第十一話 ミッション1:輸送車護衛【7】
いきなりのボス出現、そのままイベントに突入し、何も動かせない状況に陥る。
「邪機を纏いし者よ、よくも我が逆鱗を奪ってくれたな。」
テンザクチバクリュウが話しかけてきた。
うわ、復活してるし、怒ってるよ。初っ端からボスと戦うゲームなんてありなのか?
「我が力の源である逆鱗を素直に返すのであれば命ばかりは助けてやるとしよう。」
どこかで聞いた事のある様なセリフを言われた。そして第二モニターには『テンザクチバクリュウの逆鱗を渡しますか?YES/NO』と表示されている。
トウマ「どうするべきだろう?返した方が良いのかな?」
キタ「逆鱗が力の源って自分から言うてもうたで、こいつアホとちゃうか?・・・逆鱗を返さなければ弱いボスと戦闘、返したらパワーアップしての戦闘になるんとちゃうかな?どのみち戦闘に突入なら弱い方と戦うのがええと思うで。」
ナック「逆鱗はトウマが持っているのか?」
トウマ「ああ、レアアイテムでテンザクチバクリュウの逆鱗が手に入ったんだ。」
ウェス「僕のレアはテンザクチバクリュウの三爪だったよ。」
サーシャ「私のは赤眼だったわ。」
ナック「俺のは震声帯だった。」
キタ「俺のは水流栓やったで、なんや、皆違うレアアイテムやったんか。」
ウェス「色々と失っちゃったんだね。」
キタ「ひょっとしてコイツは攻撃手段を失っとるんとちゃうか?」
ナック「そうか、赤眼はレーザー、水流栓は水流、震声帯は咆哮、三爪は宝玉攻撃という事か・・・。」
ウェス「じゃあ、逆鱗は巨大化・・・かな?」
キタ「それなら然したる苦労もせずに渓谷へ誘導できるやん、それであの罠を使うたら簡単に倒せるんとちゃうか?」
トウマ「あっ、そうだな。・・・でも龍肉を食うには巨大化させないと体内へは入れないぞ。」
サーシャ「私には自殺願望なんて無いの。そんな特攻はもっとレベルが上がってからにするわ。」
ナック「そうだな、今はザコを食ってレベルを上げれば充分だろう。ボスは其の後で構わないよ。」
ウェス「トウマの様に無謀な真似はしたくないからね。」
控えめなウェスにまで冗談を言われてしまうとは・・・少し無茶な行動は自重するべきなのかな?よし、ここは安全策でNOを選択する事に決めた。
「なー!!なんだと?返さぬと言うのか!・・・もう一度機会をやろう、我に逆鱗を返すのだ。さもなくば貴様らを噛み千切ってくれようぞ。」
何だか焦っているな。素直に返すとでも思っていたのだろうか・・・結構間抜けな奴なんだな。
キタ「噛みちぎるって・・・やっぱりコイツはアホやな、自分は噛み付き攻撃しかできませんって言うとるわ。」
トウマ「じゃあ、またNOにするぞ。」
ナック「まさか、YESにするまで選択肢が出続けるんじゃないだろうな。」
断固NOを選択。
「貴様ら~!とうとう我を怒らせたな。覚悟するが良い!」
いきなり戦闘が始まる。テンザクチバクリュウの攻撃を二段ジャンプで躱し、そのまま低空飛行で渓谷へと向かう。
前回の様なギリギリの逃走とは違い、こちらの機動力の方が上なのでテンザクチバクリュウを引き離す形になっている。
キタ「ザコどもが釣られて出てきよったで、美味しくいただくとしましょか。」
テンザクチバクリュウに追随するかの様にマンティビートル、ローラークルーラー、プレスタンが現れた。
サーシャ「あら、数が少ないわね。どうしてかしら?」
ナック「一回目と二回目とでは出現する敵の数が変わるのかもしれないな。」
キタ「もしかするとトウマの幸運力が増えたからとちゃうか?前回は-90ちょいで、今回は-50弱やったやろ。」
ウェス「いずれにせよ出てきた敵は食べちゃおうよ。」
キタ「・・・せやな。」
サーシャがマンティビートルへネットガンによる捕縛弾を打ち込み、鋼網で動きを束縛する。そこへ、メドヘルムを外したキタが側面からストレスダガーをマンティビートルの右肩に突き刺しつつ、右鎌に噛み付く。そこへ右手にデュラヘルムを抱えたサーシャがショルダーランスを構えて突進、マンティビートルの背後から左肩を貫く一撃を決める。そしてそのまま背中の甲殻を捕食する。
