表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Limit Break Online  作者: 円連
第一章:不幸との戦い
17/78

第十七話 ミッション2:哨戒任務【1】

 休息といってもLBOの中では睡眠をとる必要はない。

 現実世界の不死鳥学園に設置された脳波コントロール装置【レムド】内にいる俺の身体は既に休眠状態に入っている。

 今の俺は体は寝て脳は起きている状態だ。自室にいて【助手の電子辞書】を読みふける事は意識的に睡眠学習をしているようなものである。様々な思考を必要とするミッションには出れないが、読書をする分にはさして本体に支障はない。もちろん睡眠の周期により脳も休む事はある。その場合は俺の存在も暫く消え、再び目覚めると現れる、それを繰り返すのだ。気がつくと時間が飛んでいたなんて時は脳が寝ていたという事だ。

 自室にはベットもあるので意識をゲーム内から消すことはできる。だが、ログアウトは次の日曜が来るまで出来ないのだ。それが不死鳥学園の校則である。破ったものは即退学、外部との接触も日曜日以外は禁止、つまり、家族に会えるのは日曜日だけ、だが、その日曜日は貯めたソウルを学園内の競売で売る事ができる日でもある。どちらを取るかは生徒の意思に任されている。

 ログアウトの前日に行うイベントも重要で、毎週土曜日は軍団戦が行われる。組み合わせはAMIDAが決めるので、どの軍と戦うかは誰も分からないのだ。軍団戦では敵機を撃墜すると相手のソウルポイントが奪える。逆もまた然りで、撃墜されればソウルポイントは奪われる。それも相当な量のソウルをだ。結局のところ強くならなければ巨万の富を手にする事はできない。・・・現実と変わらない。

 だからこそ今の勢力値が気にかかるのだ。他の軍は伸びているのに日付の変わった今でも黒軍の数値は今も変わっていない。

『軍別勢力値、白軍35、赤軍31、青軍29、緑軍28、黄軍35、黒軍23』


 他の勢力はどこまでミッションを進めているのだろう?どのランクの機体に乗っているんだ?既に攻略法を見つけたのだろうか?

 いくら探してもそんな情報は見つからなかった。



― リ~ミット ブレイク! ―


「おはようトウマ、ゆっくり休めたかしら。」

 サーシャが気遣ってくれる。だが声をかけた本人こそ元気がなさそうである。

「おはよう隊長、休めはしたけど気掛かりな事があって気分は優れない感じだ。」

「勢力値の事か?」

 ナックも気にしているようだ。そりゃそうだ。一晩過ぎても結局は黒軍の勢力値は上がらないままで、黄軍はさらに勢力値を伸ばしている。

「気にはなるが、気にし過ぎてもあかんのとちゃうか、無理してミッションこなして、疲労がたまってミッション中に意識が飛んだら、その時点でアウトやで。」

 確かにキタの言うとおりだ。深夜にも拘わらず勢力値を上げている黄軍はいつか自滅するんじゃないか、今は自分たちの出来る事をこなして行く事の方が大事なんだ。

「そうだね、キタの言うとおりだ。」

 ウェスが同意し、皆も一様に頷く。


「もう一つ気になる事があるんだ。俺たち以外の黒軍の情報が見れないのは何故だ?」

「そりゃ、まだ【助手の電子辞書】を見つけてないんやろな。今はソウルを稼げる嬉しさで頭が一杯なんやろ。」

「そうね、私たちもトウマが図書室へ行かなければ、行き詰まらない限り見つけられなかったと思うわ。」

 そうか、まだ他の生徒は見つけてもいないのか・・・。


 今はクラスメイトが登録するのを待つしかないとして、俺たちはミッションを先に進め、勢力を上げる事を当面の目標とした。



― リミッブレィクッ! ―


 そして今は俺が皆の帰りを待っている。

 待っている間に調べたのはミッション情報だ。ミッション1【輸送車護衛】はオールコンプリートとなって選択できなくなっていた。これはテンザクチバクリュウと何がしかの決着をつけたからではないかと思われる。そしてミッション2【哨戒任務】は難易度★×6で、前線基地の周囲を巡回し、敵を発見した場合は速やかに迎撃する事がミッションの内容である。

 ☆ミッションだと前線基地が中継基地になっている。おそらく★ミッションの方が勢力値は上がりやすいはずだ。

 他にEX(エクストラ)ミッション【水神龍への導き】があり、これには参加制限がかかっている。以前は飛行可能が参加条件だったが、今はこれに加え水中適性が加えられていた。俺には機体スキルとして【潜水】と【水中移動】があるので、参加は可能だが他の隊員は適性が無く、参加できない。このEXミッションも難易度★×6、参加可能人数は1~5なので、ミッション2を楽にクリアしたなら待ち時間を利用して一人で挑んでみるつもりだ。


 他に変わった事といえば、レスナー指令がテンザクチバクリュウを助けた事で水神龍カークヴェレストの怒りが収まった事を教えてくれた。

 この情報だけでは事態が好転したのか、それとも悪化したのかは分からない。悩んでも仕方ないので、この件については深く考えないようにしておく。

 司令室にめぼしい物がないか調べているうちにサーシャ達が戻ってきた。

「今回も早かったな、やっぱり☆ミッションは簡単なんだな。」

 肩をすくめながらナックが答える。

「ああ、今回も六機沈めて終わりだ。一撃で装甲を破壊し、返す刀で倒せたよ。しかも食っても栄養にならないどころか状態異常を引き起こしかねないときたもんだ。」

 そうか、敵によっては食うと食あたりを起こしたりするのか、何でもかんでも取り込んでしまわないように気を付けないとな。


↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

ミッション2 哨戒任務 

 参加可能人数:1~5名 

 作戦内容:前線基地の哨戒

 勝利条件:敵機全滅、三時間基地を守りきる。

 敗北条件:AQAの全滅、基地の壊滅。

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑



― リ~ミット、ブレイク ―


 司令室から作戦会議室に移動し、☆ミッションの反省と対策を話し合う。勢力値の変動を確認してみたが、相変わらず黒軍の勢力値は23から増えていない。なので、予定通り★ミッションでの勢力値アップを目指す。

