事件簿1.ボトルキャップ〜エピローグ〜
数日後、探偵事務所にて。相変わらずの昼下がり、おじさんはお気に入りのソファーに沈み込み、タバコを咥えながら、ぼんやりと外の景色を眺めていた。
「ねぇ、おじさん。」
ユウロピーの声が事務所の奥から聞こえる。彼女はまた新しいポスターを手にして、楽しそうに歩いてきた。
「次はペットボトルのラベルを集めると、もっとお得なキャンペーンがあるんですよ!なんと、5枚で2割引!どうですか?」
おじさんはタバコをくわえたまま、目を細めた。
「また始まったか…で、今回は何を無くすんだ?」
「今回はもう対策してますから!」
ユウロピーは胸を張って、鞄の中を見せた。そこにはきっちりラベルが集められていた。
「これでラベル紛失事件なんて起きませんよ!」
おじさんは苦笑いしながら、ゆっくりとソファーから立ち上がった。
「まあ、いいさ。好きにやれ。ただ、次に事件が起きたら…俺は捜査拒否だ。」
「それは困ります!おじさんがいないと事件解決のスリルが半減しますから!」
ユウロピーは手を振りながら、ペットボトルのラベルを手に取って、何やら忙しそうに準備を始めた。
おじさんはタバコの煙を吐き出しながら、静かに微笑んだ。相変わらず騒々しいユウロピーと、どこか日常の中に溶け込んでいる探偵事務所。これもまた、彼らの日常の一コマなのだ。
事件は小さくても、毎日は賑やかで、それがなんだか心地よい。
エピローグ完