5.お姉さんとショータ―の秘密(オネショタではない。)
ちょっと長くなりました。
「W実業の監督の方へ行くとき、相手の頭の中に自分の顔が見えたんだ。」
うん、うん ショータはそれ出来るんだよね。
「その顔が少し赤くなっていて、いけないって思ってその画像を強く見たんだよね。」
「それで?」
「画像がちょっとだけ止まった。気のせいかと思ったんだけど、監督さん首を振って驚いていた。」
「何か言われたの?」
「何にも。でも僕の方がテンパっちゃってドモドモになっちゃった・・・。」
悲しそうな目だ。
ショータに初めて打ち明けられた時と同じ目だ。キュンとなりながら思い出す。
「おーねーちゃ。あーのーね。」チビショータが私の目を見ながら話してくれる。
「凄い、良くできたね。」吃音出まくりだったショータだが当時学生だった私は閑を見て
相手になっていた。話しかけて来るのを誉めなければ。
ジジババは利き手の変更と吃音は関係ないとか、母親があまり面倒みなかったからだとか、
責任逃ればかりで役にたたなかった。まあ有名医や専門家に見せて心配はしていたが。
お前らのやり方、素直で優しいショータにプレッシャーかけるんだよ。
「ぼ、ぼーく、、人が、が、なー何見てるか見ーえるっんだよ。」
「うん?何言ってるかわからないな。 お話聞かせて?」
「おーコーらっ、ない?」小首をかしげこっちらを見る。
「怒らないよ、ショータが何してもお姉ちゃんおこらないから、ゆっくり教えて?。」
「ぼーくね、、おーねーちゃがぼーくに隠れてご本みながっ、がら、、、お話してるのしってるんだ。」
うん、吃音矯正法の本をたまに見ているのがバレたな。視線を読まれたか。気の利く子だもんな。
「かっ、漢字は読めないけど、、あーた――――マっが、、半分、、、の絵があった。」
ちょっと待て、視線は読めても内容は見えないだろう?気にするといけないと思いその関係の本は
ショータに直接見せた事はない。
「お、おーうーたのところ、おーねーちゃ、良くみーてる。」
一緒に童謡を歌うようにしていたのだが、歌詞なんかすっかり忘れていたので良くカンニングしていた・・・。なぜ内容がわかった?
「他の誰かに話した?」
「おーおーじじーいざーま、と、と、おーばっうさーまにはーなーしーたーら。。う、うーそーlをつーくとえーんまざっっまっに・・・」
あのクソジジババ、苦しんでる子に、嘘はダメって脅したな。
まだ小さい子なんだからウソだと思っても創作を聞くと思って付き合ってやれよ。
「よーし、お姉ちゃんと試してみよう!」家の中で一緒にトランプを探しだした。
「見えたら教えてよね、これなんだ?」ショータにトランプの透視?をさせてみた。
結果は、驚いた全部的中。途中から手が震えた、、信じられなくてトランプをシャッフルして
もう一度やってみた・・・嘘だ、世の中にそんな事あるか?何回やっても全部的中。
トランプの裏を確認した。ショータは得意げな、それでいて不安そうな様子だ。
その後数か月かけてショータと二人で試してみて判明したのは以下。
1.他人が見ている物が見える。でも目をつぶっている人のは見えない。
2.見ている他人が意識していない物も視野内にあれば見える。
たとえば 私がトランプを見ていると、後ろにある時計を私は意識していなかったが
ショータははっきり見える。
3,透視はできない。同じトランプでも神経衰弱をやると全く当たらない。
ショータは『ババ抜きって何が面白いんだろう?』とずっと思っていた模様。
4.テレビに映っている人の見ている物は見えない。隣の部屋にいる人の見ている物も見えない。
基本ショータが見えていない人の頭の中は見えない。
5.脳内の微弱電波を感知してるのではないかと仮定を立て、私の頭にアルミホイルを巻くという
見るからに怪しい実験をしてみたところ、見事『見えない』になった。
逆にショータの頭や体の一部にアルミホイルを巻いてみたが私の見ている物は見えるらしい。
6.通行人を見させたが全て見える(人の後ろ頭+背景だが)。人の後ろ頭で確認した。
ハゲは確認しやすくて助かった。
まとめたデーターを見た。うーん、サンプル数は足らんか、再現性は申し分ない。
これを発表すれば学会でで大騒ぎだろうな。実証されれば国家レベルかもしれない。
ショータの能力凄いね、と褒めていると、嬉しそうだが何か寂しそうだ。
信じてもらえたのは嬉しいが『やっぱり自分は変な子』と落ち込んでいる。
私は考え込む
ショータは吃音を馬鹿にされてもめげず、友達を作り元気にしている。このままにしてやりたい。
他人の目の画像が見れる、なんて事がバレたら実験動物扱い、普通の生活はできないだろう。
・・・「おーねっちゃ、、、おーこーってっる?」少し深刻な顔になってしまったのだろう。
ショータが顔を覗き込んでくる。
私は首を振る「お姉ちゃんがショータに怒った事なんて無いよ?ちょっと考え事しただけ。」
ショータがニカッと笑う、なんて可愛いんだ~。
「でーもーも、まーえっっにオーバッッ」でショータが言葉を止めるてこちらを見てくる。
「最後まで言ったら本当に怒るぞー♡」とベアハッグの刑にした、キャッキャ言っている。
「この事は誰にも言ってはダメだよ?お姉ちゃんとショータだけの秘密だよ。」と言うと
力強くうなずいた。
人類レベルの発見とかそんな物今はどうでも良い、ショータは誰にも渡さない。
大発見かもしれないけど、もみ消す?みたいです。




