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Limit Break Online  作者: 円連
第一章:不幸との戦い
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第二十三話 ミッション3:友軍支援【1】

 初めての単独ミッション、修行と言うからには滝に打たれながら落ちてくる丸太を破壊するのを想像していたが、実際のステージは缶詰のような円柱状の闘技場で、壁は鋼鉄、障害物は何もなし、50mほど離れた場所にいるテントウムシ型のロボットと一対一で闘う仕様になっていた。食える箇所はおそらくピコピコと動く触覚だけだろう、他はどこも無機質だ。

 テントウムシの様子を伺っていると、先に敵の方が動きだした。星柄の部分がミサイルの発射口になっており、そこから七基のミサイルを発射してくる様で、ハッチが開きこちらに狙いを定めている。・・・動きが遅いな、使うまでも無かったが機体スキル【加速】でテントウムシまで近寄ると、マスクを開き戦闘スキル【クラッシュバイト】で触覚を齧ってみた。


【4ソウル獲得】

『ナナテンの肉を摂取しました。悪影響がありますが素体への栄養としますか?YES/NO』触覚って肉なのか?腑に落ちないところもあるが栄養にすると悪影響があるようなのでNOにしておく。

【ナナテンの祝砲】(R1)を入手。


 たった一噛みでステージクリアになった。やはり難易度★×1では物足りない、これじゃあ修行とは言えないな。

 報酬も雀の涙(50ポイント、90ガルマ、5ソウル)程度だった。


 時間的には★×2に挑んだとしてもサーシャ達が戻ってくるまでには終わるだろうが、サーシャ隊長からは1ミッションだけの約束だったので、修行の続きは次回に持ち越しとなった。


 一応、勢力値を確認するが黒軍に変化はない。そりゃそうだよな、あんなので1ポイントでも上がったら、なんでやねん?だよな。

 一応、整備姉さんに話しかけるが、新機能は得られなかった。そりゃそうだ、あんなので新機能が追加されたら、なんでやねん?だよな。

 一応、レスナー司令官に話しかけてみたら・・・エースパイロットとして認められてしまった。あんなのでか?なんでやねん!

 「次のミッションで誰よりも率先して敵を倒せ。」・・・確かに条件は満たしているのかもしれない、しれないが、こんなのでエースパイロットになってもイマイチ喜べないぞ。皆には恥ずかしくて報告し難いじゃないか・・・。


『パイロットネーム:トウマはサーシャ小隊のエースパイロットになりました。』

『称号【エースパイロット】を得ました。』


 うわぁ~、エースになっちゃったよ。エース特典は専用機に搭乗可能と各能力値が+20か、既に専用機だし能力値アップも微妙だな。


 次は将軍の部屋に行き、ロイド将軍に話しかけてみるが、「早く一人前になるんだぞ。」と、お小言を貰う。これでもエースパイロットになったんだぞ、エースパイロットの称号は一人前の証にはならないのか?説教され損だった気がするが、ここで怒鳴り散らしても何が起こるわけでもなく、埒が明かないので気を取り直し将軍室をあとにする。昨日【助手の電子辞書】を手に入れた図書室を訪れ、他にめぼしい物がないか探ってみるが、特に何も見つからなかった。他の場所を探ってみるかと図書室を出た時、サーシャから至急司令室へ来るようメールがきた。


 急ぎ司令室へ赴くと、俺の到着を待ちかねたかのように用件を告げる。

「次のミッションをクリアすると別サーバーに移動できるようになるの、そこに新たな仲間が待っているわ。トウマもサーバー移動が出来る様に★ミッション3を早急にクリアするわよ。」

 そうか、ミッションを進めていけば仲間も増えていくのか、ミッション4では参加可能者数が1~10名に増えるらしい、難易度も上がるので今後は大人数で挑まないとクリアは厳しくなるそうだ。

「トウマ、同級生が困っとるんや、はよ合流したらなあかんで。」

 いつになくキタが焦っている。詳しい理由を聞くと、先に別サーバーに居た同級生五人はミッション4で何度も全滅してしまい、修理費も底をつき、全滅ペナルティでソウルポイントがマイナスになっているそうだ。

