８０．何とかしよう。できるかな？ 11月に入ったよ。
射沢春香（お姉ちゃん）視点
結婚準備が進まない！ いや籍だけ入れて彼の１DKに転がり込むだけなら簡単。
家なんて当面ヤッて寝るだけだから（注：お姉ちゃんは大人の女性です。）
それで良いけど、私だって1日位綺麗な衣装着て、皆にチヤホヤされて
新婚旅行行く権利あるはずだ。
このまま行くと冬のインフル、春の花粉症の時期になる。
人が呼べない、私も休めない。神よせめて１週間、いや５日で良い行かせて欲しい。
母方の祖父（TB大学医学部教授）が存命中は医局に応援を頼みやすかった。
最近は厳しい。兄が大学関係者に依頼されてアフリカまで医療支援に行っている。
大学と医局のポイント稼ぎだ。
このポイントで何とか応援を頼もうと思っている。
私は耳鼻咽喉科、春先に代りは居ない。
式場選び、衣装選び？まずスケジュール決まらないよ。
新居？子供が出来たら考える。産休育休の代理考えるのが今から心配だ。
ストレス溜まる。寝酒が増えるな。意味ないとか分かってるけど
飲ませてくれ。 ウワバミと結婚してくれて有難うな。
礼華の視点
美月が最近カバンに着けた月のチャームを大事にしている。
美しい月か、下らない。まあ誰からもらったのか言わなくてもわかる。
あの二人は上手くいった。野球部の方はやっと少し進んだ程度だ。
兄は私の読んだJKが野球部を、みたいな本を読んで机上の空論
論理的におかしい、と切り捨ててから、今礼華のやっている事も
机上の空論、暴論、理論なしだけどね、と笑った。
随分な言われようだが、大学進学後も手伝ってくれるらしい。
理学部の数学科狙いで、受験失敗の確率を聞いたら、10万分の１位と
真面目に答えてくれた。病気や事故の可能性があるからだそうだ。
海野美月の視点
もうすぐ文化の日、心晴が帰って来て２年か。
やっと元気になってきた。
まだ、外、特に知らん男の人は怖いみたいやけど、前みたいに動けんとかは
無くなってきた、小学校ももうすぐ普通のクラスに入れそうや。
心晴はショータ大好きや、連れてこい、ってうるさい。
心晴が気にしてる、お漏らしの事ショータに言わないよう何度も念を押される。
大丈夫、アンタのは父が大声出した時だけや。
あんなもん仕方ない、誰でもなる。
美月も小さい時叩かれて、お漏らしした事あるよ、て教えて二人の秘密にした。
救急車で連れて行かれてオシッコまみれのパンツ見られて恥ずかしかった。
今の心晴位の歳や。オカン叩くな！向かって行ったら思い切り叩かれた。
お金が入って来るってオカンが言うてたけど別に要らん。
今幸せや。誰も叩かへん。友達もいっぱいできた。
ショータは分かりやすくアホやけど、裏表がなくて可愛い。
この間、心晴が熱出してショータの叔母さんに会った。
歳いくつなん？若い優しいお医者さんやった。
心晴の喉見てから、ショータお願いしますって言われた。
『マヌケだけどねー、優しいけど』て言われた。
何も心配ない。こっちの記念日は祝わんとこ。
心晴の誕生日は３月やったな。
なんか考えたらな。