 そして、サーシャ隊長から改めて今回の任務内容の説明を聴き、敵出現位置、採取ポイント、行動予測、これらを踏まえた上で作戦指示を受ける。俺は基地の周囲を廻り続け、敵を誘き寄せながら戦うのが今回の役割だ。

 ようやく待ちに待った俺の出番だ。ミッション2 哨戒任務 難易度★×6で俺の力がどこまで通用するのか、怖くもあり楽しみでもある。


― ミッションスタート10秒前・・・8・7・6・5・4・3・2・1・ミッションスタートです。 ―


 暗転から視界が復帰すると、そこは真夜中の前線基地、空を見上げれば綺麗な星が瞬いている。明かりは基地からのサーチライト、AQAの照明のみである。俺がいる場所は基地の北側、何処かの勢力へと(☆ミッションでは黄軍へと)続く街道がある。☆ミッションでは北側の街道から四機のAQAが攻めてきて、東側の森林地帯と西側の森林地帯から一機ずつ奇襲してきたそうだ。【暗視】持ちの俺が見ても街道に敵影は見つからない。

 しかし、視認は出来なかったが、第一モニターのエリアマップに敵影が表示される。流石はR5AQAだ、高性能センサーが敵を見つけてくれた。敵の出現位置はナックの居る東側から三機、キタの居る西側から五機だ。

トウマ「レーダーに反応、ナックの方から三機、キタの方には五機がくるぞ。」

サーシャ「ウェスは東側に移動、ナックの援護を、トウマはキタの・・・西側に移動して、まだこちらのレーダーに反応はないわ。トウマ、これからもレーダーに反応があり次第、直ぐに連絡して。」

トウマ「了解。」


 敵の進行スピードは早くない、音を立てないように隠密行動をしているせいだろう。

キタ「ようやく俺のレーダーにも反応があったで、はよ来てみい、蜂の巣にしてやるわ。」

ナック「こちらにも反応あり、迎撃を開始する。」

サーシャ「ナックは待って、敵のAI行動を探りたいの、ナックを襲うか、基地を襲うか、それともトウマへと向かうか観察してちょうだい。」

ナック「分かった。こちらへ襲撃してこない限り素通りさせる。」


 成程、今回も俺だけがターゲットなら迎撃作戦も立てやすいよな。第一モニターを注視していると、敵は基地へとは向かわず俺の方へ向けて森の中を移動しているようだ。

トウマ「やはり俺へと集まるように移動しているな。・・・あと少しで接敵する。」

 ようやく視認できた。森の木々を伝って移動する敵、その姿は巨大なサルだ。

 体表はこげ茶、どうやら尻尾以外は機械の様だ。暗闇からその赤く光る眼でこちらを見ている。すぐには襲ってこないのか?

 暫しの睨み合いが続いたが、先に口火を切ったのはサルの方で、突如奇声をあげ五匹の大猿が森の中から飛び出してきた。

ギャギャァォゥ!

 手に持った鉄の棍棒を俺の脳天へと振り下ろそうとするが、大したスピードじゃない、既に五匹の大猿のロックオンは完了している。

 戦闘スキル【ローズレイ】発動、赤いバイザーからバラの花びらの形をした粒子が飛び散り、その後に赤色光線が大猿の額目掛けて発射され瞬時にサルの頭部を溶解させた。続け様、扇が開いていくかの様に赤色光線が大猿の額を順に撃ち貫く。


【1ソウル獲得】

【2ソウル獲得】

【3ソウル獲得】

【4ソウル獲得】

【5ソウル獲得】


 ん?一撃か?敵が弱いのか、俺が強いのかは分からんが、それにしても獲得ソウル数が少ないな。

キタ「なんやねん、トウマが一瞬で全部やっつけてしまいよったで、おかげで俺の出番が無くなってもうたやんけ。」

 駆け寄ってきたキタは文句を言いつつも、直ぐにアイテム漁りへと向かう。


【???パーツ入手】

【???パーツ入手】

【???パーツ入手】

【???パーツ入手】


キタ「うわっ、もう残骸消えてもた。早すぎるやろ。」

 確かに大猿が残骸になった時には既に点滅していたな。幸運力-254だもんな、そりゃそうか。


キタ「それに敵を一撃で倒したら食う暇ないやんか、もっと手加減せなあかんで。」

 おお、そうか、食べないと強くならないからな、次はスキル無しでやってみよう。


【???パーツ入手】

【???パーツ入手】

【???パーツ入手】


 あっ、残りの三匹はナック、サーシャ、ウェスがやったのか。

 サル達が俺しか狙わないのを確認したので倒したようだ。

ナック「あれ?」

サーシャ「なによ、1ソウルしか貰えないの?」

ウェス「僕も1ソウルだけだった。」

トウマ「俺は五匹倒して、それぞれ1、2、3、4、5だったから一匹倒すごとに1ソウル増えるんじゃないか?」

 1から順に増えるという事は・・・レーダーが敵機の出現を捉え、モニターが無数の敵マークを表示させる。

トウマ「新たな敵機を確認、数は・・・5、6、7・・・10・・・多数だ。東と西から大群が来るぞ!」

 俺は数えるのを止めた。敵機を表すマークが多すぎて重なり合い、数え切れない程になった。

 下手すると百匹を超えるんじゃないか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