110.礼華の弱点
「はい、お口開けて。今年も飛び始めたけど大丈夫?」
「先生、口を開けたまま聞かれても答えられません。」
「毎年この会話してるわね。」
礼華と射沢春香医師が笑いながら話している。
花粉症に悩まされる礼華だが、免疫療法で生活に支障を出さず
生活している。
「礼華ちゃんは副作用も出ずよく効いているけど、症状が出たら来てね。」
毎月診察を受け、薬をもらっていた。
「4月にご結婚だそうで、おめでとうございます。」
「ショータから聞いた?ありがとう。
少し休むけど代わりの医者が来るから大丈夫よ。」
礼華は気になっていた事を質問する事にした。
「ショータのあれって治ったんですか?」
「どうして?」
「引っ張られても嬉しそうにしてますよ。」
ショータは手を引っ張ると口を利かなくなり、さらに引っ張ると
怒ったような表情をする事を発見したのは礼華である。
「当人に聞いたけど、最近は気にならないそうよ。」
元凶のババアに引っ張らせるのは怖くてできない。
「もう一つ質問いいですか?あの二人なんかあったんですか?」
下品な質問だな、でも好奇心に勝てない礼華の質問。
「二人に直接聞いたら?何で?」
「前は目を逸らしあってて、それはそれで嫌だったんだけど
最近アイコンタクトするは腕は組むわで周りがあてられて
大変なんです。」
「あったけど、周りが想像するような事じゃないわ。
もう少しすると人前ではイチャつかなると思うよ。」
見てないとイチャという事か。
だいたいの事情は聞いてるけど、知りたいな。
礼華最大の弱点は花粉症ではなく好奇心が旺盛すぎること。
それゆえ各方面へ首を突っ込んでしまう事だった。
おかげで自分の恋愛をしている時間がなかった。
スケジュールに追われ病院を出ていった。




