↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Limit Break Online  作者: 円連
第一章:不幸との戦い
PR
1/78

第一話 キャラクターメイキング

 俺の記憶が確かなら・・・、

 かなり前、日本の科学者により寿命を延ばす方法が発見される。

 そのずっと後、長寿プログラム【AMIDA】の完成。

 その後すぐ、不死を求めて国家間戦争勃発の危機。

 しばらくして、AMIDAの反乱、長寿プログラムをAMIDAが製作したオンラインゲーム内に隠蔽。

 それからは、世界各国が不老不死を求めてAMIDAGAME(略してAG)攻略に躍起になる。ゲームスコアによって寿命を延ばす者もいたが、AG専用脳波コントロール装置【レムド】装着不適合者やゲームに不慣れな大人達は逆に寿命を削ってしまう。

 その後、世界政府樹立、電脳省AG攻略専門機関【フェニックス】が設立される。

 三年前、世界憲法にレムド装着適合者以外はAMIDAゲームの遊戯禁止、電脳制限法が制定される。


 そして現在・・・、


 俺の名は東間とうま 雅樹まさき15才、この春に国立不死鳥学園日本校高等部へ入学した血みどろの喧嘩が大好きな高校一年生だ。幼い頃から孤児院の院長先生に育てられ、バイト三昧の生活を送り、中学にはまともに行ってない。両親はいないが、孤児院には血の繋がらない弟妹が大勢いる。こいつらにまともな生活を送らせるためにも俺には金が必要だった。そして一攫千金を求めて電脳省へ【レムド】装着適正テストを受けに行ったら、即刻合格を告げられ、不死鳥学園入学の手続きが速攻で進められた。


 入学式の後に最新科学技術について説明されたのだが、小難しいことはわからん、わからんが卒業までの三年間、ずっとゲームをしていられるくらい科学技術は進歩しており、その最先端技術が導入された施設設備を不死鳥学園は保有しているのだ。

 ゲームなど所詮は子供の遊び、三年間も毎日つまらないゲームをし続けるのは苦痛かもしれんが、可愛い弟妹たちの為ならばそのくらい我慢できるというものだ。三年後の卒業を迎えるまで稼いで稼いで稼ぎまくってやるぜ。

 そんな意気込みを持ちつつ教室の扉をくぐる。クラス編成で俺は一年六組に組み分けられたのだが、ここは通称『星屑』組、富も権力も学も無い体力だけが自慢の一般人達が集められたクラスだった。


 教室には一時間も居る事はなかった。クラスメイト全員が揃うのを見計っていたのか、ふらっと担任のおっさんが現れ、いきなり五人一組に班分けされた。暫くすると班毎に別の場所へと連れて行かれる事になる。担任のおっさんに引率され連れてこられた先は各自の名札が付いたオンラインゲーム専用の個室だった。担任から個室に関する説明を受けて入室を促される。ここから出られるのは五日後の土曜日午後六時だ。そして東間のネームプレートが貼られた部屋に入室した瞬間から俺のゲーム三昧の日々が始まった。

 ゲームに関して右も左も分からない俺が挑むAMIDAが用意した今年度のゲームは四月一日、つまり今日から開始されるリミットブレイクオンライン(Limit Break Online)略してLBOだ。ゲームのジャンルは説明を受けても理解できなかったが、VRMMORTS(ヴァーチャル・リアリティー・マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・リアル・タイム・ストラテジー)とかいうロボットを操作し、色々な敵と戦うゲームらしい。

 室内に設置された円柱型のAG専用筐体。通称レムド。筐体内に入りヘルメット型の脳波コントロール装置を被り、特殊電装液体に浸かる事でLBOの世界にどっぷりと入り込めるらしい、これは日本政府が開発した特殊電装液体に浸かりながらも健康維持の為の運動、栄養補給、睡眠が行える画期的システム装置なのだそうだ。

 早速、制服から黒地に赤いラインの入ったピッチピチの専用スーツに着替え、レムド内へ入りヘルメットを被る。こめかみ辺りにあるスイッチを押すと筐体内に黒い液体が流れ込んでくる。

