2/11
■ 第1話:崩れかけた日常
突然、警報が鳴り響いた。
レイは足を止める。
「……なんだ?」
通路の光が赤く点滅している。
いつもの静かな場所とは、まるで違った。
『酸素供給系統に異常。全員、待機せよ』
「酸素……?」
その言葉に、少しだけ息が詰まる。
ここでは、それがすべてだ。
遠くで誰かが叫んでいる。
走る音、閉まる音。
日常が崩れていく。
「レイ!」
カナが走ってきた。
「よかった……!」
「何が起きてる?」
「わからない。でも中央で——」
そのとき、光が消えた。
一瞬の闇。
そして、空気が少し重くなる。
「……っ」
ほんの少し。
でも、確かに違う。
「行く」
レイは言った。
「え、危ないよ!」
「わからない方が危ない」
そのまま走り出す。
カナも、ためらいながらついてきた。
中央区画は混乱していた。
怒鳴り声、焦る動き、見慣れない数値。
レイは画面を見る。
酸素が減っている。
でも——何かがおかしい。
「……外から?」
思わず口に出る。
その瞬間——
『緊急遮断』
重い音。
すべてが止まる。
異常は収まった。
でもレイは思う。
これは、ただの故障じゃない。




