たこ焼き、シチュー 夕食の準備
カラオケ店を出てから、二人は飲食街をプラプラ歩きながら夕食を食べる店を探していた。
歩きながら目に止めた洒落た店からは、透明なガラス越しに若いカップルや友達どうしで賑わっている様子が見えていた。
カラフルな電光で出来た看板に『スパゲッティガーデン』と書かれた店の扉を開ける。
だが満員で1時間待ちだそうだ。
他の飲食店もほぼ同じ感じである。彩は歩き疲れたのか
「狭い部屋だけど、私の部屋に来る? ここから割と近いもの。午前中に部屋を片付けたから、だいぶましになったし」
「えっ、いいの⁈」
翔太は、予期せぬ言葉に驚いている。
「あなたが聞きたがっていたこと、なんでも答えてあげるわ。明日は朝早いから、食事終わったらとっとっと帰ってもらうけど。それでも、よければ‥」
「なんか、つれないなあ‥でも、彩さんの部屋に行きたい!!」
「じゃあ、スーパーに寄っていこうか?」
「○ー○ーでもいいし、ピザ宅配便でもいいけど」
「ううん、簡単なものなら作るわ」
「いい奥さんになるねえ」
「んでしょ?でも、半分は手伝ってね」
「なんか、面倒くさいんだけど」
「なら、帰ってもいいわよ」
「そういうこと言うかなぁ。 わかったよ」渋々ついていく。
◆◆◇◇◇
買い物かごをカートにセットして、中規模のスーパーに二人は入る。
仕事終わりの人たちで、ここにもかなりの人がいた。
「うーん、何にしようかな」彩は入り口付近に山積みにされた、シチューの箱に近寄り2箱カゴに入れた。
「シチューかあ、うまそう。肉と野菜は?」
「冷蔵庫に何か残っていたから」
「ふーん、俺の意見は聞かないんだ」
「次回は、そっちの好きなものにするわよ」
「それならいいけど‥」自分もかかわれる未来の予定を聞けたのが嬉しい。
「なんだか、いい匂いがするわね」
その匂いは、たこ焼きの出店から漂っていた。
「たこ焼きだあ。買っていく?」
「そういえば最近たこ焼き器使ってなかったから、作るわ。小麦粉も卵もあるし‥足りないものは、タコと青のり、紅ショウガね」
「うーん、今食べたい気がするんだけど‥」
彩はもう、足りない材料の売り場へ向かおうとしていた。
「まあ、いいか」なんだか、このシチュエーションっていいよね。周りからは、恋人それとも夫婦に見えてる?
彩さんはたこ焼きの足りない食材を取りに行き、僕はタコを選びに行った。