第四部 熾天使さんがご立腹のようです
「おっそいッ!!」
龍神家にて、天使であるルナさんはご立腹だった。時計の短い針が指す時間は八時。
ルナは愁の言いつけを守って家からは出なかったものの、暇だし昼ご飯はどうすればいいのか分からないし愁は家に帰ってこないしでストレスが溜まりまくっていた。
家の前でルナがかれこれ一時間以上も玄関先で仁王立ちをしていると、扉が慌しく開いた。その向こうにいたのは愁だった。
なんだかはぁはぁ言ってて急いで帰ってきた感がタップリなのだが、そんな事を無視して熾天使・ルナは叫ぶ。
「何でこんな遅いんだよもぅ!!昼ご飯も無かったしお腹ペコペコだよ!!」
「うっ・・・(昼飯の事忘れてた・・・・)ま、まぁまぁ。これから夕飯作るからさぁ~。許してくれよ頼むよこの通りだッッ!!」
愁は汚い玄関で全力で土下座をキメるが、その程度では空腹の天使の怒りを静めることは出来なかった。
「反省の色が全く見えないよおおオオオォォォォォ!!!!!!」
「ひっ!!ちょっと待てお前一応居候だし感謝の心とか無いのかよおおおぉぉぉぉ・・・・」
天使から夜なのに昼間かと勘違いさせるほどの眩い閃光が放たれ、そして後には愁のようなものが玄関に転がっていただけだった。
天使に急かされたので、仕方なくキッチンに立つ僕と、既にご飯を食べるスタンバイを終えているルナ。それにしてもルナは食い意地が張りすぎじゃなかろうか?まぁ今回は朝飯と昼飯を忘れてた僕が全面的に悪いんだけど。
「で、何で家に帰ってくるのが遅かったの?まさか私を忘れて友達と遊んでいたってワケじゃないだろうしねぇ」
「(事件やら何やらでアイツらと遊ぶ約束が潰れて助かったな・・・)」
「何か言った?」
「い、いやぁ~」
多少声が裏返ったけど、アイツも凱と同じで(愁から見た感じでは)馬鹿だから気付かないハズッッ!!
「今日はさ、何か知らないけど不良に絡まれてる女子生徒がいたり、学校の昇降口が爆弾で吹き飛んだり、突然意識が途絶えたり、正規軍に事情聴取されたりで大変だったんだぞ?」
僕の今の話は嘘っぽく聞こえるけれど、一つもフィクションは入っていない。事実、件の女子生徒を助けた後、バッグを放り投げてきてしまった事に気付いて学校に戻ると突然爆発が起きて、野次馬の混じって爆発の様子を見ていると、誰かに肩を叩かれてそれから精神操作されたように意識が途絶えて、気が付いたら正規軍に事情聴取を受けるという問答無用のコンボ技を喰らって異常に時間を消費してしまったのだ。
「ふぅ~ん」
ルナは信じているのかいないのか、何だか興味なさげだ。多分今のルナの関心は夕飯の方へと向いているんだろう。
「ほら~お待ちかねのご飯だよぉ~」
僕が出来た料理を待ち構えているルナの許へと運んでいく。
「おぉ~☆★☆★」
ルナは何か感動しているようだ。というか星が飛び散ってるぞ。
「でさ、ルナ」
「ふぇ?」
毎回思うけれど何なんだその言い方は・・・。意識しているのか分からないけれど、とてつもなく可愛く見えるからやめてほしい。
「お前って、何処から来たんだ?」
これは聞かなければならない。そもそも、何処から来たかも分からないし正体も不明の未確認生物を家に泊めておく訳にもいかない。
「私は・・・・・」
急に空気が張り詰める。おそらく聞かれたくない事だったのだろうが、それでも聞かないわけにはいかない。コッチだって知る権利ぐらいある。
「私は・・・スペインから来たんだよ・・・」
「スペイン?そりゃまた、何でそんなトコから―――――」
来たんだよ? と言おうとしたその時だった。
ズゴォン!!という爆発音が玄関から響いてきた。
あれ・・・・・?こんなシリアスにするつもりじゃなかったのにww
あと、若干更新停止します。