第十三話 ミッション1:輸送車護衛【9】
湖の底にある洞窟内に着くと、テンザクチバクリュウの背から降り、互いに向き合い話が始まる。
「我が好敵手になるからには我の力を得るのだ。トウマの持つ逆鱗の力を使え、我が逆鱗の使い方を教えてやろう。」
『逆鱗の力を取り込みますか?YES/NO』ここは素直にYesを選択。
またもイベントが発生し、自動で機械装甲をパージすると、逆鱗がAQA素体の項辺りに減り込んだ。
『称号:【青龍に認められし者】を得ました。』
『称号:【青龍族】を得ました。』
どんな効果があるのか分からないが、青龍関係の称号を得て、尚もイベントは続く。
「これは我と共に生まれた宝物だ。再開の約束を結ぶ証に相応しかろう。持って行くが良い。」
【刀】雌雄一対の刀『青龍』天裂刀を入手
【刀】雌雄一対の刀『青龍』地爆刀を入手
『雌雄一対の刀『青龍』が揃いました。【双刀】天裂刀・地爆刀が使用可能です。』
『雌雄一対の刀『青龍』が揃いました。【太刀】天裂地爆刀が使用可能です。』
『リミットブレイクスキル【天裂地爆斬】を入手しました。』
テンザクチバクリュウから受け取った二本の刀が逆鱗に吸い込まれていく。
「よし、授ける物は授けた。我は静養の為、暫く此処を離れ水神龍カークヴェレスト様の元へと参る。此処にある物は我を助けた礼だと思い好きなだけ持って行くがよい。・・・我が友トウマよ、次に逢う時を我は楽しみにしておるぞ。」
突然、周囲が暗転し、テンザクチバクリュウの体が浮かび上がる。どうやらお別れの時らしい。
友人・・・ではなくて、友龍が機嫌よさげに天へと昇っていく様を見送ると、白い光が俺を包み込みイベントの終了を告げる。
イベントが終わると、そこは草原だった。第一モニターの地図で現在位置を確認してみる。
俺はどうやら湖があった場所に立っている様だ。
まるで最初から湖なんて無かったかの様に、ただ草原が広がっている。そして目の前には宝箱がポツンと置かれていた。
トウマ「皆は今どこだ?」
ナック「おお、トウマ、戻ってきたか。」
トウマ「ああ、今は湖があった場所の中央にいるよ。」
サーシャ「あら、地形が変わっているじゃない、湖が消えているわ。」
トウマ「テンザクチバクリュウが住処を離れたからだろうな。龍の置き土産もあるからこっちに来てくれ。」
ニシ「置き土産か、なんか気になるな。はよ牛を片付けてそっちに向かうわ。」
ウェス「トウマがいないと敵のAIは正常になるみたいなんだ。バッファルドは、ちゃんと輸送車の方へと突進してきたからね。」
そうか、もしも俺が撃破されてしまったら他の皆に向かって行くんだな。これは囮として責任重大だ。
サーシャ「キャー!またスキルじゃ無いじゃない。なんなのよ、もう!」
またサーシャはステータスアップだったか、このタイミングで「新しいスキルを覚えたぞ。」とは言い辛いな。タイミングを見計らって話すことにするか・・・。皆が此処に来るまで逆鱗や武器について調べながら待つ事にした。
【バッファルドの装甲(R3)】を入手
ステージ最後の敵を倒し、皆は俺の方へと集まってきた。
サーシャ「最後は素体になるのがトウマの宿命なのかしら、機械装甲はどうしちゃったのよ。」
トウマ「逆鱗の力を取り込む時に自動的に脱いでしまったんだ。再び装着しようにも機械装甲がどこにも見当たらなくて・・・。」
ナック「それは恐らく、このステージエリアとは違うイベントエリアで脱いだからだろうな。機械装甲が元通りあるかどうかはミッションクリア後に確認するしかないが、失っていないと信じたいな。」
サーシャ「その話は後にして、早く龍の宝箱を開けてみましょうよ♪」
サーシャはリーダーとしては頼もしいけど、結構欲張りだよな。
ウェス「この宝箱はトウマが貰ったものじゃないの?」
トウマ「ああ、うん、俺が貰ったものは他にあるんだ。その箱は「好きなだけ持っていけ。」って言ってた物だと思う。だから中身は沢山入ってると思うぞ。折角だから皆で分けようぜ。」
キタ「その意見には賛成や、あの小僧を助けたんはトウマだけとちゃうからな。当然俺達も宝をいただく資格はあるはずや。」
サーシャ「そうね。そうよ私も【修理】で助けてあげたんだから貰う資格はあるはずよ・・・まあ、最初に開ける大役はトウマに譲ってあげなくもないけど・・・。」
トウマ「サーシャが最初に開けてくれれば良いよ。多分、皆の分もあるはずだから。」
サーシャ「そう?わかったわ、じゃあ遠慮なく開けるわね♪」
とてつもなく上機嫌になったサーシャが宝箱を開くと・・・。
