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3日目

 今日は朝から武器を用意する。

 ベランダにいた木村さんが襲われたことから、この部屋に怪異が侵入してくる可能性は十分にあった。

 その時に丸腰ではあっけなく殺されてしまう。

 敵うかどうかは別だが、対策を講じるのは間違っていないだろう。


 数時間ほどの作業を経て、私はテーブルに並べた武器を見回す。

 モップの柄に包丁を固定した即席の槍。

 運動目的で買ったまま放置していたテニスラケット。

 興味本位で購入したスタンガン。

 拳銃タイプの電動エアガン。

 サイズがバラバラの火炎瓶。

 目眩まし用の懐中電灯。

 大量の一味唐辛子を溶かしたペットボトルの水。


 ネットの情報を参考に、色々と用意してみた。

 私は試しに槍を構えてみる。

 武器による心強さはまったくない。

 たぶんこれで怪異と戦っても勝てないと思う。


 こんなことならもっと体を鍛えておくべきだった。

 いや、人外が相手では誤差の範疇か。

 一つ確かなのは、この頼りない武器だけで身を守らねばならないということであった。


 あまり心配しすぎても気疲れするので、冷凍ピザを食べながら映画を観る。

 今日は高層ビルが舞台のゾンビ映画だ。

 仲間が一人また一人とゾンビになる中、主人公は懸命に戦っている。

 最終的には恋人と共にヘリで脱出し、熱いキスを交わしたところでエンドロールが始まった。


 まあ、そこそこ面白いB級映画だった。

 所々でチープな部分はあるものの、退屈せず最後まで鑑賞できた。

 別にこれといった不満はない。


 強いて挙げるなら、ゾンビだらけの高層ビルより、このマンションの方が危険なことくらいだろう。

 そのせいで緊迫感が足りない感じがした。

 もちろん映画に罪はなく、こんな環境で視聴していた私が悪い。


 次に観る映画を選定していると、風呂場から物音がした。

 ボコボコと何かが泡立つ音だ。

 普段なら気にも留めないが、この状況では無視できない。

 私は槍を持って確認に向かう。


 風呂場を見た私は固まる。

 排水溝から黒いゼリー状の物体が溢れ出した。

 表面に剥き出しの目玉がいくつも浮かび、ぎょろぎょろと不気味に動いている。


 黒いゼリーがいきなり飛びかかってきた。

 私は反射的に槍を突き出す。

 刃が運よく目玉の一つに当たり、黒いゼリーは排水溝の中に逃げて消えた。


 私は洗面所に置いていたパイプ洗浄剤を排水溝に注ぎ入れる。

 さらにシャワーで大量の水を念入りに流し込んでおいた。

 これに懲りて戻ってこないでほしい。


 風呂場から出た時、私は右腕に付いた黒いゼリーの破片に気付く。

 槍で刺した拍子に飛散したものだろう。

 私はシャワーで破片を流すと、ボディーソープで念入りに洗い続けた。


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― 新着の感想 ―
洗面所に置いていたパイプ洗浄剤を排水溝に注ぎ入れる。  さらにシャワーで大量の水を念入りに流し込んでおいた。 うちの風呂場にゴキブリが出た時の対処法w
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