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Limit Break Online  作者: 円連
第三章:出撃、サーシャ小隊
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第四十七話 ミッション4:基地襲撃【2】

 森林地帯に建造された黄軍前線基地、視認しにくいようにカモフラージュされているが、意識して見れば遠くからでも、はっきりとそれだと認識できる。

 基地までの道程に張り巡らされた数々のトラップは機体スキル【察知】と【感知】で位置を特定し、【AW】青龍玉を先行させ破壊しまくる。

 地雷型トラップは機体スキル【飛行】で飛び越え、哨戒兵は戦闘スキル【螺旋飛龍】(ドリルロケットパンチ)と【精神誘導】を使用、遠隔操作で両飛龍腕を敵機の背後へと誘導、死角から敵機を狙い撃つ。飛ばした飛龍右腕が頭部装甲を破壊し、間髪入れずに飛龍左腕が素体の頭部を砕き、こちらを視認させずに撃墜する。

 基地へ向かう途中で撃破した敵機は三機、いづれもAQAに似た機体であった。


 十メートル級の巨大なロボットが隠れながら進むのは、かなりの難行ではあったが、敵前線基地の入口まで、到達予定時刻より早くに到達する事ができた。


ナック「こちら三班、第一目標地点に無事到着、各班は目標地点に到着次第、状況を報告せよ。」

 ナック副隊長が隠密通信を送り、他の班が目標地点に着くまで待機となった。


トウマ「初めて敵のAQAが見れた。★ミッションでも出てくるんだな。」

キタ「☆ミッションのAQAとはちゃうAQAやな、装甲は似てるけど素体の顔は機械と違って虫型の顔やったで。」

ナック「電子辞書で調べてみたんだが、敵機体の詳細を見ると、敵はバイオ・フュージョン・アームズ、略してBFAと呼ばれる生体融合兵器らしい、人が操縦するロボではないみたいだな。」

トウマ「じゃあ、敵を倒しても人間の寿命を奪い合うって訳じゃないんだな。」

キタ「ああ、今は、やけどな。」

ナック「そう、土曜日の軍団戦では、否応なしに人間同士で寿命を奪い合うことになる。」


 人間同士の争いに虚しさを覚えるのは俺だけだろうか?人間でない敵から寿命を奪うのは平気で、実在する人から奪うのは心を痛める。

 AMIDAは、寿命を伸ばす長寿プログラムを巡り人間同士が戦争を起こすことに嫌気が差し、長寿プログラムをゲーム内に隠した筈なのに、ゲーム内とはいえ人間に互いの命を賭けて争わせるなんて、何をどう考えて戦わせるのだろう?


