66.お姉ちゃんの話、目が変だ。
ショータの視点
「へ?じゃないよ。これでも世間的は良い女だ、プロポーズ位されるわ。」
お姉ちゃんは続ける。
「相手は石橋さん。ショータあった事なかった?同じ病院の消化器内科医
私が耳鼻咽喉科だから上下つながり。」
言葉が遠く聞こえる。
「準備があるから半年位は先になるし、結婚しても近所に住むと思うから
遊びにきな。」
「ジジイとババアはよく脅しとくから。変な事されたら、
すぐにお姉ちゃんに言いな。飛んでくるから。」
お姉ちゃんの話を聞いていると目が変になってきた。
何も見えない。
「なんて顔してるの。」
お姉ちゃんのベアハッグだ。何年ぶりだろう。
いっつも笑って。
お歌を一緒に歌ってくれた。
何をやっても褒めてくれた。
お父さんとお母さんが大事な仕事をしていて、
どれだけ必要とされているか教えてくれた。
お祭りの露店でお菓子を買って「ババアに内緒!」って言ってくれた。
ヤバイ、頭の中がグルグルする。
「一番大事だと思う人が出来たんだろ?私はずっと一緒には居てやれない。」
無理だ。ずっと居てくれると思ってた。
「ゆーくり、考えなさい。何も悪くはならないよ。私は近くに住む
ショータと会える時間だってこれまでとかわらないよ。」
お姉ちゃんが顔を拭いてくれた、目が見えるようになった。
おやすみ、と言ってお姉ちゃんが部屋から出て行った。
さっき僕の顔を拭いてくれたハンカチで顔を拭いていた。




