表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お見合い  作者: いづる
29/29

未来

 シャワーの水音が聞こえる。

(今日は、ほとんど明のことでつぶれたな。ハアー。しかし、今の明『女の姿』の時に会っていたら俺の気持ちも変わっていたのだろうか?

 いや、もう過去のことだし考えるのはやめよう。彩さんがやっと俺に前向きになってくれているんだし‥)


(ん、ん?) お風呂場から声が聞こえる? 耳をすませると、彩さんに呼ばれていた。


「ごめーん。ちょっと、頼まれごとがあるの」

俺は、急いで風呂場へ行く。


「どうした?」


「あ、の、生理用ナプキンとショーツを買ってきてほしいんだけど‥」風呂場の扉から、顔だけを出している。

(そ、そういうことか。恥ずかし気な顔がまた、可愛らしい)


「わかった。こだわりのメーカーとかある?」


「ううん、何でもいいわ。でも、夜用っていうのにしてほしいの。ショーツはМサイズでお願い。お金は、立て替えててくれる?」 早口でこれだけ言うと扉は閉まった。


「わかった夜用だね。別にお金は払わなくてもいいから。じゃあ、行くわ」


 □□◆◆


 コンビニに着くと、深夜だというのに5人ぐらいの客がいた。なるべくなら、誰もいて欲しくないんだが‥。


「いらっしゃいませー」深夜でも、元気な掛け声の店員。 自分でとりあえず頼まれたものを探してみるが見つからない。

でも声に出して聞くのも恥ずかしいので、もう一周店内を周ってみる。


「あ、あの。せ せ」諦めて、レジ前にいる学生バイト風の男に声をかける。


「はい?」


「あ、あの」それでも、なんだか言葉にだせない。


「良かったら、このメモ用紙を使ってください」と、紙とボールペンを手渡される。


「あっ、ありがとう」

(こいつ、見かけはボオーとして見えるが気が利くなあ) 出されたメモ用紙に、彩さんから頼まれたものを書いた。


「よかったら、持ってきますね。サイズはМでよかったですか」


「あっ、はい。助かるよ」神対応の店員さんのおかげで、難なく買い物をすませられた。


 ◇◆▽◇◆


 私ったら、翔太になんてことを頼んじゃったのかしら‥きっと、恥ずかしい思いしているわよね。ふっー、武人の時はピルを飲んでいたからこんなことはなかったのに‥。彼と別れてから、薬は止めていたから。

 考えたら翔太にはいつも受け止めてもらって、自然体でいれてる。

 ううん、それも違うわね。私の方にいつも合わせてもらっているのよね。


 ◆○◆○


 深夜の静けさの中、翔太はコンビニの帰り道を急いでいた。手には彩さんから頼まれたナプキンとショーツが入った袋がしっかりと握られている。

 俺の心臓は普段の冷静さを失い、鼓動が速くなっていた。


「ただいまー」


 家に帰ると彩さんが風呂場から顔を出し、恥ずかしそうに微笑んだ。その笑顔に翔太は胸が締め付けられる思いだった。彼女の存在が、今の自分にとってどれほど大切かを改めて感じられたから。


「ありがとう、翔太。こんなこと頼んじゃって…」彩さんの声は、少し震えていた。


「いいんだよ、彩さん。僕は君のためなら何でもするから」翔太は真剣な眼差しで答えた。その言葉には、彼の深い想いが込められていた。


 ◆○◆◆◆


 夜の静寂が部屋を包み込む中、翔太はベット脇に座ったり横になってみたりと落ちつかなかった。


「あら、まだ起きていたの?」浴室から出てきた彩さんは、いつもの様子に戻っていた。


「悪いけど、明日は早いから先に寝るわね」そう言いながら、ベットの壁際までよってから身体を横たわる。

 そんな彩に翔太は後ろから抱きついていた。お互いの体温を感じながら寄り添う。


「おやすみ、彩」


「これじゃあ意識して寝れないわよ。でも、寝なきゃあ」後ろを向いたままの声が、小さくなっていく。


 そのまま、翔太はしばらく無言で彩を抱きしめていた。


「これからもずっと、一緒にいてくれる?」


「‥もちろんよ。それと考えたんだけど、正社員を辞めようと思うの。私って不器用でしょう?このままじゃあ、また仕事に没頭してしまう‥だから、パートで週3日とかにしてもらおうかな。しし 翔太‥と、いろんな所へ出掛けたり二人の時間も大事にしたいから」壁際に向かいながら、それでも彩の声は慎重に語っている。


「本当は仕事に没頭させてあげたいけど‥確かに俺のことは忘れさられるおそれがある。だから、そうしてくれる⁈ 

 それと、ありがとう。俺の名前呼んでくれて…俺との今後のことも考えてくれて…やっぱり大好き‼」

 後ろから更に抱きしめられた身体は一層密着していく。


 お互いの鼓動を感じながら二人とも静かに睡魔に襲われていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