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2 出会いと消滅
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その日は、突然だった
塾の帰り道
補習を受けて、いつもより遅くなった私は
早歩きで、大通りにむかっていた。
間もなく大通りにでる十字路付近
閉店した店内にぼーっと輝く光
あれは、もしかして!!?
信号待ちのふりをして
そのまま光をみつめていると
ガラス扉を通り抜け、すーーっと近づき
右肩でゆらゆら揺れはじめた。
周りをみわたすと
誰も、この光が見えていないらしい
私は、母の失敗を教訓に
無の境地で自宅に帰ることに
そして、玄関前で思い出したのが
はじめて光をみたとき
明るくなったとたん、消えたこと…
このまま、消えずにいてくれるのか
もし、消えたら、二度と会えないのだろうか
しばらく考えたが、答えはでない…
私は、祈る思いでドアを開くと
明るい、玄関の光に飲み込まれるように
消えてしまった…
ああ…
これで、私のチャンスは終わった。