52.手品? それもしかして。
ショータの視点
合宿所に到着、事前に部屋割りが終わっているから、着替えて・・・。
食堂に集合して昼食、休憩をはさんで涼しいトレーニングルームで
各自メニューをこなす。
夕方涼しくなってからグラウンドで基礎練習をする。
臨時コーチで来てくれた大学生達が驚く練習メニューは
先乗りで来ていた先代主将、中村先輩が発案した。
『最も効率が高い練習が出来るはずだ。根拠は文献だけだがね。』
うん、”多分”大丈夫だろう。
ミーティング、風呂、食事、みんな集まって自習・・・。
スケジュールタイトだな。
壁を通して風呂場が見える能力・・・欲しいかもしれない。
消灯まで自由時間、中途半端な時間だなと思っていると
美月が妹に手品を見せるように言った。
美月にくっついて半分寝た感じだった妹、心晴ちゃんがうなずいた。
トランプを誰かに引いてもらいそのカードを当てる。
見事的中! 次も的中、その次も・・・・。
さすがに皆驚いている。
凄いでしょう、と美月が自慢している。
でも僕が驚いたのは的中する事じゃない。
心晴ちゃんの頭の中に、トランプの表側が見えたんだ。
引いた札を心晴ちゃんに見せないように隠す手と一緒に。
心晴ちゃんと目があった。じっと見て来る。
おっ、惚れたか、ちょっと若すぎないか?と軽口を
とばす奴がいる。
お前も引けと言われカードを引く。
試してみる事にした。
引いてから一度も見ないで体にくっ付けた。
何のカードか聞かれた心晴ちゃんは首を振っていたが、
迷ったように答えた。
カードを見せる・・・ハズレだ。
疲れたんだよね、と美月が言い出し”手品”は
お開きになった。
この手品、僕もやった事がある。
人が見ている物が見える僕には簡単な事だ。
でもカードを誰も見てくれないと当てる事が出来ない。
『みんなに見せて下さい。』というのが上手くやるコツだ。
でも、まさか・・・。
美月が”タネ”は教えないの?と言っている。
可愛らしくうなづきながら、僕をじっと見て来る。
周りは僕が美月を見つめていると思ったようで、ヒジウチされた。
多分、、だよな。