【テンザクチバクリュウの螺旋鋼(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウの螺旋鋼(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウの赤色灯(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウの硬装甲(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウの硬装甲(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウの破砕牙(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウの耐熱板(R5)】を入手
【テンザクチバクリュウのパーツ】×3を入手
【貴鉱石入手】×20を入手
【貴宝石入手】×50を入手
ナック「成程、全員に行き渡るアイテムだったか。」
キタ「まあ、五人分合わせたらとんでもない量のアイテム数や、こりゃ助けた甲斐があるっちゅうもんや。」
サーシャ「ああ、こんな事なら一口だけでもあの龍を齧っておくべきだったわ。いいえ、弱っていたとは言えボスですもの、三口位なら耐えられた筈よ。」
いや、あれはもうギリギリだったぞ・・・とは言えず、心の中だけでツッコミを入れておいた。
ウェス「・・・はは、確かに、これだけ素材があればトウマの装備だけじゃなく、僕達の分まで作れるだろうからね。」
ナック「装備は作れても素体レベルが足りないか、まあ良いじゃないか、R3の武器や機械装甲なら作れるし装備も可能だろう。」
サーシャ「それで、トウマだけあの龍から何を貰ったの?」
宝箱の中身が期待ハズレで、ご機嫌斜めのサーシャが俺を詰問する。
俺は項部分に両手をかざし逆鱗から天裂刀・地爆刀を抜き出して皆に見せた。
トウマ「これはR6武器の【双刀】天裂刀・地爆刀で、両手持ち武器にすると【太刀】天裂地爆刀になるんだ。」
キタ「メッチャ格好ええやんかー!刀身に青龍が刻まれとるんもシビレるわ~♪」
ウェス「能力値はどうなっているの?やっぱりR6武器だと強力なのかな~?」
トウマ「ええと、攻撃力は+255、命中力が+50、脳波力も+50だな。」
ナック「流石はR6だけあって高威力だが、それだけか?イベントアイテムにしては物足りない気がするんだが。」
トウマ「ああ、リミットブレイクスキル【天裂地爆斬】が使えるようになったんだ。」
キタ「リミットブレイクスキル~?なんやそれ、どんな技がでるんや?気になるやんけ、いっぺんでええから見せてくれへんか?」
トウマ「それがリミットブレイクスキルの使用条件が整っていませんって警告されて駄目だった。」
キタ「なんやそれ、前も思ったけどLBOはえらい不親切なゲームやな~。あかん、あかん、じゃなくて、もうちょっとこれがダメやって教えてくれてもええんとちゃうか。」
ナック「そうだな、まあゲームだから発動条件はおおよそ想像がつくだろ。減るか、増えるかで使えるようになるさ、今は分からない事が多いけど、LBOを続けていりゃあ、それもおいおい分かってくるだろうよ。」
そんな話をしている脇でサーシャがAQAの機械装甲を脱ぎ、AQA素体をしゃがみこませコソコソと何かしている。
ウェス「サーシャは何してるの?」
サーシャ「え?ああ、うん、私もトウマの様にレアアイテムの力が手に入らないか試していたの。」
サーシャが手に持っていたのはテンザクチバクリュウの赤眼だった。AQAの目も赤いが、リュウの赤眼は更に深みのある赤色をしている。サーシャはこれを何度も両目に嵌め込もうとしたそうだ。そりゃ無理だよ、可能ならシステムから取り込むかの選択肢が表示されるはずだからな。
サーシャ「やっぱり駄目ね。上手くすれば目からビームが撃てると思ったんだ・け・どっ!」
怒りに任せ赤眼を地面に叩きつける。
おお怖、レアアイテム相手でも容赦ないな、なるべく機嫌を損ねないようにしないと・・・。そんな事を考えていると第二モニターにメッセージが表示される。『赤眼の力を取り込みますか?YES/NO』・・・あらら。
トウマ「どうやら赤眼の力を得られるのは俺の方みたいだ。赤眼の力を取り込むかどうかの選択肢が出てる。」
ナック「なんだ?ミッション中ならアイテムの譲渡ができるのか?それともレアアイテムだけ特別なのか?」
キタ「叩きつけたから放棄したと見なされたんとちゃうかな。」
ウェス「それじゃあ試してみようよ。」
赤眼をサーシャが拾うとメッセージが消えた。今度は手渡してもらうとアイテム入手のメッセージが出た。
トウマ「ミッション中なら譲渡可能だったのか、他のアイテムはどうだろう?」
色々試して分かった事は・・・。
