第十二話 ミッション1:輸送車護衛【8】
・・・俺は思わず落ち行く鉄球に向けドリルスピアを投げつけていた。ドリルスピアは高速回転により鉄球に穴を穿ち、そこへ両腕のパイルナックルを打ち込み鉄球を破壊する。
気を失った青機龍の上を飛行しながら、先程まで俺がいた場所に鉄球が落ちるのを確認し、最後に落ちた鉄球の上へと着地する。そして鉄球の落下が止まった。
トウマ「済まん皆、何だかテンザクチバクリュウが可哀想になって倒せなくなっちまった。」
ナック「ん?どういう事だ?」
トウマ「気のせいかもしれないがコイツに助けを求められたような気がして、思わず助けてしまった。」
キタ「ゲームやねんから遠慮せんと倒してええねんで、どうせもう一回同じミッションを選んだら何事もなかったかの様に、また出てくるんやから。」
トウマ「ああ、きっとそうなんだろうけど、やっぱりコイツを見殺しには出来そうにないんだ。」
サーシャ「トウマ、貴方変わってるわね。ゲーム初心者だからかしら。」
トウマ「そうかもな、でも偉そうにする割には単純で、デカイ図体の割には幼く感じたんだ。」
ウェス「ひょっとするとテンザクチバクリュウは子供の龍なのかも知れないね。」
キタ「成程な、そりゃ子供には手を上げられへんよな、そやけど何度も言うて悪いがこれはゲームやで、哀れみなんか必要ないんや。」
トウマ「ははっ、そうか、子供か、だったら尚の事倒せなくなったな。俺は血の繋がらない弟妹達の為にこのAMIDAゲームに参加したんだ。ゲーム内の敵とはいえ子供だと分かればもう手は出せない。」
キタ「はっ、そいつの肉まで食って倒した奴がよく言うもんやな。・・・まあ、少しはトウマの気持ちが分からんでもないわ、俺にも弟がおるし、弟の苦しんどるところは見たあないしな。・・・しゃあない、今回だけは見逃したるわ。好きにせえや。」
ナック「ふん、敵のボスを助けるゲームなんて初めてだな。これだからゲームは止められない。」
サーシャ「ちょっと待って・・・迂闊だったわ。鉄球を先に落としてしまったから輸送車が先へ進めない・・・。」
トウマ「ああ、そのことなら俺が鉄球を破壊するから問題ない。」
サーシャ「ええー!!鉄球って破壊できるの?」
トウマ「ああ、うん、既に一つは破壊したから大丈夫だぞ。」
皆一様に驚いているが、そこはゲームだからな。壊せる物は何を使っても攻撃力次第で壊せるはずだ。
俺が鉄球を砕きまくっている間に輸送車を引き連れて皆がやってきた。
飛行スキルを求めて皆がスタッグバードに群がり齧り付く。先に二回食べたサーシャが勝鬨を上げた。
サーシャ「やったわ♪合成スキル【白翼】をゲットよ♪」
サーシャの歓喜は直ぐに落胆へと変わった。このスキルは翼を白くするだけのスキルだったのだ。無論飛べやしない、しかもAQAデュラには翼は無かったのである。無情にも『エラー:翼が必要です。』と警告されていた。
サーシャ「何よ、何なのよ!飛べないってどういう事なのよー!!」
【スタッグバードの噴射機(R3)】を入手
【スタッグバードのパーツ】×2を入手
文句を言いながらも、きっちりとアイテムを手に入れているところが彼女らしい。このままでは怒りが収まらぬとばかりにサーシャは崖を登りアイアンドロップを食べに向かう。
因みに、鉄球を砕くには鉄球にヒビが入るまで貫通属性の攻撃を行い、その後に貫通属性か衝撃属性の攻撃を行うと、砕け散る事が分かった。砕いた鉄球の破片を調べると貴重な鉱石を各々一個ずづ採取できた。
【貴鉱石入手】×8
サーシャ「何だってのよー!!スキルじゃなくて命中力が上がっちゃったわよー!!」
サーシャの叫びが谷にコダマする・・・。
ウェス「テンザクチバクリュウの上の鉄球は全て無くなったけど、まだ起きそうにないね。」
トウマ「ああ。」
キタ「しゃあないな、サーシャ、この龍を【修理】してやってくれへんか~?」
サーシャ「あら、それは私に降りてこいって言ってるの?」
不機嫌なサーシャが怒りのこもった返事をする。
ウェス「頼むよ、サーシャ、折角なんだから助けてあげようよ。」
サーシャ「分かったわよ、【修理】するわ。でも、どうせ【修理】してもまた襲いかかってくるのがオチよ。」
トウマ「そうだな、それでも頼むよ。」
サーシャ「はいはい、じゃあ一旦平原まで進むから、途中の気持ち悪い中ボスは倒しておいてよ。」
「「「了解。」」」「へ~い。」
サーシャにはついでに残りの鉄球を落としてもらい鉄球を砕きながら中ボスの場所まで進む。
【貴鉱石入手】×7
キタ「はい、バキュンとな。」
バシュッ、ドーン!
