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Limit Break Online  作者: 円連
第三章:出撃、サーシャ小隊
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第四十六話 ミッション4:基地襲撃【1】

 目覚まし時計のアラームが鳴る前に目が覚めた。時刻は午前七時四十分、深夜までLBOについての勉強をしていた割には早起きだったかな。快適な目覚めと共にベットから跳ね起きた俺は【助手の電子辞書】を電子机に接続し、現在の世界情勢を確認する。


白郡勢力値44:AQAの特徴は不明、一組は全てが一流と言われているエリート集団が所属。

赤軍勢力値37:魔導騎士系AQA、学力の高い生徒が集められた二組。

青軍勢力値33:侍系AQA、三組は体育会系のスポーツ万能クラス。

緑軍勢力値35:AQAの特徴は不明、キタの情報によると四組は全員が女生徒らしい。

黄軍勢力値48:傭兵系AQA、☆ミッションの敵は黄軍のAQAである。五組の生徒は入学式には参加していなかった。

黒軍勢力値32:魔物系AQA、一般募集でレムド装着適合者として入学が認められた者たちのクラス。


 この勢力値は国立不死鳥学園日本校高等部のみのデータであり、他校での勢力値は反映されていない。

 現在、リミットブレイクオンラインが稼働している国は日本のみであり、日本全国から生徒が集められた日本校を中心に、関東第一分校、関西第二分校、東北第三分校、中部第四分校、中国第五分校、九州第六分校の計七校がLBO攻略に挑んでいる。

 一クラス四十名、一学年六組なので二百四十名、七校合わせても千六百八十名の参加者しかいない。

 数万人が参加するMMOがある中で、二千人にも満たない人数でAMIDAゲーム攻略は行われているのだ。

 日本で三年程テスト稼働されたAMIDAゲームは、ゲームバランスの調整がなされた後に、全世界対応型のAMIDAゲームとなり、レムド装着適応者なら誰でもゲームに参加することが可能になる。

 だが、全世界対応型になるとソウルと寿命の交換レートが変わり、1ソウルで一日の寿命が、1ソウルで一分の寿命交換率になってしまう。

 全国稼働する頃には攻略法も出回り、ローリスクローリターンにはなるが、それでも世界人類は躍起になってAMIDAゲームに夢中になるのだ。


 そんな現状はさておき、俺達、不死鳥学園生徒は、今日もハイリスクハイリターンなゲームの攻略に勤しむのである。




 司令室へ行き、サーシャ小隊の状況を確認する。

 まだサーシャ達は二度目の☆ミッション4に挑戦中だったので、俺は軍事訓練ではなく、オヅヌと共に基地周辺の探索をしようとしたのだが・・・。

「司令部より外出許可が下りておりません。基地外へ行かれる場合は外出許可証をお持ちください。」

 基地の外はどうなっているのか気になっていたのだが、警備兵に基地からの外出を止められてしまう。

「仕方がないな、探索は基地内で行うか。」


 何がしかの条件を満たした為なのか、以前行けなかった場所にも行けるようになっており、新たに堪能できた施設は保養施設で、プール、ジャグジー、サウナ、マッサージを満喫、この内、ジャグジーとサウナで耐久力が1づつ増加した。トウマはマッサージで回避力がアップ、プールでの運動では能力値は上がらず、楽した方が上がるとは何とも複雑な気分である。



 そうこう楽しんでいると、サーシャ隊長からミッション4をクリアしたとの連絡が入る。

 時刻は午前十時を回ったところで、午前七時から始めた☆ミッションの所要時間は約三時間、もしかすると★ミッションだったら、倍の時間は掛かるのではないだろうか。


 サーシャからのメール受信後、作戦会議室で待つこと暫し、会議室の扉が開き俺たちの隊長が入室してきた。

「二人とも待たせたわね。」

 長時間に及んだミッションの後なのに、少しの疲労感も見せずサーシャは俺とオヅヌにミッションの報告をしに来てくれたのだ。

「さっそく感想を言わせてもらうわね。ミッション4は敵の強さよりも戦術面で苦労させられるの。☆ミッションといえども侮れない内容よ。」


 ミッション4は敵基地内へと侵入し、重要施設の破壊を行う事が目的である。

 警備兵に見つからずに任務を遂行すれば特別報酬が貰えるのだが、これが中々どうして難しく、大勢の敵AQAや数多くのトラップが小隊の行く手を阻んでくるそうだ。


 報告を受けていると作戦会議室にナックが入ってきた。

「サーシャ隊長、ちゃんと格納庫の外に二台の輸送車が置かれていたぞ。一応、一台はジャンク屋へ売り払い、性能の良い方はサーシャ小隊の旗艦(フラグシップ)として登録しておいた。」

「ご苦労さま。整備を終えた者から此処へ集まる様、皆に指示して頂戴。」

「了解。」

 ナックが退出し、サーシャのミッション内容の報告が再開する。

「敵基地から脱出する際に、イベントで敵の大型輸送車を奪い脱出するのよ。ミッション5からは、奪った輸送車が小隊の旗艦として活用する事になるの。大型輸送車の傍には建造中の戦艦があったから、敵基地破壊ではなく敵基地奪取に成功すると戦艦を旗艦として使えるようになる筈よ。★ミッションでは更に強力な戦艦が手に入るかもしれないの、絶対に基地奪取任務の方を達成させるわよ。」

