69.秋季大会(物凄い物を見た。本当に見えた?)
9月になり秋季予選が始まった。
タマチカのブロックに何故かN大付属があり大本命。
ショータが完封する他勝ち目はないと予想されていた。
そのショータだが、恋愛ドンクサの頂点を極めていた。
心理的ショックを受けたせいかもしれないが、
他の方法ではダメかと言ってお姉ちゃんにバカ、口頭でと念を押されていた。
野球部員達がバカップル(もうカップルと思っている)に呆れ、
心晴が美月がショータの話ばかりすると言い始めた頃、美月は言った。
「しゃーない。明日から秋季大会やから試しに付き合ったる。
その代わりがんばりや。」
ショータがうん、頑張ると飛び上がるまでは想像通りの美月だったが
(いきなりハグ、とかキスは無いと思ってたけど、手も握らずか。
気の利いたデートプランとか用意してないのかな?)
若干不満だった。 まあその後、ファミレスでショータに奢らせ
楽しくおしゃべりしたので機嫌は良かった。
美月はオカンの言う通り自分がリードする事にしたのである。
さて、モラルベリハイ、エネルギー充填〇×%のショータは凄かった。
対戦相手が弱かったせいもあるが、全打者三振が見れるのではないかと
思った程だった。
相手が、バットを短く持ち、ひたすら当てる作戦をとるのを見た監督(祖父)は
昭和の怪物君投手を思い浮かべた程だった。
美月は不機嫌になっていた。
ショータに不満がある訳ではない。自分に夢中で文句なく優しい。
正直、マヌケだと思う面もあるが可愛らしいから許せる。
心晴が私に勝手にほっぺツンツンするのも、まあ良い。
問題は、ショータを見に来る観客である。
ローカルテレビ、地方版とはいえマスコミに登場したのである。
痛みで限界が来るまでは天下のW実業をキリキリ舞させたのである。
ついでに、男ではなく美人、子供の可愛さ、白黒写真の頃の映画俳優等
悪口は言われるが、外観は美形なのである、スタイル良いのである。
可愛い好き女子と一部の男子が騒がない訳ないのである。
美月はスタンドから『ショータ』と多種多様な声援がかかるのが
気に食わないのである。
そう呼んで良いのは野球部の仲間と彼の家族だけである。
「ショータ」と呼ぶと、優しく「なに?」と答えるのは自分だけ
他は許さないのである。
「全くもう。」応援スタンドで彼女は不機嫌だった。
美月は知らなかった。
多摩近場高校野球部はネットに乗せ大々的にPR活動をしていた。
最大の武器は、ショータの画像だった。
何故か被保護欲をそそる彼の姿、
怪我で途中降板した場面を前面に押し立て
登録者数を伸ばしていた。
指揮を執るのはもちろん礼華。
彼女は使えるものは使うのである。
美月は知らなった。これからますます人が増えて
ショータに対する声援が増え、彼女が不機嫌になる事を。