中ボスの潜む場所へ拡散弾を打ち込むと、はい、現れました一発屋の中ボス、ドラゴンカッター。
野郎共は頭部機械装甲を外し、ヌメリのある腹に食らいつき栄養の摂取に掛かる。
『ドラゴンカッターの肉を摂取しました。素体への栄養としますか?YES/NO』YES、噛み付きをもう一度行うと・・・。
【素体レベルアップ】:レベルが32になりました。
『ドラゴンカッターの栄養を全て摂取しました。』
『合成スキル【竜属性】を入手しました。』
そして中ボスの残骸を漁り。
【15ソウル獲得】
【ドラゴンカッターの切断刃(R3)】を入手
【ドラゴンカッターの切断刃(R3)】を入手
【ドラゴンカッターの跳躍輪(R3)】を入手
【ドラゴンカッターの探知機(R3)】を入手
中ボスを簡単に料理した後は地道に鉄球破壊作業を行う。
【貴鉱石入手】×15
前回は30個の鉄球を受けても倒せなかった青機龍なのに、今回は8個でダウンか・・・逆鱗の力って凄いんだな。
さて、俺達はサーシャと合流するとテンザクチバクリュウの場所へと戻り応急の【修理】を行う。
サーシャ「ようやくお目覚めの様よ。」
青機龍はゆっくりと目を開き、現状を確認するように周囲を見渡す。
「ここは?」
トウマ「覚えていないか?お前を此処に誘い込み鉄球の下敷きにしたんだ。」
「邪機を纏いし者共か・・・。どうした、何故止めをささぬのだ。」
トウマ「お前はリュウとしては幼子なのか?それを聞きいておきたくてな。」
「だったらどうだと言うのだ。お前達には係わりの無いことだ。」
トウマ「やはりそうだったのか、すまなかったなお前には色々と意地悪なことをしてしまった。」
「ふ、ふざけるでない、我が名はテンザクチバクリュウ、水神龍カークヴェレスト様を守護する者ぞ。」
トウマ「ああ、そうだなお前は誇り高き立派なリュウだ。これは返すよ。お前の物なのだから。」
「今になって逆鱗を返すというのか・・・。それは受け取れぬ。貴様の言うとおり我は誇り高きものである。」
トウマ「だが、これが無いと困るだろう。」
「確かに暫くは不便となろう、だが、時が経てばまた生えてくるのだ。やがて力を取り戻したならまた貴様と会い見え様ではないか。」
トウマ「そうだな、俺の名はトウマ、覚えておいてくれ、その時が来たなら遠慮なく遣り合おう。」
「くくっ、トウマよ、逆鱗が生える頃には我は成龍となっておるわ。なれば今の其方では実力不足ぞ。・・・トウマよ、我が背に乗りついて参れ。渡したい物がある。」
『テンザクチバクリュウの背に乗りますか?YES/NO』
断る理由もないよな、YESを選択するとイベントが始まった。皆をその場に残し、俺のAQAだけがテンザクチバクリュウの背に乗り青機龍の住処である湖の中へと連れて行かれる。