 俺とオヅヌはサーシャ隊長の気迫の籠った意欲に圧倒される。

 これは基地奪取作戦が成功するまで、休みなくミッションに挑まなくては許してくれないかもしれない。

「「了解。」」


 サーシャ隊長の命令を肝に銘じ終えた頃に、ゾロゾロと小隊メンバーが集まってきた。

「それでは皆さん席に着いて頂戴、肩慣らしの☆ミッションを終え、いよいよ本命の★ミッションに挑むわよ。」

 意欲的なサーシャ隊長に苦笑するナック副長、反面、サクラとチナツの表情が硬い。キタやウェスもソワソワした感じで落ち着かない様だ。


「先ずは、ミッション4の反省からね。お浚いも兼ねて一回目の反省点も挙げさせてもらいますが、AQA感知器(センサー)は発見しても破壊せずに、AQAから降り人力で停止させて。警備兵は正面から倒すと発見扱いになる様だから、背後から、もしくは死角から倒すようにしましょう。此方が動くだけでも駆動音で察知されるから、隠れる際は決して動かない様にね。基本的に通信回線にはプロテクトが掛かっていて傍受はされ難いのだけど、回線を外部に開いている場合は筒抜けになるので、気をつけて頂戴。」

 サーシャの口調は穏やかだが目は笑っていない、そんなサーシャ隊長の視線が、サクラとチナツに突き刺さる。二人共、落ち込んだ様子で肩を落とし項垂れている事から、二人がやらかしちゃった事は明白だ。

 男性陣が二人を庇おうとするが、隊長のひと睨みで、否応なく沈黙させられる。


「以後、気をつけます。」

 おそらく何のミスもしなかったであろうホーリーが反省の弁を述べる。彼女の機転により、その場は事なきを得ることができた。

 ちらりと横に視線を送ると、緊張と安堵が相まってなのかサクラの目元に涙が滲んでいた。


「それでは、作戦内容の復習及び、作戦改善案も踏まえて、ミッション4未経験者のトウマとオヅヌに具体的な作戦内容を説明をします。」


 基地内への侵入ルートは三箇所あり、抑えるべき拠点は司令部、基地制御室、格納庫、の三箇所、一つのルートを全員で攻めるも良し、班分けし、全てのルートから攻めても良いとの事。

 一方のルートで警備兵に見つかると、そこへ基地内の敵兵が集結してくる為、もう一方のルートは手薄になって攻略しやすくなるそうだ。

「一回目の☆ミッション4では二ルートから侵入したのだけれど、両方で警備兵に見つかってしまい基地の奪取作戦は失敗、二回目は三つ全てのルートから侵入し、その内の二ルートで発見され戦闘に発展、残りの班で拠点を抑えに回りはしたけど、敵増援が来た為に基地の奪取は出来なかったわ。二回とも作戦を切り替えざるを得なくなり、基地を破壊してミッションをクリアしたの。」

 なるほど、高性能AQAを所持する俺達にとっては、敵基地を破壊し、クリアするだけなら簡単だが、敵から奪える旗艦の性能は低いモノになり、難易度は高いが、条件を満たしてクリアすると高性能の旗艦が手に入るって事だな。


「★ミッションでは小隊を三分隊に分けて攻略します。誰もが未経験の難易度★×7よ、敵の強さは格段に上がる事が予測されるわ。でも、攻略法は同じで、できる限り戦闘は避け、隠密行動に努めて頂戴。班分けは一班が私、サクラ、チナツ、ホーリーの四名、拠点へは遠回りになり、罠も多く進行に時間は掛かるけど警備兵は少ないので、攻略は楽なはずよ。二班はウェス、メイプル、オヅヌの遠距離攻撃班、地下通路からのルートは、罠は少なく、警備兵はそれなり、隠れる場所が多いので、身を隠し、警備兵の索敵範囲外から狙撃を狙ってみて、メイプルはウェスとオヅヌのサポートをお願い。通常通路のルートから侵入する三班はナック、キタ、トウマの三名、感知センサーや警備兵が最も多く配置されていて、隠密行動は難しいけど、通常ルートからが基地制御室へは最短でたどり着けるのよ、絶対に上手くやってよね。」


 一班の目的はサクラ、チナツ、ホーリーの素体レベルを上げつつ、司令部を抑え、増援を呼ばせないこと。

 二班の目的は格納庫の占拠、敵兵士搭乗前のAQAを出来る限りメイプルに食べさせ、破壊すること。

 三班の目的は基地制御室を抑え、探知器の機能を停止、隔壁を下ろし増援の進入路を閉鎖。


 基地内を破壊せず、無力化させれば基地の奪取に成功、任務達成(ミッションクリア)となる。

 今回の最大の目的は敵基地を占拠し、戦艦を手に入れることだ。

「戦艦の入手が最優先よ、隠しボスが出現しそうな行動は慎むように、いいわねトウマ、オヅヌ。」


 出たら出たで、絶対倒せって言うくせに・・・。

「何か言ったかしら?」

「いいえ、何も・・・。」



― ミッションスタート10秒前・・・8・7・6・5・4・3・2・1・ミッションスタートです。 ―


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