「そんな事態に陥るほどミッション4は難しいのか?」

「確かに難易度は☆×2から☆×3に上がるらしいが、問題は難易度ではなくて素体レベルを上げていなかった事なんだ。」

 ナックの説明によると敵を食うなんて発想はなく、ただミッションをクリアするだけでミッション4まで進めてきたらしく、素体レベル不足で上位の機械装甲や武器を装備できずに撃墜されまくっていたらしい。隊長スキルを持つものもおらず軍からの支援も受けられない、修理費は全額自腹で、ミッション1~3を何度もクリアして資金やソウルを稼ぎはしたが焼け石に水、再出撃制限回数を超えたところで出撃可能ミッションが未クリアのミッション4しか無くなってしまったそうだ。

「僕達の到着が遅かったばかりに随分と辛い目に遭っていたようなんだ。」

 ウェスがまるで自分の事の様に辛そうに肩を落とし項垂れている。

「彼女達は既に三度全滅してるの、被撃破ペナルティは一年分、全滅ペナルティで更に一年分、つまり一度の全滅で730ソウル、三度だと2190ソウルを失うのよ。」

 そうか、それで皆に焦りの表情が浮かんでいたのか、確かに急いで合流しないと途方に暮れるばかりだよな。

「それに、」「事情は大体わかった。今すぐミッション3をクリアしよう。」

 サーシャが何か言いかけたが、緊急事態と察した俺は直ぐの出撃を提案する。全員が頷き、司令官を揺さぶるようにしてミッションを受けると、俺達は急ぎ作戦会議室へと向かった。


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

ミッション3 友軍支援 

 参加可能人数:1~5名 

 作戦内容:エース機の支援

 勝利条件:敵機の全滅

 敗北条件:AQAの全滅、エース機の撃墜。

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「☆ミッションだとR3AQAリヴァイアに乗ったエースパイロット達が敵を次々に倒していくので、放っておいてもクリア出来る仕様になっていたわ。でも、今回もそうなるとは限らないので積極的に敵を殲滅していくわよ。」

 兎に角、一刻も早くミッションをクリアするのが小隊内での勝利条件となった。



― ミッションスタート10秒前・・・8・7・6・5・4・3・2・1・ミッションスタートです。 ―



『よく来たなヒヨっ子ども、俺はリブノシュタット騎士団ジンキ隊のムラクモだ。今日はお前たちの面倒を見るよう隊長から指令を受けている。よろしく頼むぜ、足だけは引っ張んなよ。』

『俺はヤタ、宜しく。』

『私はサヤカ、邪魔になると思うなら後方で待機していて頂戴。貴方たちの活躍なんて誰も期待していないから。』

 言いたい事だけ言って颯爽と去っていく三機のリヴァイア、イベントが終わり俺達はエース機の後ろに着いていく形で戦闘が始まる。


 俺もエースで、乗ってるAQAもR5の専用機、それなのに見下す発言はどうかと思うけどな。まあ、味方に悪態をついても、ましてやNPCに文句を言っても詮無きことだ。

 第一モニターには敵の出現を知らせるマークが表示される。

トウマ「こちらトウマ、前方に敵三機出現を確認した。先行する。」

キタ「助けたらなあかん奴がおるんや、今回ばかりはチャッチャと終わらせるで。」

ナック「ああ、またエース機の鼻を明かしてやるか。」

 俺、キタ、ナックのAQA三機が横並びに駆け出し敵機出現位置へと向かう。

「【加速】機能発動。」

 一気にエース機を抜き去り、前方の敵へと【青龍飛腕】を飛ばす。

「くらえ!【螺旋飛龍】(ドリルナックル)!」

 視界に捉える頃には二機の敵機は青龍飛腕により体に風穴を開けられ爆散するところであった。


【18ソウル獲得】×2

『設定変更、獲得情報を全カット、素体栄養選択情報のみ表示。』

 今は戦闘に集中したい。ミッション2の途中の様にザコ戦での獲得情報はOFF設定にした。


 敵は鏡面パラボラアンテナの体に足とハサミが付いているカニみたいな奴だった。その腹にどんな効果があるのかは分からないが、とりあえず二匹を葬った。磁力装置で腕を回収し、逆鱗に手をかざし双刀を抜き放つ、そして、すれ違いざまに残りの一匹を斬り捨てた。

