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Limit Break Online  作者: 円連
第三章:出撃、サーシャ小隊
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第五十話 ミッション5:戦艦駆逐【1】

 唯唯唯唯広大な宇宙を当てもなく彷徨う一隻の戦艦、全長三百メートルの艦体は銀色に鈍く光り、カタパルトと主砲を兼ね添えた戦艦の腕部とも言うべきベクトルカノン砲が左右に二門備え付けられている。データ上、ベクトルカノン砲の威力は、当たればRANK2AQAの全装甲を一撃で破壊する程である。

 戦艦側部には可動式多関節副砲が六門備えられており、航行中は艦体内に収納されているが、戦闘時には関節部分を自在に駆動させ、ほぼ全方向への攻撃を可能とする。又、戦艦後部には蠍の尻尾の様な形状の対戦艦用大型攻撃兵器、ソウルを消費して放つ緋色閃光砲(スカーレットフレア)が備え付けられている。


 宇宙の海原に漂う、この戦艦の名は『ゼクセドアルス』、RANK6スコーピオン級強襲戦闘艦である。

 ゼクセドアルスに搭載可能なAQAの数は通常サイズが最大二十機、更に腹部格納庫に大型AQAが一機、搭載可能になっているのだが、今のところは十機のAQAがメンテナンスを終え、格納庫に配備されているだけであった。



「なあ、宇宙へ出てから一時間が過ぎたけど、敵の襲来が無いってのはどういう事よ?」

 サーシャ隊の副長であるナックが、誰とはなしに疑問を口にする。


「勝利条件は敵戦艦の撃破なんだから、敵は必ずこの先に居るわ。今は唯、レーダーが敵を捉えるまで只管に前進あるのみよ。」

 サーシャ小隊隊長であり、ゼクセドアルス艦長でもあるサーシャが冷静に前進の指示を出す。


「そらこのエリアのどこかに敵さんはおるんやろうけど、ここまで敵が現れへんと暇でしゃあないわ。」

 オオサカ人のキタが物足りなさげに呟く、現在、サーシャ、ナック、キタ、ウェス、サクラ、チナツ、メイプル、ホーリーの八人はゼクセドアルスのブリッジ内で、レーダー相手に索敵という名のにらめっこをしており、敵機の襲来に備え格納庫内のAQAに機乗待機しているのはトウマとオヅヌの二人だけであった。


 サーシャは目を閉じ思案に耽る。

  四月三日水曜日の夕方、★ミッション4終了後に地上戦主体のルートと宇宙戦主体のルートを選択するイベントが発生、仲間達との話し合いの結果、私達は宇宙ルートへ進む事を選んだ。

 これは、土曜日の軍団戦が宇宙ステージで行われるのを見越して、少しでも宇宙での戦闘に慣れておきたいとの意見が多かったからである。


 そして、敵基地から奪った戦艦を、ミッション3の隠しボスであるRANK6クラブ級戦闘艦『カルナバルホヴィ』のパーツで改造を施し、四月四日木曜日の朝にトレーニングルームにて、宇宙空間戦闘訓練を終えた後、同日午後から宇宙ルートのミッション5へ意気揚々と出撃したのだが、どれだけ進めども敵の偵察機にさえ遭遇せず、未戦闘状態で現状(ひたすらぜんしん)に至る。



「もしかするとAQAが出撃しないと敵機は出てこないのかも知れませんね。」

 メイプルは沈黙が続く艦内の雰囲気を和らげるつもりで何気なく言ったのだが、サーシャは成程と手を打った。

「そうね、餌を撒くのをすっかり忘れてたわ。」

 早速試してみようとサーシャは艦長席脇にある青いボタンを押し、格納庫への通信回線を開く。


『トウマ、オヅヌの両名は出撃し、本艦の砲撃可能宙域内で索敵に専念して頂戴。』

「わかった。トウマ機、リヴァイア・サクトゥ出るぞ。」

「同じく、オヅヌ機、プログナル・オウガ出ます。」


 左右のカタパルトから二機のAQAが現れ、推進装置から銀色の光子エネルギーを噴射させ宇宙空間へと飛び出す。

 その瞬間にレーダースクリーンに無数の敵機マーカーが映し出され、艦内に敵機襲来の警報が鳴り響く。

「レーダーに転移反応多数!|ゼクセドアルスより十キロ圏内に|バイオ・フュージョン・アームズ《BFA》が十機、二十機、どんどん増えて・・・ほ、包囲されていきます。」

