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お見合い  作者: いづる
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彩さんの部屋

 彩さんの部屋は、4世帯が入ったコーポの1室だ。

洗濯物が、沢山干してある物干し場が目に付いた。


「あっ、早く洗濯物を取り込まなきゃ。手伝ってくれない?」1階の部屋のドアの鍵を開けると電気をつけ、部屋を突き抜け干場にある洗濯物を二人して取り込む。


「これ、何日分⁈」俺が、洗濯物を取り込みながら声を掛ける。


「今回は、たまたま溜まっちゃったのよ」


「あ、そう‥‥それにしても」黙々と取り込む。


「これは、明日畳むからこれに入れといて」と渡された大きな袋に詰め込んだ。


「さあ、じゃあ夕食作ろうか⁈」と、一息もつかずに台所へと行く。


「俺、なんだか疲れたよ」


「たこ焼き器と材料だすから、そこのテーブルで座って作って。テレビつけてくつろぎながらでもいいわ」


「ヘイヘイ」適当に返事を返す。


 8畳位の部屋は、カーテンや家具や敷物の色が薄い水色に統一されていて

 広く見える。食器棚や本棚兼用雑貨品等も場所を取らないように工夫されていた。

「天井にも、水色の生地が張り巡らされているね。まるで空のようだ」


「まえはね。雲が浮かんでいる空の写真を何十枚もコビーして、天井に貼っていたのよ」色々いじるのが好きなの。


「へぇー、面白いね」

 

会話をしながらも冷蔵庫から食材を出したり、棚を開けてたこ焼き器を探す音が絶えずしていた。そして、しばらくしてからたこ焼きの材料と切ったタコを持って来た。


「はい、たこ焼きはきみが作ってね」と言うと彩はテーブルの上にそれらを置き、横の小さめなソファーに横になった。


「シチューは、休憩してから作るの⁈」


「こんな時の為に野菜や肉を切って冷凍してあるのよ。鍋で沸かしているから、沸騰したらシチュー粉をいれるわ」


「へぇ、すごい便利だね。俺そういえば、たこ焼き作ったことないんだけど」

 そう言い終わらない内に、彩のスマホを持った手が『ニュウ』と俺の近くに伸びて来た。その画面には『簡単たこ焼きの作り方』画面が映っていた。


 その画面を見て四苦八苦しながら、混ぜ合わせた粉をたこ焼き器に流し込む

「ふぅー。なかなか大変だけど面白いね」


「……」


 さっきまで俺のたこ焼き作りの葛藤シーンをふざけて写メで撮っていたのに、彩さんは寝ていた。


「なんだよ、自分は寝ているのかよ」


『グツッグツグツ』


(あっ、いけねぇ。シチューの湯が沸いた。起こすのもなあ)彩さんの顔をチラッと見て台所に行き、いったん火を止め傍にあったシチューの素を入れてかき混ぜ、再度沸騰させて火を止めた。


「よし、完成だ」俺って、いい旦那になるよなあ。なあんて、自分に酔いしれている。しかし、元⁈彼の話はどうなったんだよお。

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