄嗟に左腕を上げ防御の構えを取ると丁度互いの刃がぶつかり合った。
ここで唐突にイベントが発生、機体が勝手に動き出して自機の刃が黒雷素体の刃を切断し、更に右腕まで斬り飛ばしたのだ。
これには黒雷素体も驚いた様で、慌てて後方に飛び退き角からの雷撃攻撃に切り替えるが、こちらもいつの間にか生えていた角から雷撃を飛ばす。雷同士がぶつかり合うと目の前が真っ白になるが、ゲームではなく現実でもそうなるのだろうかと疑問に思う。
いつイベントが終了するのか分からず気が抜けないのだが、俺の体も機体も自動的に動くので、正直なところ戦闘シーンを体験しているだけで観る以外にする事が無い。
雷撃の威力は此方の方が上だった様で、黒雷素体の雷撃を打ち破った余波により、敵機が纏っていた電気が消えた。
「このまま倒してくれたら楽なんだけどな。」
そんな俺の呟きを叶えてくれるのか、自機の翼から黒紫色の重力球が飛び、黒雷素体を引き寄せ飲み込み重力球内に封じ込める。
バキボキと重力球内で全身をあらぬ方向へと曲げ折られる黒雷素体に向けて容赦ない斬撃波の連続攻撃が飛ぶ。
八つ裂きとはこの事を言うのだろう、あれだけの強さを誇った黒雷素体が無残にも切り刻まれ残骸が重力球内をグルグルと廻っている。
最後に自機素体が大きく息を吸い込む仕草をとると、黒雷素体からソウルとアイテムを奪い取った。
黒雷素体は光の粒子となり消え、同時に重力球も消えた所でイベントは終了、これでミッションもクリアだろう。
「うっひょ~う、あんなバケモノをよく倒せたよな、流石トウマ隊長だねぇ。」
この軽いノリはダニー、生きていたんだな。会話した事の無い他の隊員達も生きていた様で、たくさんの脱出ポットが飛びまわっている。
後で知った事だが、多くの脱出ポッドはゴレイエムの乗組員だったらしく、フェルハーピィに搭乗していた隊員には脱出装置は搭載されておらず戦死したそうだ。ゲームとは言えお悔やみ申し上げます。
ダニーにバケモノを倒した俺もバケモノだと囃し立てられたり、軽口を叩き合ったりしていたが、未だにミッションクリアの案内が始まらない。
「え~っと、通信オペレーターの・・・カナミさん?新型AQAのテストは終了じゃないのか?」
「えっ?まだゴレイエムの撃墜は確認されていませんよ。」
通信姉さんから驚愕の一言が発せられた。
た、確かに勝利条件は変わらず『新型機の撃墜』なんだが、ゴレイエムは黒雷素体によってスクラップにされたんだぞ。
鉄屑同然に晒されたゴレイエムへ向き直る。こんな姿の相手に止めを刺せと言うのか・・・。
やらなきゃクリアにならないのならやるけど、なんだか気が滅入るな。
渋々ではあるが腕の刃から斬撃波を飛ばしゴレイエムを完全破壊する。
「ゴレイエムの撃墜を確認、以上で模擬戦を終了します。お疲れさまでした。」
やれやれ、今度こそミッションクリアだな。
― 達成条件を満たしました。ミッションクリアです。 ―
リミットブレイク改編事項です。
『トウマ専用エクストラミッション弱肉強食をクリア』
『黒軍の勢力が2増加しました。』
『黒軍の勢力は量産体制確立後20増加する見込みです。』
『勢力値に変動あり、白軍50、赤軍44、青軍38、緑軍41、黄軍56、黒軍39』
『テンザクチバクリュウがエクストラミッション四海覇王戦:【二の龍セキセイカンシ】をクリア。』
『パイロットネーム:トウマ、リミットブレイク条件を七つ達成しました。』
おお、量産体制に入れば勢力値が一番になるじゃないか、これは待ち遠しいな。
そしてテンザクチバクリュウも順調にミッションをクリアしているようで嬉しい限りだ。
おめでとう、テンザクチバクリュウ。
― リミットブレイクゥ~ ―
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『ミッションクリア報酬』
ミッション難易度★×10
敵機体撃墜率 100% 5×10=50ポイント
機甲材採取率 100% 100ポイント
残クリアタイム 0分 0×10=0ポイント
イベントクリア 100×2回=200ポイント
イベントボス撃破 2260ポイント
総獲得ポイント 2610ポイント
獲得給金
基本給金 100ガルマ
指令達成報酬 4480ガルマ
特別手当 1000×4ガルマ
