事件簿6.害虫捕獲大作戦〜エピローグ〜
その日、青空の広がる公園には、子供たちの元気な声が響き渡っていた。ユウロピーは麦わら帽子を少し斜めにかぶり、虫網を手に子供たちと一緒に木の根元を探し回っている。
「おじさん! セミがたくさん鳴いてますよ!ワンワンゼミも捕まえたんです!」
少し離れたところからユウロピーが叫ぶ。
ベンチに腰掛けていたおじさんはユウロピーの声に軽く手を振りながらも疲れた様子を隠しきれない。
彼の隣には虫かごが並んでいて、その中ではセミやカブトムシがカサカサと音を立てている。おじさんはその様子を眺めながら、ため息をついていた。
「これで探偵の仕事って言えるのかよ…」とぼやきつつ、持ってきたタバコに手を伸ばす。しかし、タバコに火をつける前に虫かごの中からワンワンゼミが耳をつんざくような鳴き声を上げ始める。
「うるさいなぁ…」
おじさんは眉をひそめ、タバコを手の中で転がしながら、ため息をついた。
虫かごの中では、セミやカブトムシ、オスモウコガネ、さらにはユウロピーが捕まえたマメカブトまで、たくさんの虫がひしめき合っていた。特にセミの鳴き声は、次第におじさんの耳にこびりつくようで、彼の疲れた表情がますます曇っていく。
「おじさん!」
またユウロピーの元気な声が遠くから飛んでくる。
「見張り役も探偵にとっては大切な仕事ですよ!」
「探偵ってのは、こんな仕事じゃないんだぞ…」
おじさんは苦笑いしながら、もう一度タバコを諦めるかのようにポケットに戻す。
ユウロピーは子供たちと一緒に木の幹を軽く叩きながら虫を探し続けていた。時折、歓声が上がり、新しい虫が捕まるたびにみんなで笑顔を交わす。そんな光景を見つめながら、おじさんは「まぁ、これも悪くないか…」と、小さな笑みを浮かべた。
虫かごからは、セミの鳴き声が絶え間なく響き、おじさんの耳をつんざく。それでも彼はどこか満足げに、その光景を静かに見守り続けていた。
「こんな日も、たまには悪くないかもな…」
そう呟くおじさんの背後では、再びワンワンゼミが勢いよく鳴き始めた。