12.クズ来襲
入学式で騒ぎがあった模様です。
校門のところでお姉ちゃんと待ち合わせしていると校門すぐの道路で悲鳴と叫び声がする。
礼華ちゃんの横に女の子がいるのだが、その子が男に手を引っ張られている!
母親らしい女の人が大声を上げながらその子を引っ張られまいとしているが引き負けている。
震えながら何か言っている。何かわからないけど物凄い怒りを感じる・・・。
気が付くと僕はその男の手を引っ張って女の子から引き離していた。
「#$#%&###」男が何かわからない言葉を叫んでいる。
「痛いやろ離せ言うとんじゃこのボケが」言ってる事がわかったのと女の子が後ろに下がったのが
わかったので手を離すと殴りかかってきた。
事前にどの辺を見ているかわかていたので難なく躱す、何回か殴りかかってきたが全て躱した。
この頃になると周りに人が寄ってきた。
不利と思ったか男は「実の娘に会いに来ただけやのに暴力振るわれた。」と大声で言い出す。
僕が何も言わないのでチャンスと思ったか 「何とか言え」と偉そうにしている。
「・・・・」言い返そうと思うけど言葉が出ない。畜生 僕はなんて情けないんだ。
「全部見てたけど彼に問題はないと思いますけど」横から落ち着いた声がした。
五十嵐先輩だった。後ろに野球部のユニフォームを着た人達もいる。
「いきなりその子の手を引っ張って無理やり連れて行こうとしてるように見えましたよ?
本当に娘さんなんですか?警察を呼びますよ。」先輩は冷静だ。
「実の娘や言うとるやろ。暴力振るわれたのはこっちじゃ、警察早よ呼べや。」男がわめく。
その時、手を引っ張られていた女の子が大声で言い返した。
「どこまで追いかけ回すねんこのクズ。」猫がシャーと威嚇する勢いだ。
「いつまで私らを苦しめるんや・・・」女の子の母親らしき人が泣き出した。
礼華ちゃんが電話している、警察を呼んでいるようだ。
不利と思ったか男が話を変える
「無茶苦茶言いやがって、俺はお前の親で親権もっとるんやぞ」
「知るかー。」女の子が叫び返す。
「学校の前で迷惑ですから止めてもらえますか?」五十嵐先輩が静かに言う。
「イチイチ煩いわダボが。ちんけな学校のチンケなユニフォーム着やがって。
俺は甲子園出た事あるんやぞ知らんやろ、おまえらんか話聞けるだけでもありがとぅと思え」
「甲子園行ったんがそんな偉いんか。」女の子が再度叫ぶ。
「偉いわい。お前らみたいなカス未来永劫行けんさかいな。はン僻みやがって。
そうやお前らが甲子園行けたら親権諦めたってもええぞ、絶対行けへんやろけどな。」男が吠える
「甲子園行ったらホンマに親権放棄するんやな?」女の子が鬼の形相で睨みつける。
拳がブルブル震え、爪が手に食い込んでいる。
そうしている間に警察と教師たちが来た、手を引っ張ったのは暴行ではないか?と思うが
民事不介入とかで警察は引き上げ、男も一旦引き上げる事になった。
係争中で直接行使はマズいらしい。
とりあえず、当事者という事で校内に呼ばれる。
フワッと手を握られたと思ったらお姉ちゃんだった。
「頑張ったね」と言ってくれたけど僕何もできなかったよ。
立ってただけだよ・・・。
大丈夫なんでしょうか。




