63.丸山慎一、合宿から帰る(モブでごめんね)
合宿から帰ると祖父母が来ていた。
祖父母だから2人と思った皆さん残念でした。
僕の両親は二人とも一人っ子、両親の親は比較的近所に住んでいる。
つまり、母方、父方両方の祖父母が来るので4人である。
僕も一人っ子であるため、どっかの小皇帝のようにやたら可愛がられた。
祖父母を見て、玩具の取り合いをする子供みたいだと思った事がある。
その場合の玩具は僕なんだけどね。
両親は名前を言えば皆知っている企業のサラリーマン。
でもエリートではなく、出世は無理みたい。
祖父母も普通のサラリーマン家庭で祖母はパートに出ている。
孫の小遣い稼ぎだそうだ。
別にそれ程小遣い欲しくはない。貰ってるけど。
今の高校に合格した時は、両祖父母がタイのお頭付きを買ってきて
テーブルに乗っていた。
夏の高校野球予選でベスト8まで進出した時は大騒ぎで
『お祝いの時は、両家話し合いを持って式次第を』とやってた。
行けないって甲子園なんて。
自慢の孫らしい。喜んでくれているのを見ると裏切れないなと思う。
高校で野球をやる気はなかったんだが、悪友の五十嵐に引き込まれた。
他に趣味もないし、練習時間も短いし、野球部だと世間的にも良いし。
現に祖父母はレギュラーだと喜んでいた。
何人部員がいるかは黙っていた。
今年、ショータが入って来た時は驚いた。
同じ人間とは思えない。
新しい監督が来て練習は厳しくなったが、むしろ楽しくなった。
時間が短いのは従来からだが、密度があがり向上している実感がある。
野球を続けるかどうかは本当に悩んだ。
3年生は受験に集中するのが普通の学校だ。
現在の自分の実力、私大上位、地方国立が狙える。
考えた末、地方国立を狙う事にした。
実力的に余裕がある、無理せず合格できるだろう。
何より一人暮らしがしてみたい。
贅沢を、ワガママを言ってる事はわかるのだが、
自分一人で生活をし、自立したい。
食卓に向かうと祖父母が僕の食器を並べている。
寿司をとったようだが、箸を割って僕に渡してくれる。
・・・自分の選択は間違ってないと思う。