ローラークルーラーは丸まり回転が始まる前にウェスの【インパクトショット】で転倒させ、起き上がろうとする隙を逃さず、フットクロウで腹部を切り裂き、頭部に囓り付いた。
プレスタンはナックが【ファイアショット】で炎属性の攻撃を決め、敵の体を焼く、焼かれ苦しむプレスタンの口内へ無理やり腕を突っ込み舌を引き抜く、そしてヒートソードで舌を切り取りそれを食した。
ナック「トウマ程じゃないけど一口で素体レベルが6に上がったぞ、凄いな★ミッションは。」
サーシャ「確かにそうだけど、やっぱり私は敵を食べるのに抵抗があるわ。・・・でも食べるけど・・・。」
キタ「よっしゃ、二口でレベル8やな、スキルはあかんかったけど攻撃力と防御力が2ずつ上がったで。」
サーシャ「私も同じだったわ。どうやら違う部位を食べても結果は同じ様ね。」
【マンティビートルの連結管(R3)】を入手
【マンティビートルのパーツ】を入手
ナック「おっ、一度手に入れたアイテムは名称が分かるようだな。」
キタ「でも未入手のパーツやと敵の名称しか分からんみたいやで。」
ウェス「ローラークルーラーから【回転】のスキルを手に入れたよ。合成スキルで単体でも使えるし、他のスキルと組み合わせる事もできるみたいだよ。」
ナック「合成スキルなんてのもあるのか、これはスキル集めも楽しめそうだな。」
【ローラークルーラーの装甲(R3)】を入手
【ローラークルーラーの探知機(R3)】を入手
ナック「おお♪こっちはスキル【伸縮】だったぞ、これも合成スキルだな。」
キタ「【伸縮】って、ゴムみたいに伸び縮みできるってか?どこぞの海賊みたいになれって事なんか?」
ウェス「さ、さあ、どうだろうね。」
ナック「あはは、そうだな王様を目指すのも悪くはないな。」
【プレスタンの収縮液(R3)】を入手
皆が楽しく食事をしている頃、俺は谷の入口でテンザクチバクリュウの到着を待っていた。AQAの機動力が上がっただけではなく、テンザクチバクリュウの速度が落ちているせいでもあるのだろう。以前よりも明らかにスピードが落ちている。
待っている間にスタッグバードが襲いかかってきたが、大顎を掴み、そのまま岩壁に突き刺し動きを封じておいた。済まないが後で皆の餌になってくれ。
トウマ「それじゃあ、テンザクチバクリュウを罠に嵌めてくるぞ。」
ナック「おう。」
サーシャ「後ろと上にも、勿論下にも気を付けてね。」
トウマ「了解だ。」
テンザクチバクリュウを引き付けながら、俺は渓谷の谷間へと入っていく、背後からは竜の牙が迫り、崖上からは鉄球が落下してくる。
【低空飛行】を使用し、通常速度で進めば鉄球にも当たらず、テンザクチバクリュウの攻撃も届かないのだ。前回の様に龍の頭部を狙って落としているわけではなく、俺が通過してからアイアンドロップは鉄球を落としにかかるので、鉄球はテンザクチバクリュウの胴体の真ん中あたりに直撃した。鉄球が当たった箇所の龍燐が砕け散る。前回は当たってもこんな現象は起こらなかった。これは明らかにボスが弱体化している。
「中ボスの所まで行くまでもなく倒せるんじゃないかな?」
鉄球の重みのため動けないのかテンザクチバクリュウの動きが止まっている。おそらく崖上のアイアンドロップは一機だけなのだろう。少しの間を空けて鉄球が落ちてきている。だが、動けない青機龍には次々と鉄球が当り龍燐を砕いていく。
その身に鉄球を受ける度に、こちらを見据えながら苦悶の呻き声を上げるテンザクチバクリュウの姿を見ていると、何故だか哀れみの情が湧いてくるのを感じた。
「・・・うぅ・・た・す・・け・・・て・・・。」
微かにだがテンザクチバクリュウの声が聞こえた。俺を殺そうとした敵が助けを求めている?
・・・助けてやる義理は無いのだが・・・。
大ダメージを受け続けテンザクチバクリュウの眼は虚ろになり、視線はもう何も捉えてはいないのだろう、今にも閉じてしまいそうだ。そこへ止めの鉄球が青機龍の頭部めがけて落下してきた。
ドカッ!!ギリギリュギリュギリュ・・・ピシッ!
ズガン、ダン!ズガダン!!ドゥガッ!!