「お、おい、なんか入ってきてるぞ、だ、大丈夫なのか?」

 黒い液体が腰まで上がってきた頃、突然に部屋の明かりが消え、それと同時に俺の視界が徐々にぼやけ、やがて暗い闇に呑み込まれる様な感覚を味わいながら意識を失った。



― リ~ミット ブレイク! ―


 変な音と共に俺は目を覚ます。

 俺の前にはカウンターがあり、そこには一人の軍服を着た受付嬢がいる。

「これは本当にゲームなのか?」

 紺色のツナギの質感も、自分自身の触り心地も、見渡した周囲の景色も、微かにかおる匂いでさえ、現実と変わらぬ感覚だ。軽く跳ねてみたが重力もしっかりと感じられる。最近のゲーム、恐るべし!


 さて、これからどうするべきか、とりあえず俺のおのぼりさんの様な行動にも微笑みを絶やさないでいる受付嬢に話しかけてみる。

「初めまして、私はLBOシステムオペレーターです。まずはこちらの登録書に貴方の経歴をご記入ください。」

 おお、質感はともかく対応はゲームっぽいな。これが担任が言ってたキャラクターメイキングってやつか。


「まずはパイロット名をご記入ください。」

 OK、OK、なにやら登録書に細かい説明がたくさん書かれているけど、要するにゲームの中での名前って事だよな。名前は東間っと。汚い字の俺でも芯の無いペンで書類に名前を書き込むと電子変換されて綺麗な文字になった。ここはやっぱりゲームだな。


ブブー


「入力規則エラーです。パイロット名はカタカナで記入して下さい。」

 ええ?そうなの?そうなんだ。じゃあ、トウマでお願いしますよっと。

「ありがとうございます。トウマ様ですね。性別は男性、体形はスキャン済みですが、身長、体重、体型は変更なさいますか?」

 えっ?そんな事も出来るんですか?受付嬢の傍にあるモニターに俺の姿が映っている。メニューを見てみると肌色や、髪型、髪色、目の色も変更できる様だ。装飾として髭や傷とかタトゥーなんかも付けられるんだ。性別は変えられないにしても凝った作りだな。

 でも面倒な変更はいいや。

「このままで大丈夫だ。」

 受付嬢がお辞儀をする。

「かしこまりました。では、トウマ様の所属を登録書の中からお選びください。」

 所属に関しては学園の方から決められてるんだよな。六組の俺は黒の軍に入る様に指示を受けている。

 登録書の所属の欄にペンで触れると選択肢が表示される。白、赤、青、緑、黄、黒・・・黒軍を選択っと。


「トウマ様はアンダーク星、黒軍リブノシュタット騎士団に配属されました。続きましてトウマ様の基礎能力値にポイントを振り分けて下さい。」

 いつの間にか登録表に俺の基礎能力値が記されている。


パイロットネーム:トウマ

操縦レベル:1

攻撃力:9

防御力:7

回避力:6

命中力:11

脳波力:3

耐久力:11

精神力:19

幸運力:1

ボーナスポイント:31


 この基礎能力値が高いのか低いのかはわからん、わからんが幸運値が低いのは俺でもわかるぞ。AMIDAの野郎、お前は不幸だって言いたいのか?あぁん?

 腑に落ちない所もあるが、まあいい、所詮はゲームだ。とりあえずボーナスポイントを振り分けることにする。

 試しに攻撃力の横にある+(プラス)のボタンを押してみる。すると攻撃力が9から10に上がり、ボーナスポイントが30になった。

「なるほどな。」

 さて、どうするか?たしか敵を倒すには攻撃力を上げれば良いし、やられない様にするには防御力が要る。攻撃を避けるには回避力が、攻撃を当てるには命中力が要るんだったよな。脳波力ってなんだっけ?耐久力は打たれ強さだよな、精神力は心の強さで、幸運力は・・・幸せが運ばれてくる力ってことなのだろうか?

