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■ プロローグ
人類は、空を捨てた。
青い空も、風も、海の匂いも。
全部、置いてきた。
逃げるようにして、宇宙へ来た。
だけど——それは、完成された移住じゃなかった。
ラストコロニー。
人が住むための巨大な施設。
でもそこは、未完成のまま動いている世界だった。
空気も、水も、全部が管理されている。
少しでもズレたら、それだけで終わる。
ここでは、人は生きているというより——
生かされている。
レイは、ずっと思っていた。
この世界は、静かすぎる。
外に広がる宇宙。
その中に、何か違うものがある気がしていた。
気のせいかもしれない。
でも——消えない違和感。
そして、その静けさは突然壊れた。
警報が鳴る。
世界が、一気に変わった。




