20.酔いどれ天使
ストレス過多の二人の会話です。
射沢春香視点
「ショータ、野球やりたいんでしょ?」
「?!」
「バレバレよ。朝晩走ってるし、素振りしてシャドーピッチングしてるでしょ?」
庭の土の状態見たらわかるし、近所のBBAは皆お前のファン兼通報者だ。
「健康維持に・・・。」
「病院を継ごうとしてるのは判るしけどあんまりにも周囲の期待に応えすぎてて
その周囲の方が辛くなってるよ。」
「そうなんだ・・・。」
「やれば良いんだよ、好きな事を。野球だったら、やりたーい、って大きな声で言ったら。」
「?」
「ショータが野球やりたいって言ったの何年前だっけ? 家族中物凄く喜んだんだよ。」
「でも、お母さんは心配そうだったよ?」
「ショータ話すの苦手だからね。でも野球やって、今日やった事とか聞くの楽しみにしてたよ?」
「うん、お絵かきしながら話した。」
母子でそうしている光景を何度か見た。
「お義姉さん辛そうでお姉ちゃん見てられないんだ。野球でなくてもワガママ言って
困らせてあげて欲しい。ショータの悩みを分けてあげて欲しい。」
上手く伝わったかな? ショータが考え込んでいる。
「でも野球やったら僕はインチキ野郎だよね?」
「吃音がひどい時、どうして自分だけ、他の子は皆話せるのにズルいって思わなかった?」
「・・・」
思うよな。人間だもの(ヘタウマな字が浮かぶ)
「同じだと思うよ。体の大きい小さいとかも同じで与えられた力の差はそれぞれあるわけだし。
あるものを使わないのは逆に変だよ。」
「それにね、多摩近場高校野球部って草野球にペンペン草が生えたようなチームでしょ?
世の中にそんな迷惑かけないって。」
ショータの方へ歩き、勉強机にウイスキーとボトルを置き、何年かぶりに後ろから抱きしめる。
ショータは驚いたようだが、そのままにしている。
「わかった。明日、野球部に入部するよ。やっぱり仲間と野球するのが好きだ。」
そうかい、良かったな。グラス三分の一ほどのウィスキーを飲み干す。
ショータ早く二十歳にならなないかな?・・・今日は飲み過ぎた。




