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第三部 僕って一応高校生なんだよね

真っ白な空間。


自分以外のものが全て無機物で出来ているのではないかというほど白すぎる空間。


そんな非現実的な世界が僕の周りに広がっていた。


というかコレは・・・・・




「転生フラグじゃねぇかッッ!!」


僕が叫びながら上体を起こすと、ガバッ!!という音と同時に、僕にかけてあった布団が(めく)れあが

った。

ボーッとする頭を無理矢理起こして、チラッと時計に目を向ける。時刻は7時半。あれ?時間が戻った?


そんなありえない事を考えつつ、チュンチュンという鳥の鳴き声で気付く。今って朝じゃないかッッ!!


そして、火曜日である本日は当然学校がある。


(ダメだ!!朝食を作ってる暇はねぇ!!って、あれ?俺いつの間に寝たんだっけ?まぁいいか。そんな事より遅刻するぅー!!)


「愁~?どーかしたの?」


俺がバタバタと学校へ行くための準備をしていると、ルナが眠そうに目を擦りながら枕を抱いて二階から降りてきた。ちなみに僕とルナは別室で寝ていた。(ような気がする)


ルナが何処で寝ていたのかは知らないけれど、まぁそれはいいか。というかアイツあんなぶかぶかのパジャマどっから引っ張り出してきたんだろう。昨日までどこぞのファンタジー世界よろしく布みたいな服を着ていたのに。


「これから学校行ってくるんだよッッ!!」


「がっこー?」


マズい。言った後で後悔するが、もう遅い。きっとコイツの事だから、私も行きたい! とか言い出すんだろうなぁ・・・。


「私も行きたい!」


そらきた・・・。どうしようコイツ。家に置いていくのも何だか色んな意味で危険なんだが、学校に連れて行くなんて論外だしなぁ。


「とりあえずお前は家にいろよ!!絶対だ!!家の敷地から出たらブッ飛ばす!!!!」


とりあえず念入りにルナに釘を刺す。あんな何処の世界の住人だよという布だけ羽織ったみたいな格好で外に出られたら何の為にルナが警察に捕まらないようにしたのか分からなくなる。


「んじゃあ行ってくっけど、大人しくそこで固まってろ!!」


「ふぁ~い」


ホントに分かってるんだろうなコイツは・・・。いや、それよりも早く学校に行かなければ。

僕はガチャ と家のドアを開け、学校へと歩を進めた。






とりあえず学校に着いた。ガラッと教室の引き戸を開けると、少し遅れて登校してきた事が目を惹いたのか、数人のクラスメイトが此方を見る。

視線など気にはならない。学校に遅れなかっただけマシだ。その代償として、走ってきたことで疲労してしまったのだが。


「おはよぉ~愁」


「ゼェ、ゼェ、ゼェ。おはよう紅葉(くれは)


教室に入ってきた僕に対して、即座に挨拶をしてきたのは四百苅(しおかり)紅葉(くれは)だ。赤みがかかった茶髪を肩より少し下の位置まで伸ばした優等生というやつで、僕の親友だ。


「おぃおぃ、朝からそんなにバテてちゃ学校一日もたねぇぞ」


「あぁ、ちょっと昨日色々あってな。」


そんな事を言って僕の方へ近づいてきたのは神童(しんどう)(がい)だ。

この三人で集まって話をするのが僕らの日常なのだ。


「そうそう。昨日といえばさ」


そう言って、僕が教材を机に放り込んでいるところに凱が話しかけてくる。僕と紅葉が頭に『?』を浮かべると、凱が続ける。


「何でお前ん家あんなブッ壊れてたんだ?」


げっ という声がのどから漏れそうになり、ギリギリ押し留める。マズい。空から降ってきて居候と化している天使が、落ちてきた時に破壊されたなんて言えない。言えるわけが無い。