 新たな敵が前方から五機出現。蜂型の敵だ。おそらく尻尾の針で刺してくるか飛ばしてくるのだろう。だが、そんな事を見極めるつもりはなく、ロックオンを済ませるとローズレイで全てのハチを打ち落とした。

 お次は七機、大樹に目鼻口が付いた耐久力のありそうな敵だ。双龍砲で攻撃するが効果はイマイチ、再び【青龍飛腕】を飛ばすが二機を倒すので精一杯、双刀を太刀に持ち替え大樹に接近し、二段ジャンプで大樹の真上まで飛び上がり、落下と同時に加重を乗せた一撃で大樹を一刀両断にする。

「残り四匹。」

 そこへナックが現れ、大樹に紫色の炎を纏った飛び蹴りを喰らわせる。炎が幹へと燃え移り絶叫を上げながら焼け崩れていった。

ナック「トウマ、ここは俺に任せてくれ。」

 ナックのAQAエンテイケンプは大樹に紫炎を纏いし拳の連打を浴びせ、大樹は木片を撒き散らし、その身を焼かれながら崩れ落ちていく。

 なるほど、木には炎属性が有効か、瞬く間に二機の大樹を倒したナックに、ここは任せておこう。


 更に前方へと向かうと九機のスライムを発見する。これってロボットなのか?食うとしたらどこを食えばいいんだ?ゼリー状の体表には電子回路のような模様が浮かんでいるが、とてもロボットには見えない・・・って、いかん、いかん、そんな事は今回、気にしない事にしているんだった。試しにローズレイで打ち抜いてみるが、赤色光線は飲み込まれる様にスライムの体内で消されてしまう。双龍砲の液体龍弾も同様の結果だった。双刀で切り刻むが手応えは感じられず刀はすり抜けてばかり、スライムの動きは緩慢なので攻撃を受けることはないが、ダメージを与えられずにいた。

キタ「柔らかい奴は硬くしてやったらええんとちゃうかー。」

 スライム相手に手間取る俺にキタが追いついてきた。キタのAQAメタル・バシリスクがメタルライフルでスライムを撃つと、その体が硬化し動きが更に鈍くなる。

 そこを狙って双刀を振るう、斬れるというより砕け散る形でスライムを倒すことができた。

キタ「倒し方がわかればチョロい相手やな。後は任せとき、トウマは先に行ってくれや。」

トウマ「ああ、分かった。頼んだぞ。」


 仲間が助けてくれたから俺は戦えている。仲間がいるから俺は戦える。戦えない仲間がいるなら俺は助けたい。

 きっと皆も同じ気持ちなんだろう。あのサーシャですら、アイテムは無視して手間のかかる噛み付きはしなくて良いと指示を出していた。


 新たな敵が十一機、鉄球に幾つもの針が生えている。針鉄球はその場で跳ね続け徐々に回転を始める。高速回転に達する頃、俺に向かって突進してきた。二段ジャンプで突進を躱し赤色破壊光線(眼からビーム)で針鉄球を次々と破壊、残る一球を天裂地爆刀で上下に分断してやる。だが、これで終わりにはならなかった。針鉄球の中には三基のミサイルが内蔵されていたのだ。四方八方に発射されるミサイルは、そこかしこを飛び回り、やがて目標を見つけたかのように俺へと飛んできた。三十三発の追尾型ミサイルが逃げる俺をどこまでも追いかけてくる。


 ピュピュン、ドガッ、ボーン!


 何発かのミサイルが撃ち落とされる。どうやらサーシャのAW(アクセントウェポン)が迎撃してくれたようだ。続けてウェスの援護射撃も加わり、みるみるうちにミサイルが落ちていく、最後の一発は振り向きざまに太刀で一閃、ようやく逃げても逃げても追尾してきた全てのミサイルを破壊することができた。


 第一モニターに敵を示すマークはもう無い。ミッションクリアかと思ったその時、今回は起きてほしくなかったイベントが発生する。

 ・・・ボスの登場イベントだ。

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