・鑑定済み(名前の判明している)アイテム(パーツ、宝石、鉱石)は譲渡可能。
・未鑑定アイテムは譲渡不可。
・渡した鑑定済みのパーツが、受け取った側の未鑑定パーツと同じだった場合は、未鑑定パーツが鑑定済みパーツに変わる。
・機械装甲は譲渡不可。
・武器も譲渡不可。
・おそらく未鑑定レアアイテムも譲渡不可だと推測。
・アイテムの放棄は未鑑定アイテムでも可能。(時間経過で消失。俺だと直ぐに点滅しだした。)
・武器や機械装甲は置けるが放棄とはみなされない。
・無理とは思いつつもスキルの譲渡を試してみるが選択肢すら表示されず、やはり無理だった。
ナック「この先、修理アイテムなどが出てくるだろうから、ミッション中であれば受け渡しが出来る様になっているんだな。」
ウェス「折角だからトウマ、僕のレアアイテムとR5パーツを受け取ってよ。」
ウェスからアイテム譲渡の申請が来た。
『パイロット:ウェスからのアイテムを受け取りますか?YES/NO』
トウマ「良いのか?俺だけ得する事になるぞ。」
キタ「ちゃう、ちゃう、トウマだけが得するんとちゃうねん。トウマが囮として強くなれば、その分、俺らの戦闘が楽になるんや。これは誰もが得するっちゅう事やがな。遠慮なんかせんといてや。」
『パイロット:キタからのアイテムを受け取りますか?YES/NO』
ナック「そうだな、損して得取れって言うくらいだからな、俺も楽させてくれよな。」
『パイロット:ナックからのアイテムを受け取りますか?YES/NO』
トウマ「皆、ありがとう。じゃあ、遠慮なく使わせて貰うから遠慮なく俺を囮にしてくれ。」
YESを三連打し、友情の証を受け取った。それと同時に俺の所持しているアイテムの未鑑定アイテムが鑑定済みアイテムへと変わる。
・・・。
・・・。
・・・。
サーシャ「・・・。」
・・・。
・・・。
・・・。
サーシャ「・・・わかったわよ。」
通信機からサーシャの微かな声が聞こえる。
・・・。
・・・。
・・・。
サーシャ「ああ、もう、わかったわよ!トウマを優先的に強くしようと言ったのは私なんだから、アイテムがレアだろうと何だろうとあげるわよ!まったくもうっ!・・・でも、いいかしら?もうトウマを囮だなんて扱いはしないわ。貴方は私の隊のエースパイロットになるのよ。これを受け取るなら私の為にしっかりと働きなさいよね。はい、どうぞ。」
『パイロット:サーシャからのアイテムを粛々と受け取りますか?YES/NO』
慎み敬いながらYESを押して、サーシャからのアイテムを受け取った。
トウマ「改めて礼を言わせてもらう。皆、ありがとう、感謝する。」
そして複数表示されている全ての強化選択メッセージに対しYESを選択。
『三爪の力を取り込みますか?YES/NO』YES。
三爪が逆鱗に吸い込まれると、両手の親指、人差し指、中指の爪が巨大化し鋭く尖った爪に変わる。
『固有戦闘スキル【サテライトオーブ】を入手しました。』
『水流栓の力を取り込みますか?YES/NO』YES。
三爪が逆鱗に吸い込まれたが、三爪の時とは違い外見に変化は見られなかった。
『固有戦闘スキル【ハイドロウェイブ】を入手しました。』
『震声帯の力を取り込みますか?YES/NO』YES。
震声帯の場合も同じで、外見に変化は見られない。
『戦闘スキル【ドラゴンロア】を入手しました。』
『戦闘スキル【ドラゴンクエイク】を入手しました。』
『赤眼の力を粛々と取り込みますか?YES/NO』頭を垂れつつYES。
赤眼が取り込まれるとAQA素体の両眼が真紅の輝きを放つ。
『称号:【青龍騎士】を得ました。』
『固有戦闘スキル【ローズレイ】を入手しました。』
一気に戦闘スキルが五個も増えた。これだけ多いと上手く使いこなせるのか心配になってくる。
サーシャ「あら♪何故かはわからないけど称号:【青龍を従えし者】を貰えたわ♪」
トウマ「俺は称号:【青龍騎士】が貰えた。この称号ってのは何かの役に立つのか?」
サーシャ「さあ?どうかしらね。でも、貰えて損はしないわよ。有り難く貰っておきましょ♪」
サーシャの御機嫌が治ったところで、新しく手に入れた戦闘スキルを試し、ミッションをクリアする事にした。
― 達成条件を満たしました。ミッションクリアです。 ―
リブノシュタット軍前線基地に辿り着くと、前回と同じ基地司令官が登場、労いの言葉も同じだった。
輸送車の中身も前回と同じ三機のAQAリヴァイアだった。これもまたリブノシュタット軍のエースパイロットに支給されるらしい。
早くエースパイロットになれと叱咤されるのも同じだ。だが、前回と唯一違っていたのはエースパイロットを本気で目指そうと思う俺の気持ちだ。