トウマ「土曜日なんて来なければ良いのに・・・。」

キタ「お前は乙女か!」

ナック「トウマの気持ちは分からんでもないがな、土曜の次は日曜だ。俺は日曜は待ち遠しいぜ。」

キタ「そうや、日曜が来たなら俺は金持ちや、ソウルを売って大儲けしたんねん。」

トウマ「そうだな、俺も金が必要だ。戦わなければ手に入らないのなら、俺は戦って掴みとる。」


 先の戦争よりも今のミッションを成功させなければ、俺達に日曜を迎える資格が無くなってしまう。

 待機中の会話を打ち切るように二班から第一目標地点到達の報告が入った。

ウェス「こちら二班、オヅヌの活躍で、目標地点へ簡単に辿り着けたよ、敵機体の捕食にも成功、メイプルの素体レベルも上がったよ。」

ナック「了解、引き続きメイプルの素体レベル上げを優先させつつ、任務をこなせ。」

ウェス「了解。」


 オヅヌが活躍すると嬉しくもあり、俺も負けてられないと奮い立たせてくれる。同じ境遇(不幸持ち)のオヅヌは、俺にとってとても有り難い存在だ。


サーシャ「こちら一班、第一目標地点に到着、捕食は一機のみよ。他班には待たせてしまったわね。」

ナック「いや、定刻通りだ。道中での目標も達成できたようだし上々の成果だろ。」

サーシャ「★ミッションにしては敵機の数が少なかったのよ、これじゃあ基地内の敵にも期待できそうに無いわね。」

キタ「いやいや、期待ハズレな★ミッションなんか今まで無かったやろ、この後がホンマの★ミッションやと思うべきとちゃうか。」

サクラ「なんだか、ドキドキします。」

キタ「サクラは緊張せんでええねんで、怖くなったらサーシャの後ろに隠れてたらええんやから。」

ナック「その方が怖いだろ。」

サクラ「だ、大丈夫です。サクラ頑張ります。」

サーシャ「じゃあ、一斉に突入するわよ。無駄口叩く余裕のある三班は特別頑張って頂戴。」

三班一同「「「了解・・・。」」」


 サーシャの頑張れは、戦果を挙げろって事だ。我等が三班は、ここまで戦利品(パーツ)を得ていないので、未だ戦果無しである。

 このままではサーシャの怒りを買いかねない、焦った俺達は鉄の扉を力ずくで開き、敵前線基地内部へと突入するのであった。




 基地の中で機体スキル【暗視】、【無音】、【飛行】を使用、ここからのマップ表示は視認できる場所までしかモニターには表示されない。

 【AW】青龍玉を偵察機として飛ばし、前方の様子を探る。


 ここの基地の大きさは黒軍前線基地の約四倍、AQAも楽に通れる巨大地下道を通り、基地制御室(コントロールルーム)の真下を目指す。

 T字路に差し掛かると右側通路から敵哨戒兵が三機近付いてくる。森林で倒した機体と同じBFA【オーグス】だ。

 仲間に合図を送り、一斉攻撃の準備を整え敵機を待つ。

 俺は両青龍飛腕と青龍玉を上方に待機させ、【双刀】天裂刀、地爆刀を抜刀し待ち構えた。


トウマ「攻撃五秒前、・三・二・一、撃て。」

 青龍飛腕がBFA【オーグス】二機の後頭部を掴み、汚泥まみれの地面へ叩き付けた。

 残る一機に集中砲火を浴びせる。青龍玉の光弾で頭部装甲を破壊、【肩砲】双龍砲の水流弾で腕部装甲を、戦闘スキル【ローズレイ】の赤色破壊光線が体部装甲を、ナックのAQAエンテイケンプは三圏飛剣を投げ脚部装甲を、キタのAQAメタル・バシリスクは戦闘スキル【バシリスクアイ】を発動させ、【銃】ローパーガンを腰部装甲へぶっ放し、これを破壊、トドメにエンテイケンプの飛び蹴りが炸裂しオーグスを撃破する。

 キタがパーツを回収する間に、残り二機の背部装甲に双刀を突き刺し破壊すると共に、身動きできぬよう地面に縫い付ける。

 皆で仲良く捕食したが、リヴァイア・サクトゥの栄養にはならず。残念。

 もうR3の敵では、栄養は得られないのかも知れない。


トウマ「分岐はどちらに進む?」

ナック「敵が来た右の方へ進もう。」

キタ「いや、敵が向かおうとした左が正解とちゃうか。」

 あらら、意見が分かれちまった。こんな時は多数決だよな、俺はこういうのは苦手なんだが・・・。

 困ったなとばかりに天井を見上げたら、天井付近に横穴が空いているのが見えた。

トウマ「あそこの横穴が怪しくないか?」

キタ「あんな所は三段ジャンプでも届かへんがな。」

ナック「確かトウマの機体スキルは【低空飛行】から、分解スキルで【低空】と【飛行】とに分けたんだよな。【飛行】スキルなら、あそこまで行けるんじゃないか。」


 結局、それぞれ別のルートで進む事になった。これがサーシャに知れたなら、例え上手くいったとしても大目玉を喰らう事になるだろう。

キタ「ヘマをこいた奴が全ての責任を負うって事でええな。」

ナック「よし、良いだろう。」

トウマ「いや、良くないだろう。俺は責任なんて取れないぞ。」

キタ「俺らは俺らで狙いがあんねん。トウマはサーシャに媚びとけや。」

トウマ「なんだと。」

 キタの言い様に苛立ちを覚える。

ナック「キタの言い方はきついが、俺達の気持ちも察してくれよ、サーシャはトウマに任せて、俺達は別の女の子にアピールしたいのさ。」

キタ「そうや、強欲のサーシャは不運のトウマに任せるよって、純情なサクラちゃんは俺に譲ってくれ。」

ナック「俺はメイプル狙いだ。横取りは許さんからな。」

 そんな考えで別行動しようって言うのか・・・って、なんで二人して俺にサーシャを任せるんだ?


トウマ「事情は分かった。勝手だと思うが、それが恋心と言うのなら止めはしない、だが、俺がポイントを稼ぎまくって不純なお前たちの邪魔をしてやる・・・いや、邪魔などせずとも、あの子達はオヅヌを慕っているようだから、お前たちの行為は無駄なあがきなのかもな。」

キタ「くっ、単純な奴だと思っとったら痛いところを突いてきよる。」

ナック「無理だと分かっていても足掻いてみせるのが男の美学だ。」

 なにやら訳の分からぬ美学を持ち出されたが、勝負は勝負、本気で勝ちに行かせてもらう・・・これはあれだぞ、決してサーシャの為とかではない・・・為とかではないからな!

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