 幸せを運ぶ力なら欲しいが、運ばれてくるのを待つのは性に合わない。

「つまりは幸運力なんて要らないんだよ!!ってい!」

 俺は幸運力の横にある-(マイナス)のボタンを押した。すると幸運力が1から0に減り、ボーナスポイントが31に増えた。

「おおっと、こんな事も出来るのか。」

 そう、俺に幸せは似合わない、半ばやけになりマイナスを連打する。すると0から-1に、そして一気に-8まで下がる。

「うわ、幸運力がマイナスになったって事は不幸になったって事か?」

 ・・・ふっ、不幸だと?不幸がなんぼのもんじゃ!俺の幸せは家族の幸せじゃーい!!

 俺は不幸を背負う事を受け入れた。そう、限界まで。

「-99ね、そうかここが不幸のどん底か・・・。」

 幸運力と引き換えに得られたボーナスポイントは130ポイントにまでなっている。


 殺られる前に殺るって感じで良いか、攻撃力と命中力を多めに、余ったポイントは幸運力以外の他の能力値に均等に振り分けた。


 その結果がこれ。


パイロットネーム:トウマ

操縦レベル:1

攻撃力:60

防御力:13

回避力:12

命中力:61

脳波力:9

耐久力:17

精神力:25

幸運力:-99

ボーナスポイント:0


 ボーナスポイントが0になると、受付嬢から「振り分けた能力値は今後変更できないが宜しいか?」との忠告を受け、登録書に【決定】ボタンが現れたので覚悟を決め力強くボタンを押した。


「それでは次にスキルの選択をお願いします。戦闘スキルは三つまで、機体スキルは二つまで選択可能です。」

 あれ?エラー音が鳴らなかったぞ。名前はカタカナでって言うくらいだから、てっきりマイナスの能力値なんて認められないと思っていたけど、意外と大丈夫なんだな。


 気を取り直し戦闘スキルの項目をタッチし、スキル選択項目を表示させる。スキルが何かはわからんが、とにかく選んでみる事にする・・・。

「マルチアタック?ツインアタック?ブレイブアタック?ブラストアタック?アタックって何だ?バレーボールでもするのか?」

 クイックアタックというスキルもあるから、おそらくバレーボールの技なんだろう、なるほどスキルって技の事なのかもしれないな。

「スパイクシールドアタック、なんか格好良いけど俺はバレーがしたい訳じゃないしな・・・。」

 他の戦闘スキルを探す。するとスポーツはバレーだけじゃなかった。ダブルパンチ、スラッシュキック、など格闘技のスキルもあったり、インパクトバレット、クイックショット、ロングレンジショット、・・・インパクトとかショットって、ゴルフ用語だよな?ゴルフもやるのか!

 まさかLBOがロボットを操作してスポーツで戦うものだとは思わなかった。


 大半が何のことやら分からないスキルが多いが、なんとなく解るものも中にはある。マジックアロー、マジックって手品だよな?手品で戦うって手品の技を見せて競い合ったりするのだろうか?


「スポーツも良いけど、やっぱり俺らしい戦いがしたいしなぁ。」

 そんな中、俺にピッタリのスキルがあった。

【クラッシュバイト】、【スラッシュバイト】、【エネルギーバイト】である。

「よし、バイトなら俺に任せろ。誰にも負ける気がしねえ。」

 意味はよくわからんがクラッシュやスラッシュやエネルギーって言葉は俺でも聞いたことがある。聞いたことがある関連のバイトならなんとか上手くこなせるはずだ。まさか、ゲームで俺の様々なバイト経験が活かせられるとは夢にも思わなかった。こりゃ不幸どころか、とんでもない幸運が舞い降りた気がするぜ。

 次に機体スキルを選ぶ、こちらはスキル名が横文字では無く漢字だったのであまり悩まなかった。

 やはり、深夜のバイトもこなしたいので、暗い所でも視える灯り要らずの【暗視】と、工事現場では騒音に厳しい所もあるので音を無くす【無音】を選んだ。いやー、工場で働くなら【修理】も必要かと思ったけど、やっぱり重労働の方が俺に向いてるだろうからな。


 またまた決めたら最後、変更は利かないと受付嬢に忠告され、心が揺れつつも思い切って決定ボタンを押した。


「有り難うございました。登録は以上です。それではトウマ様、右の扉の先に居るロイド将軍に入隊の挨拶をして下さい。」

 いつの間にか俺の着ていた服が紺色のツナギから黒の軍服へと変わっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。