総獲得給金 8580ガルマ
【操縦レベルアップ】:レベルが19になりました。
制限時間が無いとポイントが厳しいな。
稼げるミッションで頑張ろう。
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『能力値決定』
基礎能力値にボーナスポイントを振り分けてください。
パイロットネーム:トウマ
操縦レベル:19
攻撃力:535
防御力:393
回避力:272
命中力:526
脳波力:269
耐久力:302
精神力:320
幸運力:-549
ボーナスポイント:40
今回は1レベル上がっただけだが、いつもの様に幸運力を下げて全てのボーナスポイントを攻撃力に振った。
パイロットネーム:トウマ
操縦レベル:19
攻撃力:595
防御力:393
回避力:272
命中力:526
脳波力:269
耐久力:302
精神力:320
幸運力:-569
ボーナスポイント:0
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『獲得ソウル』
敵機体撃墜獲得報酬:1000ソウル
ミッション成功報酬:400ソウル
総獲得ソウル 1400ソウル
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『入手アイテム鑑定』
【セキセイカンシの進化核】(テンザクチバクリュウ専用)×1
【トウマの雷蛇】(トウマ専用)×2:体部、背部装甲の素材です。
【トウマの赤眼】(トウマ専用)×1:頭部装甲の素材です。
【トウマの黒尾】(トウマ専用)×1:腰部装甲の素材です。
【トウマの鉤爪】(トウマ専用)×2:腕部、脚部装甲の素材です。
【トウマの黒影】(トウマ専用)×1:アクセントソルジャーの素材です。
【刀魔斬の欠片】(トウマ専用)×1:腕部装甲の素材です。
【刀魔角の破片】(トウマ専用)×1:頭部装甲の素材です。
【刀魔翼の皮膜】(トウマ専用)×1:背部装甲の素材です。
前回のミッション報酬が凄過ぎて寂しく感じるが、今回のミッションはポイントやソウルでは無く、己の殻を破り、成長限界を突破したことが重要なんだ。それよりも気になるのは黒雷素体の名前がトウマとは、これ如何に?
刀の魔物で『刀魔』って事なんだろうけど、俺と同じ名前って如何なものかなと思うぞ。
まあ、『己の殻』的にはピッタリな敵だったという事か・・・今後はモニター表示を見逃すまいと心に誓う。
― リミットブレーイク ―
報酬確認を終えると、俺はAQA総合開発局に連れてこられ、局員連中から様々な質問を受けていた。
「すると君は新種の素体を召喚したと言うのかね?」
まあ、召喚したと言ったら召喚したよな。
「マザー以外の自我を持つ素体など信じられんな。」
「召喚魔法や召喚陣の反応は見受けられんと言うのに何処から呼び出したのじゃ?」
「特殊な素体変化をもたらすとは実に興味深い。」
「変化点の解析はどうなっとる?」
「報告によるとパイロット以外の者が触れようとすると電磁結界を張る様じゃ。」
「素体核にも影響があった様じゃな、核解析を受け付けん様になっとる。」
「マザーユニットの制御下から外れたのじゃな。」
「別種のマザーが居るのかも知れんの。」
「ほほう、それは興味深い。」
「しかし、新種の名称すら解析できんとは、これでは装甲兵器の開発も出来んではないか。」
「君ならあの新種についての詳細が分かるのではないかね?」
あいつの名前がトウマだとは言いたくないな。信じてくれないかも知れないし・・・。
この後も俺には理解できない会話と質問が飛び交うが、よく覚えていない。
気付いたら俺は操縦席に座り、【博士の電子辞書】に表示されている装甲開発データを開発局の研究室に送っていた。
「データ解析が完了しました。」
データを送って直ぐに新型AQAの開発が可能になった。流石はゲームだ。
「トウマ専用AQAを開発します。開発するAQAの種類を選んでください。」
選べと言われて画面表示を見てみるが、選べるのは一種類のみだった。
何が選択して下さいだ。
決定して下さいの間違いだろと思いつつ、嬉しさいっぱいで選択ボタンに手を伸ばすが・・・。
「・・・嘘だろ、これしか選べないのか?」