「いっ・・・いやぁ~。僕にも良く分かんないんだよねぇ~。何か帰ったらあんな感じになっててさぁ」


多少声が裏返りつつ説明ならぬ言い訳をする。相変わらず紅葉は『?』を頭に浮かべている。流石にこんな言い訳は通じないだろう。


「ふぅ~ん、物騒な世の中なんだな。」


馬鹿で助かった。


キーンコーンカーンコーン

そんなこんなで僕達の学校生活は終了を告げる。


「今日カラオケ行かねぇ?」


校門に向かいながらそんな提案をしてきたのは凱だ。こんな企みを却下するポジションである紅葉は、生徒会の用事で今はいない。


「おっ、いいねぇ。久々に行くか。他にも何人か誘うか?」


特に部活にも所属していない僕は、ルナの事など忘れて遊びにいく手筈を整えていたところだった。



「おぃそこの姉ちゃん!俺らと遊ばないかい?」


「いやっ!!放して下さい!!」


そんな口論(?)が聞こえてきた。声がした方を見れば、(くろがね)高校の制服を着た見慣れない生徒と、ガタいの良い私服の不良3人がいた。

おそらく不良の方が校外から入ってきて、それに女子生徒が絡まれているという事なのだろう。


おそらく他にも何人かの生徒は気付いているだろうが、チラッと見るだけで、後は見ていないフリをして足早に去っていく。

だが、僕の親友はそんな事が出来る程器用な奴じゃなかった。


「なぁ、愁。ここは当然助けに行く場面だよな?」


そして、それは僕もだった。


「当たり前だよ。見逃せという方が無理な話さ」


「で、具体的にはどうするよ?まさか攻撃に使えない俺の能力と、()()()()のお前で不良に勝てるとは思えないしなぁ」


僕は本当は無能力者ではない。でも、その能力の制御が出来ないが為に、今まで隠してきたのだ。いや、正確に言えば制御というか、狙いを定める事は出来る。ただ、威力を殺さない程度に調整するというのが無理なだけだ。

今回だって、僕の能力を使えばほぼ間違いなく女子生徒の方も巻き込まれる。という事は、選択肢は一つ。

僕は良い事を思いついたという表情をすると、件の不良達の下へと近づいていった。


そして、近づいたところで不良3人と女子生徒の間に丁度割り込むように、凱の背中を押す。


「うぉ!!ちょ!おまっえー!!!!」


変な声をあげて、よろけながらも凱は僕の予想通りの位置に入る。何だか凱は妙なポーズをとったまま、不良達へあはは という愛想笑いを浮かべている。時が一瞬だけ止まった。


よし、チャンスだ。


僕は凱と女子生徒の間に走りこむと、女子生徒にしか聞こえないように声をかけた。


「(逃げるよ)」


そして女子生徒の手を握り、あてもなく走り出す。我ながら大胆なことをしているなぁ・・・。

いかんいかん。忘れるところだった。


忘れるところだったというのは、凱だ。いまだ固まっている不良達へ愛想笑いをしている凱も連れて逃げなくては。


「凱!さっさと逃げるぞ!!」


僕の声にやっと時が動き出し、凱が走り始めた数秒後に不良達も僕達を追いかけ始める。

待てやぁ!!という怒声が聞こえるけれど、待ってやる義理はない。凱はもうちょっとで捕まりそうだけど。


僕と女子生徒は、学校から少し離れたところで路地裏に入る。

良かった。不良達は追って来てはいないようだ。


「あの...」


(くだん)の女子生徒が話しかけてくる。焦ってたから気付かなかったけれど、よく見ると、とても可愛い。


「名前...教えてくれませんか?」


まだ怯えているのか、弱弱しい声で話しかけてくる。それがまた可愛さを引き立てている。少しの間呆けていると、返答しなければと自我を取り戻した。


「えっ・・あぁ名前ね。僕の名前は龍神(たつがみ)(しゅう)って言うんだ。君は?」


「ぇと....私は、榊原美優っていいます...」

鉄高校二年生には色んな人間関係が築かれつつありますww

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