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■ 第5話:消された記録
通路に戻った二人は、しばらく走り続けた。
さっきの場所から、できるだけ離れるために。
ようやく足を止めたとき、カナが壁にもたれる。
「……何あれ」
息が乱れている。
レイも同じだった。
「監視……だと思う。でも、あんなの見たことない」
管理区域にあるはずのない存在。
それよりも——
レイの頭に残っていたのは、あの画面だ。
「ログ……消されてた」
「うん……途中で切れてた」
不自然だった。
まるで、見せたくない部分だけを消したように。
「最初からあったんだよ、あれ」
外の構造物。
ずっと前から。
なのに、誰も知らない。
「なんで隠す必要があるの……?」
カナの言葉に、レイは答えられなかった。
ただひとつ、はっきりしている。
これは偶然じゃない。
「誰かが、意図的にやってる」
その“誰か”が問題だった。
このコロニーの中にいるのか。
それとも——
もっと外に。
レイは振り返る。
静かな通路。
でも、もう前と同じには見えない。




