第一部 ぇと・・・不審者現れました
この物語は『近未来に超能力で学園エンジョイライフ』のスピンオフになります
主人公はチートとまではいきませんが(多分)強いので安心して見ていられると思いますw
おはようございます。ん?おはようじゃないかもしれないのか。じゃあ朝から読んでくれている眠い貴方はおはよう。昼に読んでくれている暇人さんはこんにちわ。セオリー通り夜に読んでくれている液晶の向こうの貴方はこんばんわ。
僕は県立鉄高校に通う二年生、龍神愁って言います。とりあえず時は2063年っていう近未来...って説明は良いか!
なんかこの物語も作者が『本編の読者数を増やす為だッッ!!』とかなんとか言ってたし(おぃ
細かい設定については本編をご覧下さい。
さて、とりあえず僕、龍神愁は本日自分には関係無いんじゃないかっていう入学式を終えて足早に家に帰宅してきた。
まぁ家に帰ってもやる事も無かったし、とりあえずゲームでもやろうと適当に考えて部屋をガチャリと開けたときだった。
「ふにゃ?」
何故に目の前に天使さんがいるんでしょうね?別に可愛いの比喩表現で天使と言ってるワケじゃなく、(いや見た目は可愛いけどもw)目の前の女の子は正真正銘の天使だった。背中から軸に生えている二枚で一対の翼。何かで支えているとは思えない頭の上の輪。そして何か綺麗な金髪を腰辺りまで伸ばしているのも僕の天使のイメージそのものだった。これは間違いなくコスプレではない。
「何してるんだ?いや、つか誰だオマエ」
僕は多少怒りが混じった声で目の前の天使に声をかける。とりあえずキレている理由となる点をざっと挙げるとすると3つほどだ。
一つ目は、当然知らない人間が家に踏み込んでいること。これは当然だろう。コレに対してストレスを感じない人間がいるもんか。
そして、二つ目はその天使さんが煎餅をボリボリと食っていること。てか細かいクズが床に落ちてるし!!掃除しなきゃいけないじゃん!!!!
トドメとなる三つ目の理由としては、部屋の4分の一ほどがブッ壊れていること。これじゃ到底この部屋で寝ることなど出来ないし、雨風も防げない。というか、この惨状から目の前の天使がこの部屋に偶然的に落っこちてきたことが容易に想像できる。ついでにやろうと思っていたゲームが粉々になっている。僕は沸点は低いとは思ってないけれど、流石にこれは誰でもキレるよ。
「フンッ!!。見て分からんのですか!!この翼!!この天使の輪!!どこからどー見ても天使でしょうがッッ!!」
部屋の損壊に対して、何の悪びれもなさそうに堂々と無い胸を張っている目の前の天使さん。僕がげんなりとやる気のなさそうな表情をしている事には全く気付いていなさそうだ。
いや、正直ここは一発ぶん殴ってそれから縛って110番するべきなんでしょうね。
僕はいまだ無い胸を張っている金髪の天使の下へとズンズンと進んでいく。
僕の行動に目の前の流石のおてんば天使さんも気付いたらしく、
「えっ?ナニナニ?というか何で右拳が硬く握られているのチョット待って暴力反対私一応女の子なのに拳振るうとか非人道てk―――」
天使さんの制止する声が聞こえたが、その時既に僕の拳は天使の方へと向かっていた。
その日、龍神家からは女性の断末魔の悲痛な叫びが聞こえたという。
―――十分後―――
僕の4分の一ほどが粉々になった部屋では、僕こと、龍神愁がロングヘアの金髪天使をロープでぐるぐる巻きにするというシュールな光景が広がっていた。
僕はその天使を縛っているロープの端をぐいっと引っ張り、片足で縛っている相手を踏みつけるというどこぞの小悪党のようなポーズをとっていた。
「フッフ。貴様の奇行もこれまでだぞせんべい天使がッッ!!お前にはこれからブタ箱での生活を満喫してもらうことになる」
えっ!?ブタ箱ってナニ!?という天使の声を無視して僕は携帯をポケットから取り出す。そこでプッシュされるのは当然110...だったハズなんだけれど、とりあえずその前に兄に電話してみることにした。どうも、冷静に考えてみれば僕が今縛っている天使は悪いヤツでは無いような気がしてきたのだ。
僕の兄は正規軍で幹部をやるほどの人間だ。そこで、兄の指示を仰ごうという目論見だ。
数回のコール音が鳴り響き、ブツッという音と共に電話が繋がる。
「あっ、兄さん?ちょっと良い?」
『あァ、どうした愁。今一応任務中なんだがな』
「いや、チョット急用があってね」
携帯の向こうからパソコンのキーボードを叩くカタカタという音が聞こえる。どうやら任務中というのは嘘のようだ。
「不審者を捕まえたんだけど―――」
その瞬間、ガタッというあからさまな椅子から慌てて立つ音と同時に、何だと!?スグに向かう!!110番はしたんだろうな!? という大声が僕の鼓膜を通して脳を揺らす。
「いや、その不審者は捕まえてロープで縛り付けたんだけどさ」
そう言いつつ、僕は今まで壊れた壁から覗いていた青空に向けていた視線を、ロープに縛りつけられて床に転がっている天使へと向ける。
『何だ...』
心の底から安心したという心境が伝わってくる声の抑揚と、ドサッ という椅子に体重をかける音が聞こえた。おそらくそれほど心配したということなのだろう。
『じゃあ用事ってのは何なんだ?』
「いやさ、どうもコイツ悪い奴に見えないんだよ。かと言って、この惨状じゃ警察呼んだ瞬間にこの子捕まっちゃうと思うんだ。どうしたら良いと思う?」
『成る程な・・・それで俺に指示を仰ごうって訳か』
兄は、うーむ という考えるような唸り声をあげる。数秒の沈黙が流れた後、兄は迷うことなくキッパリと言った。
『良いんじゃないか?』
「え?何が?」
言葉の意味が理解できなかった僕は、それに対して質問で返す。
『だから、お前が今考えていた方法で、だよ。どうせ下らないこと考えていたんだろ?』
「うっ・・・」
どうも、兄は僕の考えを見透かしていたらしい。 多分、兄の予想はそれで当たっていると思う。確証は無いけれど。
『養ってやれよ、そこ子を。どうせそれ以外に良い方法が思いつかなかったんだろ?』
「で、でも・・・」
『あのな、正しいと思ったら行動しとかないと損だぞ?どっちにしても、警察や正規軍に引き渡されてもロクな目に遭わないだろうしな』
「う、うん。分かったよ」
こうして、空から降ってきた(と思われる)天使と僕との同棲(?)生活が始まったのだった。
新連載スタートです!!