第三十三話 クロスイベント オヅヌVSセンカクゴギュウVS赤軍アーカイブ魔法兵団【3】
隊長機に攻撃を当て呪文の詠唱を中断させたいのだが、二機のAQAが牽制してくるため魔法の阻止は覚束無い。
センカクゴギュウは拘束され、隊長機は魔法を発動させるため、両者は動く事が出来ない。どちらも、損傷を被ることなく倒すには今が絶好の機会なのだが、中々そうはさせてもらえそうになかった。隊員機に手間取っている間に呪文の詠唱は終わり、夜空から幾百の隕石群が降り注いでくる。
隕石群が落ちてこない場所はセンカクゴギュウが破壊した岩壁の崩壊部分、あるいはセンカグゴギュウの真下、どちらも避難した後に集中砲火を浴びて撃墜されることは必至。やはり隊長機にメテオ無効のバリアを張ってもらうか、イベント時の様に超絶操縦テクニックで隕石群を回避するしか無いのだろうが、どちらも無理そうだ。
モタモタしていても仕方がない、もしセンカクゴギュウがメテオストライクにより倒れれば消えてしまうので真下にいるのは危険だ。やはり、岩壁の亀裂部分に身を隠し、そこから応戦して持ち堪えるしか無いだろう。
牽制射撃を行いながら岩壁の裂け目へ向けて後退する。・・・ふと、視界の端に動かぬAQAが映った。最初のイベントシーンでセンカクゴギュウに吹っ飛ばされ、崩れた岩壁の下敷きになって倒れている魔法兵団の一機だ。
あれは動けないだけで、まだ撃墜されたワケじゃないのか・・・。
あれもまたボス戦攻略の為に用意されたモノなのだろう、俺は崩れた岩壁の下敷きになっているAQAに近寄り、倒れているAQAの頭部と腕部をAWとショットガンで破壊する。破壊による爆発で岩壁の一部は吹き飛んだ。AQAの傍まで来ると岩壁から引きずり出し、武器を奪い取ってから羽交い絞めにして対魔法兵団用の盾にすると、予定通り岩壁の裂け目へと移動する。
思った通り魔法兵団は、こちらには攻撃してこない。
目の前では隕石群が大地と激突、落下の衝撃で隕石は砕け周囲に飛散する。他のAQAはメテオバリアにより無傷の様だが、センカクゴギュウは隕石の雨を浴び続け、上半身は炎上し、炎と煙に遮られて姿かたちがはっきりと見て取れない。
自機の方へは隕石の破片すら飛んでこず、銃口を向けていれば捉えたAQAは動こうとしないので、攻撃されない間に機体の修理を済ませ、捕虜AQAの脚部を破壊し、噛み付き、栄養を奪ってから素体の修理をしてやる。
一噛みで素体レベルが上がり、機体スキルも入手する。得られた機体スキルは【修復】で、このスキルは機体スキル【修理】、【修繕】と同時使用が可能である。これにより更に修理効果が上がった。
奪った剣と銃は使用はできないがアイテムとして所持することができた。
【魔剣】アルカナソード RANK3
【魔銃】ストルライフル RANK3
もしかしたら素材として使えるかもしれないな。
隕石の雨は止んだ。
捕まえていたAQAを解放し、俺は再び戦場に躍り出る。
真っ先にするのはセンカクゴギュウが落とした武器の回収だ。【感知】スキルによりグレートアックスが採取ポイントになっているのが分かったので、倒す前に拾っておくことにした。隊長機はセンカクゴギュウを攻撃しており、二機の隊員機は妖精AWで足止めし、俺は機体の速度を落とさず、駆け抜けざまに巨大斧を拾い上げる。無事にアイテムを回収できた。そして次に倒すべきはセンカクゴギュウ、既に隊長機により虫の息で死に体だが、まだ消えていないことから栄養は摂取できるはずだ。
センカクゴギュウは隊長機の魔法メテオストライクにより、牛であったかどうかなど分かりようがないほど激しい損傷を受けていた。
俺は獲物の足元に駆け寄り、未だ魔法の鎖に拘束されたままのセンカクゴギュウの肉を喰らう。
その結果、素体レベルが32になり、機体スキル【消去】、【剛力】、【属性変化】を取得。なんと機体スキルを三つも取得できた。
【消去】は脳波力判定により戦闘スキルを打ち消す。
【剛力】は打ち合いや、鍔迫り合い等の力比べの際に有効。
【属性変化】は自機の武器や装備の属性を変更できる。ただし、無属性は変えられない。
ここでイベントが発生、モノも言えぬセンカクゴギュウは膝を屈し、ひれ伏すように倒れ消えていった。
センカクゴギュウが消えると、レアアイテム【牛鬼の証】が現れ赤く発光、この世界へとやって来た時と同じ赤い光に包まれて・・・。
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AQAの搭乗ハッチが開く、宇宙服姿で現れたアーカイブ魔法兵団クルーリー小隊長はAQAから降り、黒いAQAについて呟く。
「あの黒い機体は確かアンダーク星のAQAだったな、滅亡寸前の黒軍が何故我々の領土へ現れたのだ。」
隊員達も機体を隊長機に並べ、AQAから降りてきた。
「我々と共闘する姿勢を見せていましたが、まさかAQAが機獣を喰らうなんて・・・。」
オヅヌがセンカクゴギュウに食らいついたのを見て驚愕し、攻撃したのはクルーリー小隊所属のレイニーである。先に手を出した事によりクルーリーから厳しく叱責されるかと思ったが、その件については何も責められはしなかった。
「くそっ、彼奴はエルクレア先輩を盾にしやがった。なんて卑怯な奴だ。」
ぼやいたのは、まだ幼さの残る顔立ちをしている新米のバーン。
「隊長、すみません、私が不甲斐ないばっかりにご迷惑を・・・。」
黒いAQAに全ての機械装甲を剥がされたエルクレア機が皆の所へと戻ってきた。
「誰も責める気はない、気にするなとは言わんが、封印級の魔機獣が相手だったのだ。これからは一瞬の隙が命取りになる事を忘れるな。」
隊員たちは頷き、星空を見上げ散っていったライヤースを偲ぶのであった。
・・・ここまでがイベントだったのだが、転移装置により途中で転送させられたので、オヅヌは最後までイベントシーンを見ることは適わなかった。