「目視でも確認できるほど間近に現れたわね。総員戦闘モードに移行、副砲展開後、直ちにトウマ達の援護射撃、並びに敵機密集地帯に向け主砲を斉射、同時に緋色閃光砲(スカーレットフレア)のソウル充填を開始して。」

「「「了解。」」」


 宇宙漂流状態から一転、サーシャ小隊は戦闘状態へと突入する。



 情報担当のメイプルがゼグセドアルスのデータベースを検索し、敵機の情報を引き出す。

「敵機BFAの識別コードを確認、汎用型BFAオールギュス、格闘型リーンメイブル、近接型ケイオスオルム、射撃型ガンロート、万能型アーテムジール、いずれもRANK4です。」


 同担当のサクラが敵機編成についての補足情報を報告。

「敵機数は主砲の射程内に約百機、射程外に約二百機です。」


「サーシャ艦長、私達もAQAで出撃しよう。」

 砲撃担当のチナツが立ち上がり、サーシャにAQAでの出撃を申し入れる。


「まだダメよ、敵が多く奇襲が難しい現状では私やナックのAQAならともかく、RANK3AQAで出撃しても直ぐに撃破されるのがオチ、今は自動戦闘用AI機能を育てる為にも、ここはゼグセドアルスの戦闘AIに経験値を積ませる事を優先します。」


「せや、大量の雑魚相手には少数精鋭で蹴散らすんが一番や、外は不幸持ちに任せて俺らはこの戦艦で敵を殲滅させようやないか。」


 既に二機のAQAは戦闘を開始し、敵を撃破しながら戦場を縦横無尽に暴れ廻っている。

「よし、戦艦をも撃ち落としたベクトルカノン砲の威力を喰らいやがれ!」

 ナックは敵機BFAへのロックオンを解除、主砲の射線軸を複数のBFAを巻き込むようにわざとずらし発射ボタンを押す。

 ベクトルカノン砲から放たれた閃光が五機のBFAを巻き込み駆け抜ける。

 閃光の後を追うかの様にBFAの装甲が爆発していく、主砲の連射により戦艦進行方向の敵機体が次々に爆散していった。

 撃破したBFAからのソウルが緋色閃光砲(スカーレットフレア)の砲門に集まっていく。

緋色閃光砲(スカーレットフレア)の充填率はどう?」

 

 最終兵器(とっておき)担当のウェスが僅かに声を震わせながら小声で答える。

「現在90ソウル溜まって、ソウル充填率3%・・・です。」


「ソウル充填率3%・・・30ソウルで1%、100%だと、さ、3000ソウルー!!」

 絶叫を上げ卒倒するサーシャ、スカーレットフレア一発で約八年分のソウルを消費するのだ。

 現実世界ではソウルは換金が可能、ソウルの相場は一般人には公表されておらず、噂でしか聞いた事はないが、1ソウル百円だとしても3000ソウルだと三十万円、1ソウル千円なら三百万、もしも1ソウル一万円だったら三千万円もするのだ。ゲームの世界で敵を倒すのに三千万円も使うなんて考えられない、これは一生封印しておくべき兵器なのだとサーシャは思った。


「充填を直ちに解除して、それと充填したソウルはどうなるか調べてみて。」


 メイプルは頷きソウルの充填を停止させる。

「解除すればソウルは部隊獲得ソウルポイントとして貯蓄される様です。尚、一旦部隊獲得ソウルとしてプールされると緋色閃光砲(スカーレットフレア)の充填には使用不可となる模様。」


「そ、そうなの・・・でも、私にはこの兵器は使えそうにないわ。」

 ソウルを消費しなくて済んだイベントでの使用を最後に、宝の持ち腐れと化した緋色閃光砲(最終兵器)であった。

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