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お見合い  作者: いづる
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歌詞に散りばめられた思い出のピース

 梨花が言っていたヒット曲は、帰りの帰路で寄った本屋やスーパー等至る所で曲が掛かっていた。

今までは特に気にも止めていなかったせいか、歌詞までは深く聞いていなかったが、意識しながら聞くと所々に二人が出会った頃の出来事がジグソーパズルのピースのように歌詞の中に散りばめられていた。


(やっぱり、翔太は歌手だったのね‥)

 ◆◆◇◇◇


 あの日翔太が私の部屋から帰ったあと、彩は孝子おばさんに電話をしていた。

 翔太との縁談の断りの連絡を入れるために‥‥。


「どうして?この間翔太さんに会った時は、いい方向に向いているからと言っていたのに‥年下だから?」


「いえ、そういうんじゃないんです。元彼を忘れる為にお見合いして、割り切って結婚できると思っていたんです。なのに、彼に惹かれていて‥」


「あら、それはいいことじゃない」


「でも、かたや元彼のことも心の中で整理できていないところがあって。だから、まだ無理だなって思います。それに翔太さんなら他の方とも、すぐにいいご縁があると思うのですみませんが今回はお断りさせていただきます」


「二人ともお互いに想っているのに、断るなんてもったいないわよ。本当にいいの?後悔しない?」


「はい」


 ◆◆◇◇◇


 彩は元彼のことを整理するつもりで、お見合いを断ったのに‥‥

 不思議と思い出すのは、翔太のことの方が多かった。


(私ったら、どうかしているわよ。なんで翔太のことなんか‥)


 武人への想いを吹っ切るために、同じ会社を辞めた。そして、辞めた会社や家から離れたところへ引っ越した。

(翔太が家に来られても困るし、そんなことを心のどこかで期待している自分も嫌だったから‥)

 そのまま結婚して、専業主婦でいるつもりだったのに‥。

 翔太の顔が頭にちらついてお見合いもする気もおきず、だらだらと1か月が過ぎていた。

 このままじゃあ、貯金を切り崩していくばかり‥‥。そんな危機感の中、今の仕事先で事務員として働くことになった。

 名前の知れた大手の会社で、事務の仕事を長くしていたので業種や規模が違えど仕事に取り掛かりやすかった。


(それに、仕事をしていた方がいろいろ忘れられる。バカね。武人を忘れるためにお見合いをして仕事も辞めたのに、今度は翔太を忘れるために引っ越すなんて‥何をやっているんだか。結局仕事を続けるしかなくなって。この分じゃあ。お1人様確定ね)

 

新しい会社にも家にも周りにも、やっと慣れて半年が経っていた。

(これからは、同僚の真奈美や梨花と合コンに精を出すかな。お見合いにも‥)

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