10.ショータのハートブレィク
翔太君 お迎え待ち中の独白です。
射沢翔太の視点
入学式が終わって校庭に出る。
祖父母の昼間は以外に忙しい。
祖父は何とか議員の後援会とかで昼から出て今日は遅くなるらしい。
祖母も都内の大学の非常勤講師であるため途中で出て行った。
二人を閑を持て余した老害扱いしているお姉ちゃんは「勤務終わった、すぐ行く、昼食一緒に」と
何か焦っているんだろうなというメッセージを送ってきた。
校庭に居たくないな。
知っていたけど礼華ちゃんが同じ学校に居るんだ。五十嵐先輩も・・・。
会いたくないな。
礼華ちゃんは5年生のバレンタインデーにメッセージとチョコをくれた。
固まってしまった僕をニコニコしながら見て「またね!」と手を振ってくれた。
当時吃音が激しくて話すのが苦手で女の子には気難しいと思われていて全然モテなかった。
チョコは速攻でお姉ちゃんにバレた。
そうか、スマホ持ってないもんねと言いニヤニヤしながお姉ちゃんは手紙を書くように言ってくれた。
「言葉でなくても気持ちを伝えれば良いんだよ。」と言ってくれた。
祖父母に隠れてスマホを買ってくれたのもそれからすぐだった。
習い事やらなんやらで学校以外ではあまり一緒に居られなかったけど、連絡を取り合い、
たまに手をつないで登下校したりした。
・・・小学生だからその位で十分だよね。
その後、祖父母がどうしてもと言うので、僕は遠い中学校(電車通学になって大変だった。)へ行き
彼女とは別の中学校になった。
でも、中一の夏に彼女同じ中学の先輩に告られたんだよ。
タイミングが合わなくて3カ月以上会えていなかった時、彼女からメッセージが来て
その人と付き合いたいって。
相手が五十嵐先輩なのもショックだった。
同じチームだから良く知っていたし。
性格良いもんな、あの人。
変な相手なら反発できたんだろうけど自分と先輩を比べて絶望してしまった。
この事も誰にも言わなかったんだけど、お姉ちゃんには態度でバレた。
お姉ちゃんは家族の誰にも言わず元気がない僕に、
「よし、カラオケ行くぞ!」と言ってくれた。
歌うと吃音がなくなるようになった僕を力づけようとした・・・。
いや、まだそのキズ痛むよ。すぐだもん。二人に会いたくないよ。嫌だよ。
超絶美少年でも振られる事はあり得るようです。




